スマートフォン版に切り替える

Stories of coins and color stones

アメリカ不動産を使った節税法

2016年8月

今回はアメリカの不動産を使った節税のお話しをさせていただきます。

減価償却費とは

個人が不動産を保有している際、経費として計上できる費目はたくさんありますが、その最大のものは減価償却費だといってよいでしょう。減価償却費は簡単に言いますと、老朽化によって減少する価値のことです。例えば皆さんが新築のワンルーム・マンションをお買いになったとしましょう、この場合建物部分(注)の価値は年々減ってゆきますので、その価値が減った部分を毎年の経費として計上することが認められているわけです。

注)他に設備類の減価償却も経費計上できますが、ここでは考えないことにします。

鉄筋コンクリート製の建物の場合、我が国の法律で定められた耐用年数は47年ですので、簡単に申し上げれば、毎年建物部分の1/47相当の金額を、経費として計上することができるわけです。仮に皆さんが3,000万円の新築ワンルーム・マンションを購入し、その建物相当額が半分の1500万円程度だった場合、毎年33万円ほど(注)の減価償却費を計上することができます。

注)1,500万円÷47≒33万円、実際には「償却率表」に基づいて計算します

毎年この程度の経費計上だとさほどの節税効果はありませんが、海外の中古不動産へ投資すれば、この仕組みを使って大きな節税効果を得ることが可能です。

この仕組みを活用した海外不動産投資の事例

以下のようなケースを想定して少し考えてみたいと思います。

  • 投資家の課税所得:2,000万円(所得税40%、住民税10%)
  • 購入物件価格:5,000万円(建物評価4,000万円、土地評価1,000万円)
  • 購入物件の概要:アメリカの地方都市の木造戸建て(法定耐用年数22年)、築25年

皆さんも時々耳にされると思いますが、アメリカやヨーロッパの場合、日本と違って長期にわたり建物の価値が持続する傾向にあります。わが国の木造物件の場合、通常築20年もたてば建物の価値はゼロと評価されてしまいますが、例えばアメリカの地方都市にゆけば、上記のように築25年の木造物件でも、購入価格の80%が建物で占められるケースもあります。

では上記事例の場合、毎年計上できる減価償却費はいくらになるでしょう。木造物件の法定耐用年数は22年ですが、この物件は築後25年を経過しておりますので、22年ではなく法定耐用年数の20%相当が適用されることになります。したがって上記物件の耐用年数は4年(注)となります。

注)法定耐用年数を超えた建物の耐用年数は、法定耐用年数に20%を乗じて求めます、
従ってこの物件の場合22年×20%=4.4年(ただし小数点以下切り捨てて4年)となります。

したがって、皆さんがこの物件を取得した場合、向こう4年にわたり毎年1,000万円(注)の減価償却費を計上することができるというわけです。

注)(建物評価額)4,000万円÷4年=1,000万円

一方で不動産所得は他の所得と合算され総合課税の対象になります。例えば皆さんが上記のように課税所得2,000万円の高額所得者だった場合、上記1,000万円を経費として計上することによる節税効果は500万円(注)と計算することができます。

注)1,000万円×50%(所得税+住民税)=500万円

さらに建物の減価償却費は、向こう4年にわたって計上できますので、当該4年間の節税効果は2,000万円(注)となります。

注)500万円×4年=2,000万円---①

もちろん日本でも同様のスキームを作ることは可能ですが、日本の不動産の評価額は、下手をすれば法定償却期間の経過後においてゼロを下回る場合が多く、節税効果を得ることは難しいでしょう。簡単にいえば例えば築後20年を経過した木造物件の場合、建物の評価はすでにゼロに近く、減価償却費を計上することは困難だということです。

ただし上記のスキームには出口戦略が必要です、仮に上記のように4年間にわたり毎年1,000万円の経費を計上したとすれば、この物件の帳簿上の価格も、当然毎年1,000万円ずつ下がることになります。仮に5,000万円で購入したとすれば、4年後の帳簿価格は1,000万円(注)まで下がることになります。

注)5,000万円-(1,000万円×4年)=1,000万円---②

従って皆さんが減価償却枠を使い切った後、すなわち5年目にこの物件を買い値と同じく5,000万円で売れば、その時点で4,000万円(注)の譲渡益が発生してしまうことになります。

注)5,000万円-1,000万円(②)=4,000万円---③

購入後5年以内に不動産を売却した場合、譲渡所得に対して一律40%が課税されますので、この場合だと1,600万円(注1)の税金を支払う必要があります、一方でこの4年間の節税効果は上記のように2,000万円(①)ですから、結局400万円(注2)の節税効果に止まることになります。

注1)4,000万円(③)×40%=1,600万円

注2)2,000万円-1,600万円=400万円

ただし譲渡所得は長期と短期で税率が大幅に変わり、5年超保有した場合、長期譲渡所得として税率が20%に下がります、したがって皆さんがもう一年我慢してこの物件を保有した場合、通算の節税効果は1,200万円(注)に増えることになるわけです。

注)5年超保有した場合の譲渡益に対する税金は4,000万円×20%=800万円、
一方で同期間の減価償却費による節税効果は上記①のように2,000万円です。
従って入口から出口までの節税効果は2,000万円-800万円=1,200万円となります。

結論

この節税スキームの要諦は、不動産所得と譲渡所得の税率の差にあります。前者は総合課税ですから累進性があり、例えば本例で使用した課税所得1,800万円から4,000万円の層では、所得税と住人税をあわせ50%が課税されます。したがって減価償却費の計上による効果は50%と考えられるわけです。一方で当該不動産の売却時において、保有期間中に計上した減価償却費相当額は税務上の儲けになりますが、こちらは譲渡所得として課税されるため、5年超保有した場合の税率は20%で済むわけです。つまり大雑把にいえば、上記50%と20%の差が節税効果になると考えてよいでしょう。

ただしアメリカやヨーロッパの不動産は、日本の不動産と違いさまざまなリスクがあります、例えば現地での賃貸管理や建物管理など管理上の問題。あるいは売買する際の手続きや法律、慣習の違い。さらには現地でローンを組む場合の、手続きや金利の違いなどです。このような問題を考えると、気楽に取り組めるスキームではありませんが、それでも資産の地理的な分散効果や節税効果を考えますと、あながち頭から排除すべきではないのかもしれません。興味のある方にはドバイス可能です、お問い合わせください。