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Stories of coins and color stones

中国コインを熱く語る

2017年6月

今月は久々に中国コインを熱く語らせていただきます。

コインの相場は概ねそのコインが発行された国の経済力を反映いたします、中国コインにもこの原則がよく当てはまり、同国経済が年率10%以上で拡大した2003年から2007年あたりはよく値上がりました、さらに面白いのはそのあとで、リーマン・ショックがあった2008年もずいぶん値上がりしました。これはリーマン・ショック対策で同国政府が行った、あの「4兆元出動」の影響があると思います。

さてさて今回はその後の中国コイン相場のお話しです。2008年急騰の反動もあってか、同国コイン相場のその後しばらくは鳴かず飛ばず・・・この間値上がりしたイギリスやイタリアのコインに差をつけられた格好で、むしろ割安感さえでていました。以前ご紹介した「自動車ダラー」や孫文の「ジャンク試鋳造貨」など、名品コインは高原状態を維持しましたが、例えば龍銀(清朝末期に発行された7銭2分銀貨)と呼ばれる一般的な数コインは、ずいぶんと値下がりしたものです。

僕なりにこの間の中国コイン不調の要因を分析いたしますと、

  • 2008年まで急騰相場の反落圧力
  • 同国経済のスローダウン
  • 習近平氏による贅沢禁止令

などの影響があると思います、すくなくともこの間、以前ほどコイン市場のおカネが入りにくくなったのは間違いありません、オークションやコイン商の店頭でも中国人をみる機会はめっきり少なくなりました。

ただしここ数年、少しずつ状況に変化がみられるようになりました、2015年7月の本レポートで「自動車ダラー」と「孫文ジャンク試鋳造貨」を例にとり、2015年のCCFオークション(国内で毎年一回開かれる大手オークションです)の落札結果をご紹介し、中国名品コインの反転上昇を以下のようにお伝えしました。

2015年7月の本レポートより引用

□「自動車ダラー」Lot No7077 /VF+
開始価格40万円
落札価格57万円

□「自動車ダラー」Lot No8243 /VF
開始価格12万円
落札価格64万円

□孫文「ジャンク試鋳貨」Lot No8215 /VF+
開始価格20万円
落札価格100万円

□孫文「ジャンク試鋳貨」Lot No8216/EF
開始価格15万円
落札価格58万円

「自動車ダラー」や「ジャンク試鋳貨」は、ここ3年ほどやや低迷気味で、価格も40万円前後にとどまる事例も見られたのですが、上記のように先日のCCFオークションでは、上海株下落にも関わらず、むしろ相場帯が再加速した観すらあります。上記両コインに限らず、今回のCCFでは、レアなコインの高額落札が目につきました。

一回のオークションだけではなく、今後開催されるオークション数回は注意してみておく必要がありますが、「株式相場とコイン相場の相関性は低い」と僕は思っています。なぜなら株式に流れるお金は短期の資金、これに対しコインに流れるお金は長期の資金といったように、投機的マネーとは異なった種類のお金がコイン市場に流れていると考えているからです。

ちなみに自動車ダラーというのは下写真のコインです。あれからすでに2年が経とうとしていますが、中国の名品コインはこの2銘柄に限らず、上昇傾向が明らかになって参りました。

たとえば以下は先日6/22に香港で開かれたコインオークションのカタログ抜粋ですが、ご覧のようにNGC社のケース入りXF45(VFに相当します)がUSD11,500で落札されています。このオークションのバイヤーズプレミアム(オークション主催者に支払う手数料)は19.5%ですから、日本の輸入消費税を加味した投資家総支払額は約166万円です。

(ヘリテージオークション2017年6月カタログより抜粋)

昨年の他社による香港オークションで、同銘柄のXF45がUSD10,000で落札されましたから、この1年だけ見ても15%ほども相場が上がっているといってよいでしょう。

今後値上がりする中国コインの条件

上記のように近年再加速しつつある中国コインですが、どのようなコインでも一様に値上がりするとは思えません、僕が考える値上がりする中国コインの条件は以下です。

  1. 名品コイン
  2. 希少な状態のコイン
  3. ケース入り高評価コイン

特に力説しておきたいのは3です、中国のコインの大きな特徴として「状態の悪さ」をあげることができます、長らく混迷の時代が続いたからでしょうか、同国のコインで状態の良い未使用コインを見ることは稀です。それにもまして見つけづらいのは、例えばNGC社やPCGS社などアメリカの鑑定会社のケースに入り、なおかつMS63、AU55といったように、“まともな”数字がついたコインです。同国コインは多くの場合コインの表面に微小な“ヘアライン”や“洗浄痕”がみられ、そのようなコインは比較的好状態のコインでもAU-Detail、さらに上の未使用状態のものであってもUNC-Detailなどと表記されてしまいます。Detailというのは簡単に言えば“欠点アリ”という程度の意味で、同じ未使用状態のコインであってもMS63というふうに、ちゃんと数字がもらえるコインと、何らかの欠点によりUNC-Detailと表記されてしまうコインでは、価値に雲泥の差があります。

中国コインの場合、数字がつくこと自体が稀なことで、例えば日本の銀座コインオークションであれ、さきほどのCCFオークションであれ、出品された中国コインをみれば大概はケースに入っていない“裸のコイン”か、Detail標記の欠点アリコインです。例えばさきほどの引用部分で

□「自動車ダラー」Lot No7077 /VF+
開始価格40万円
落札価格57万円

□「自動車ダラー」Lot No8243 /VF
開始価格12万円
落札価格64万円

とありますが、これらは言うまでもなく“裸コイン”です、もしこれらのコインをアメリカの鑑定会社に出すとすれば、十中八九はVF-Detailとなるでしょう。これに対しさきほどご紹介した香港オークションの「自動車ダラー」はNGC-XF45とれっきとした数字付コインで、同じVFクラスといえども“格”が違います。このあたりが両者の落札価格の差になるわけで、今後もこの傾向はますます強まるでしょう。

すなわち「ケースに入り数字のつく中国コイン」の値が上がりです。もちろんXF45よりはAU50、さらにはMS63・・・強い数字であればあるほど、さらに希少性の高い名品コインであればあるほど、値上がりの期待は大きいといえるでしょう。