スマートフォン版に切り替える

Stories of coins and color stones

現代フランスのピエフォー金貨

2018年8月末日

今回はフランスの現代コインについてお話ししたいと思います、まず以下の写真をご覧ください。


  • (フランス1976年50フラン表)

  • (同裏)

このコインはフランスで1976年に鋳造された50フラン金貨です、ご覧のように目立った特徴はありません、表面はフランスのコインで1800年代なかば以降よく使われたヘラクレスの立像です、裏面も特に特徴はありません。

でも皆さんがこのコインを手にされると少し驚かれるのではないでしょうか、まずは厚みと重量です、なんと重さは100グラム以上もあり、これは1オンスのメープルリーフコイン3枚ぶん以上の重さです、実はこのコインはピエフォー(Piet Fort)と呼ばれる倍の厚みで作られた特別な金貨で、通常貨ではありません、フランスでは昔からピエフォーの伝統があり、17世紀のルイ13世の時代までさかのぼります。本コインも歴史あるフランスピエフォーの系譜に連なる逸品といえるでしょう。もう一つ驚くのはその美しさです、表面はプルーフ仕上げ(鏡面仕上げ)になっていて、このコインを手にされた人はきっとその美しさに驚くはずです。さらに贈呈用に作られただけあってその鋳造枚数はごくわずかです、この50フランは1974年から1980年にかけ作られたものですが、その間の年別の鋳造枚数は以下の通りです。

  • 1974年(初年号)⇒241枚
  • 1975年⇒74枚
  • 1976年⇒54枚
  • 1977年⇒50枚
  • 1978年⇒149枚
  • 1979年⇒400枚
  • 1980年⇒500枚

ご覧のように多い年でも500枚しか鋳造されておらず、全年号あわせても1500枚弱に過ぎません。大型ピエフォーの重量感、美しいプルーフ仕上げ、鋳造枚数の少なさ・・・これらの要素はこのコインの将来を約束しているように見えます。

ピエフォー50フラン金貨の現在の相場

ではこの50フラン。現在の相場はいかほどなのでしょう。上記のように鋳造枚数が少なく、日本国内のコイン商の店頭に並ぶことはめったにありませんが、今から3年ほど前にあるコイン商が5枚ほど同時に売り出したことがあります。当時はさほど注目もされておらず、確か1976年(鋳造54枚)のPR68個体に、70万円のなかばの値札が付いていた記憶があります。おそらく今同じコインが店頭に並ぶとしたら、200万円をくだることはないでしょう、わずか3年ほどの間で3倍ほどの値上がりです。ちなみに比較的たくさん作られた1979年(400枚)、1980年(500枚)は稀に店頭に並ぶことがありますが、PR67程度の標準的な状態の個体でも150万円以上の価格がつきます。

今後の相場は

ではこのコインの今後の値動きはどうなるのでしょうか。結論から申し上げますと、僕はさらに値上がりが期待できると思います。

最近の近・現代コインの値動きを見ますと、現代コインがアンティークコインの仲間入りする段階で大化けする事例がいくつか見られます、一例を挙げますとチェコの10ダカット金貨です。

この金貨は以下のように大型で素晴らしデザインの金貨ですが、鋳造年が比較的新しいということもあって、最近までほとんど注目されることはありませんでした、店頭価格もせいぜい50万円ほどに過ぎませんでした。一方でこのコインは鋳造枚数が少なく、1929年7の初年号から1951年の最終年号まで合わせても9000枚弱に過ぎません、鋳造枚数の少なさという点では出世コインの要件を満たしていたのですが、「時代の無さ」がこのコインの価格上昇を妨げてきたといえるでしょう。

(チェコスロバキア1932年10ダカット/個人蔵)

ただしこのコインも、いつまでも現代コインの位置づけに甘んじているわけではありません、上記のように本コインは1929年から1951年にかけて作られましたが、最も多く作られたのは1930年代です。そこから勘定しますとすでに90年近くたっており、ちょうどいま現代コインから卒業し、アンティークコインの仲間入りしつつある段階にあるといってよいでしょう。価格の推移をみるとそれがよくわかります、上で数年前の国内店頭相場を50万円ほどと紹介しましたが、その後年を追って相場が高騰し、直近では状態がマズマズのMS63程度の個体でも、250万円ほどの値がつきます。

1930年代のコインの大化け(おおばけ)事例の2つ目として挙げたいのは、イギリス、ジョージ6世の5ポンド金貨です。この金貨は1937年に作られたもので鋳造枚数はわずか5500枚です、先ほどのチェコ10ダカットと比べると、

  • 現代コインからアンティークコインへの過渡期にある点
  • 鋳造枚数が少ない点

以上2点において共通していることがわかりますが、両者の最近の価格推移も似ています。本コインも10年程前までは40万円ほどで買えたものですが、直近の店頭相場は例えばPR63程度のマズマズの個体ですら120万円ほどはいたします。このジョージ6世5ポンドも、さきほどのチェコ10ダカット同様に、現代コインからアンティークコインへ移行するタイミングで相場訂正された事例といえるのではないでしょうか。

(ジョージ6世5ポンド金貨/個人蔵)

さて本題はここからです。

では今回のテーマであるフランスの50フラン金貨はどうなるのでしょうか、このコインも上記2つの事例に共通した以下の特徴をそなえているといえるでしょう。

  • 現代コインからアンティークコインへの過渡期にある点
  • 鋳造枚数が少ない点

鋳造枚数という点ではチェコの9000枚、ジョージ6世の5500枚に比べさらに少なく、わずか1500枚に過ぎません、時代は1970年代ですからさきほどの2銘柄に比べ40年ほど後輩ですが、それでもすでに鋳造されて40年以上たっていますので、アンティークコインの仲間入りは近いといえるでしょう。特に鋳造枚数が少ない1976年(54枚)、1977年(50枚)あたりは、そう遠くないうちに希少なアンティークコインとして、さらに人気化する可能性が高いのではないかと僕は思います。

ご参考までにですが、フランスでは本銘柄の兄弟コインともいうべき10フラン金貨があります、以下ご参照ください。デザインは表裏ともほぼ同じなのですが、重量が85グラムほどで、上記の50フラン(102グラム)に比べ少し小ぶりです。

(フランス10フラン金貨1968年銘)

鋳造は1967年から始まっており、各年における鋳造枚数は以下の通りです。ときどき10フランの重さは50フランの1/5だと勘違いされる方がおいでですが、重さはさほど違いありません。

  • 1967年→50枚
  • 1968年→50枚
  • 1971年→250枚
  • 1972年→200枚
  • 1973年→200枚

上記のようにこの10フランはさきほどの50フランよりさらに鋳造枚数が少なく、全年号合わせても750枚に過ぎず50フランの半分ほどにすぎません。この10フランは1973年まで作られ、その後1974年からはマイナーチェンジされた50フランへと引き継がれることになります。サイズはやや小ぶりですが、鋳造枚数が少ないこともあってこの10フランの市場価格は50フランと大差ありません。特に1967年(50枚)と1968年(50枚)は鋳造枚数が少なく、50フランの1976年、1977年同様将来有望だと思います。