スマートフォン版に切り替える

From the economic column I wrote in the past

日本株の売り時は

2018年1月

時々僕は以下のような質問をお客様から頂きます。

「日本株個別枚柄へ投資しているのですが、今のように上がってきますと不安になります、売り時ってあるのでしょうか?」

お気持ちはよくわかります、昨年来の日本株上昇で、例えばロボット関連や自動搬送機関連の株のなかには、ここ一年で株価が2倍3倍になった株もあり、そのような株を持っていると逆に不安になるものです。指標面でみても同様で、なかにはPERが50倍や60倍まで上がった銘柄もあります。

とくに買値の何倍も儲けるつもりで株を買う場合、重要なのはその会社の収益が大化けすることです。この場合、売り上げ規模が5000憶円も1兆円もあるような会社ではダメで、せいぜい1000憶円以下の小型株が投資の対象ということになるでしょう。

そのような小型の高成長株を持っていますと、昨今の株価をみて、そろそろ利益を確定したいと考えるのがむしろ素直な考えなのかもしれません。

このようなご質問に対して僕は、「その銘柄を買った時の動機が維持される限り持ち続けましょう」とお答えするようにしています。一例を挙げて説明させていただきますと、たとえばロボットの関節を作るある小型株への投資を考えた場合、私たちは以下のような目論見をもって株を買うわけです。

  1. ロボットという新分野が今後急成長するに違いない
  2. その新分野の中で、この会社は競争力を持ち続け高いシェアを維持するはずだ
  3. 上記1と2によって、この会社の収益は急拡大を続けるだろう

では投資した後はいかがでしょう。現状でこの会社を取り巻く環境を見渡し、買った時の動機に何か変化がみられるでしょうか。

今のところ中国はじめ世界のロボット導入は絶好調ですし、例えば向こう3年や5年といった中期を見て、ロボットの導入による省力化が下火になるとは思えません。確かに中国のロボット化はすさまじい勢いで進んでおり、もしかしたら近々過剰生産から在庫過多に至るかもしれません、でもそれはあくまで一時的なものであり、人の代わりにロボットが働く社会の到来は、どう考えても避けて通れそうもありません。

もちろん上がりすぎたものは適正な相場に戻ります。ですから現状のように過熱感があるロボット関連株は、一時的には大崩れするかもしれません。が、長い目で大きな社会の変化を想定すれば、この会社の株を買った時の動機が、いま失われているとは思えません。

なかには予知能力がある人もいるかもしれません。本当にうらやましいと思うのですが、残念ながら僕にはありません、であればヘタに明日のことや数日後の出来事を予知しようと頑張るのではなく、大きな経済の流れにそって、長期的な視点で株を買って持ち続けるのが王道ではないかと思うわけです。買った時の動機が失われない限り・・・

それでも僕自身悩みがないかと言われれば、悩みはあります。昨今のように小型株が急伸し、持ち株のPERが70倍台にもなれば、いかにも買われすぎだと思います。それでもなお長期投資と割り切って持ち続けることに、やはり不安はあります。

このような不安の解消法として、半分だけ売るという方法は有効かもしれません。僕自身よほど市場に割高感がでてきたり、目先の環境変化(持ち株個別の材料ではないですよ、例えば円高の進行や経済成長率の鈍化などマクロ環境の変化です)が予想される場合、この「半分売り」を発動することもあるのです。もちろん買った時の動機が失われていないので、売ったお金で別の銘柄を買うつもりはサラサラなく、運よく(笑)持ち株が下がった時点で再投入するためです。このように半分売りを発動した場合、下げたところで同じ銘柄をまた買いなおせますし、逆に上がってもショックは半分で済みます。いわば上げてもよし、下げてもよしの中立のポジションです。

このような方法をいつから採るようにたったのか・・・僕の記憶も定かではありませんが、いまの職業を始めたころには、すでにこのような方法をとっていた記憶があります。ですからもうずいぶん長いことこのような方法で相場と付き合ったことになりますが、はたしてこの「半分売り」が成功したのか否か・・・ながい年月飽きもせずやってきたのは、それなりの効果があったからだと思うのですが、それでも実態は高く見積もっても6勝4敗ほどではなかったかと思います、つまり今にして思えば「へたな考え休むに似たり」で、こんな小細工などせず、「買った時の動機が維持される限り持ち続け」ていたほうが、手間を考えればかえってよかったのかもしれません。