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Stories of coins and color stones

日本の不動産はバブルか

2017年11月

今回は久々に不動産のお話しをさせていただきます。

日本の不動産はバブルか

最近時々お客様から「日本の不動産はバブルではないですか」とか「東京オリンピックが過ぎると東京の不動産は下がるんじゃないですか」などと尋ねられることがあります。

まずバブルか否かについて申し上げますと、少なくとも今の段階ではバブルではないと僕は思います、多くの方はもうお忘れかもしれませんが、1980年代のバブルはこんなもんじゃありませんでした。当時ぼくは関西でサラリーマンをやっていましたが、同僚や先輩はいつも株や不動産の話しをしていましたし、実際に頭金ゼロで不動産投資をしている人も、一人や二人ではありませんでした。一言でいえば社会全体が取りつかれたように不動産や株式投資にはまっていたわけです。

そういえばこんなこともありました。当時僕は神戸の人工島にある小さなマンションを買って住んでいたのですが、そのマンションを売れば、隣の敷地に新しくできる大きな部屋を現金で買え、しかも住宅ローンを全額返せてしまうという不思議な現象が起きました。実際には高倍率の抽選があったので僕自身はあきらめましたが、聞くところによると実行したご近所さんもいたようです。中古マンション相場が急に上がった一方で、新築マンションの売値は建築前に決めますので、このような珍現象が起きたわけです。それほど不動産相場の上昇は急で、ひと月単位で広告の表示価格が切りあがっていたのを今でも覚えています。

収益率や売買相場の点でも、いまとはずいぶんと違いました。例えばバブル最盛期の東京都心の、築浅ワンルームマンションの価格は5000万円~6000万円まで上がりましたし、その時の収益率は2%を切っていました、このような高額物件を目いっぱいの融資を受けて買うわけですから、キャッシュフローがプラスになるわけありません、皆キャピタルゲイン(値上がり益)目的で物件を買っていたわけです。

アジアの諸都市と比べても、東京の不動産相場の正常さがよくわかります。よく都市間競争などといわれますが、確かにそのような面はあると思います。人や情報、お金が簡単に国境を超えるようになり、投資家は地域に固執せず不動産に投資できるようになりました、その結果、東京の不動産と上海、香港、シンガポールといったアジアの主要都市間で、ヒト、モノ、カネの誘致を競うという傾向が強まっているといってよいでしょう。その観点で東京の不動産と、アジア諸都市の不動産を比べればどうでしょう。香港、シンガポール、上海あたりの居住用不動産の収益率はすでに2%を切っており、東京の4%はいかにも正常に見えます。日本は少子化という問題を抱えていますが、これほど精緻で良質なインフラ環境を備えた都市は少なくともアジアでは稀有です、東京は都市間競争に勝って残る可能性は高いと僕は思います。

人生100年時代で高まる不動産投資の重要性

一方で私たちの投資対象として東京の不動産を見るとどうでしょう。

人生100年時代などといわれるようになりましたが、確かに長寿化は進んでいます。すでに男性の1/4は90歳以上、女性の1/4は94歳以上生きる時代になったそうですが、近年の医学の急速な進歩を考えれば、さらに長寿化が進む可能性は高いでしょう。

世帯という単位で考えれば長寿化はある意味で深刻な問題です。一般的な夫婦では女性は男性より年少です、しかも女性のほうが長寿ですので、男性の視点でみたライフプランは、100歳程度までを見ておく必要があるでしょう、もしこれをやらなければ奥様に恨まれる可能性大です・・・。

したがっていま60歳なら向こう40年のキャッシュフローを想定しなくてはなりません。が、ここで一つの問題が生じます。一般に人は加齢によって判断力が鈍る傾向にありますし、多くの方にとって認知症のリスクは身近なものです。お若いころは株式を中心に、積極的な運用ができたとしても、加齢とともに積極運用は難しくなってゆきます。さらにリタイアメント後は収入が減少しますので、万一運用に失敗した場合、ハイリスクの株式投資は致命傷になる可能性があります。

このようなことから、例えば60歳以降100歳まで資産構成を考えた場合、やはり不動産は債券と並び、積極的に持つべき資産の一翼を担うことは間違いないでしょう。

現物不動産が持つ

  • 価格変動リスクが少ない点
  • 定期的かつ安定的な収入が見込める点
  • 長期的に資産価値を維持できる点
  • 比較的手間がかからない点(ただし良質な賃貸管理サービスが肝ですが)

という3つの特徴を考えれば、不動産は今後の長寿社会における重要な資産であることは間違いないと僕は思います。

ただしいくつかの注意点も指摘させていただきたいと思います。

不動産投資の注意すべきリスク

ます極力手出しの資金を用いて購入するようにしてください、あいかわらずレバレッジを効かせた超不動産投資法的な書籍が目立ちますが、安易なハイレバレッジ投資はあまりに危険です。

現在はご存知のように日銀のQEによって歴史的な超低金利状態にあります。このような状況で目いっぱい借り入れを起こして不動産を買えばどうでしょう、おおざっぱに申し上げると1%の金利上昇で、収支のバランスは1%悪化いたします。例えば現在の借金の利率が1.3%だったとしても、この場合2.3%に上がってしまうことになります。不動産投資にとってこの2.3%は致命的で、おそらく空室による機会損失、建物価値の減損など加味すれば、実質的な収支はマイナスに陥る可能性すらあるでしょう。そもそも東京の不動産の手取り収益率は4%強に過ぎません、そこから2.3%を差し引けばいったいどのようになるか・・・そこをしっかりと考えなければなりません。

二つ目は良質な賃貸管理サービスを受けられるか否かです、高齢になりますとどうしてもフットワークが重くなり、賃借人の募集や修繕の対応など困難になりがちです。長寿化が進むなか、いかに手間をかけずに不動産を保有するかという点が重要になるでしょう。意外に皆さん気にされませんが、僕は物件の選別以上に賃貸管理会社の選別が重要ではないかと思います。

総括

上記のように気を付けるべき点はありますが、その点に気を付ければ、現物不動産と100年人生は大変相性の良い組み合わせではないかと思います。不動産固有のリスク、例えば地震など天災に対し、各種保険などの対策や地理的分散などで備えながら、より安全な投資を目指していただければと思います。