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Stories of coins and color stones

魅惑の古代コイン

2017年4月

「どんなコインを買えばいいでしょうか」これは僕がお客様から頂く定番のご質問です。神聖ローマの10ダカット金貨、イギリスの5ギニー、アンナンの大型金貨、スペイン大航海時代の金貨・・・それぞれに素晴らしく、また将来性もあるのですが、僕はギリシャ・ローマ時代のコインに、皆さんはもう少し注目されてもいいんじゃないかと思います。

なにしろ時代が古いのがいいですね、例えば以下の「フクロウ君」の場合は、紀元前5世紀に造られた銀貨です。紀元前5世紀といえば日本で言えば弥生時代で、卑弥呼すらまだ生まれていません、そしてあの有名なパルテノン神殿が建てられた時代でもあります。ウラに描かれたフクロウの絵もかわいいですね。何枚もこの銀貨を集め、一枚一枚フクロウに名前を付けている収集家を僕は知っています。

この時代のコインは一枚一枚ハンマーで打って作られたので、それぞれ特徴があり二つとして同じコインはありません。右側のフクロウ面を見ていただければお分かりになりますが、フクロウの四方が盛り上がって土手のようになっていますね、これは銀に熱を加え、柔らかくした状態で刻印を打つからです、この四方の盛り上がりが均等にあり、フクロウが中央に打たれ欠けがないことが高値の条件です。

(古代ギリシャのアテネで作られたテトラドラクマ銀貨、BC440-404年、オモテはアテネ神、ウラはフクロウとオリーブの葉っぱ、そして三日月とAOEの文字)

さてこのフクロウ君、古代ギリシャ時代の最も有名なコインではありますが、数が比較的多く残っているせいか、さほど高くはありません。状態の良いもの(EF程度)でも40万円~50万円ほどで手に入れることができます。美品クラス(VF)なら20万円ほどでしょう。価格のほうは近年のイギリスコインや中国コインほどの高騰もなく、比較的ゆっくりジワジワと値上がりしつつあるといえるでしょう、おそらくよほどのことがない限り、今後も急騰するということはないでしょう。が、逆に値崩れすることもまずないでしょう。それこそ現物資産として最適な銘柄といっていいと思います。

次にご紹介したいのは同じく上記とほぼ同時代の、古代プトレマイオス朝エジプトで作られたオクタドラクマ金貨です。プトレマイオス朝エジプトはアレキサンダー大王(BC356年~323年)の死後に、大王の王国を3分割して成立した国の一つです、このコインの直径は2.5センチほどしかないのですが、厚みが結構すごく重さは28グラム近くにもなる大型の金貨です。古代最大の金貨といってよいでしょう。オモテはプトレマイオス4世でウラは豊穣のシンボル、ヤギの角です。このコインをみていつも思うのは、なんといっても金という金属の美しさです、作られてから2200年近くの年月が経とうとしていますが、その輝きは全く失われておらず、つい数年前に造られたのではないかと疑ってしまうほどです。

さてこの金貨、古代のコインにしては珍しくここ数年でずいぶん相場が上がりました。ほんの4~5年前は、EF程度の状態良いコインでも150万円前後で入手できたものですが、いまではEFクラスの平均的な価格は、270~300万円程度まで値上がりしてしまいました。今から考えると150万円は安すぎました、今後はなだらかな上昇傾向に戻るのではないかと思います。

(古代プトレマイオス朝エジプトのオクタドラクマ金貨、プトレマイオス4世(BC221-204)の統治下で発行された古代最大の金貨です)

最後にご紹介するのは古代ローマ時代(BC37-32年)に造られた、ドラクマ銀貨です、以下の写真は大きく映していますが、実際は1センチばかりの小型の銀貨です。向かって左側はアントニウス、右側は有名なクレオパトラです。これらの肖像は本人の生前の姿をよく表しているといわれていますが、クレオパトラは鷲鼻で僕の想像した美貌とは違います・・・それでもコインとしての人気と無関係なようで、このコインは現在VF程度の状態でも150~250万円程度は致します。同時代のコインではシーザー(カエサル)を描いたものも人気です。

(古代ローマの属州アンティオキアで発行されたドラクマ銀貨、鋳造はBC37-32ごろ)

以上古代ギリシャ・ローマのコインを数点紹介させていただきましたが、この時代のコインはいずれもデザインが個性的であったり斬新であったりで、みていて飽きません。とても2000年以上の年月が経っているとは思えず、それもまた魅力の一つです。相場のほうも中国やイギリス、ロシアのような急騰はありませんでしたが、逆に言えば割高感はなく、購入後の下落の可能性も低いといえるでしょう。長期の現物投資に適したコインではないかと僕は思います。