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From the economic column I wrote in the past

やってきたカオス

2023年10月31日

先週僕はこのレポートで、中国大躍進の終焉とインド経済の拡大についてお話ししました、世の中を見渡すと、あいかわらず近々中国がアメリカに代わって覇権を握ると考える人もいるようですが、上のような理由でそれはないと僕は思います。

かといってインドが世界の覇権を握るというシナリオは、もっと考えにくいでしょう。

では例えばこれから10年、20年、30年・・・どんな世界がやってくるのでしょう。今回はそんな妄想をしたいと思います。

一番ありそうなのは、ますます世界が多極化し、さまざまなリスクが高まるというシナリオです。

アメリカは今でもITやAI、メタバースなど、新しい産業をどんどんと生んで育てています、そういえば僕がサラリーマンになりたてだった1980年代、僕らは当時のアメリカを見てこんなふうに考えていました。

「あの国はいったいこれから何で食べていくんだろう」

当時の日本は絶好調で、半導体や家電、自動車、造船、鉄鋼などなど、キラ星のように世界有数の産業を持っていました、その絶好調日本から見ると、アメリカは落ちぶれて将来性がない老大国に見えたものでした。

でもその考えは間違っていたことが、徐々に明らかになっていきました。

一時は死んだようにみえたアメリカですが、1990年代の後半あたりからアップル、グーグル、マイクロソフトなど新興企業が次々に育ちましたし、ITやAI、ネットワーク、ソフトウエアやスマホなど新しい産業分野も育ちました。

アメリカは自ら創り出した産業で独占的な地位を築き、世界中からおカネや人を引き付けてゆくことになります。

おそらくこれがアメリカ人の国民性で、彼らはよほど新しい産業を生み出すことに長けており、自ら築いた領域で圧倒的な利益を上げることが得意なのでしょう。

こんなふうに考えると、無から有を生み出せるアメリカは、近未来でも無限の可能性をもっていることがわかります。

一方で、アメリカが1900年代のように覇権国家に戻れるかといえば、それもないと思います、たしかに中国の近未来には閉塞感が漂っていますが、それでもサイズ感から見ると、すでにアメリカ一極体制に対抗できる存在になってしまっています、さらにその先にはインドやアジア、中南米、トルコなど、いわゆるグローバルサウスの経済も拡大中です。

あいかわらずアメリカが圧倒的な経済力を持ちつつ、そこにやや規模が劣る中国が絡んでゆく、そんな2強の後からインド、アジア、中南米が追いかける・・・世界経済はこんな多極化の時代を迎えようとしています、僕などは昔の人間なので、どうしても冷戦後のパックス・アメリカーナ(アメリカの繁栄のもとでの世界の平和)思考から抜け出せませんが、その平和な時代は過去のものだと考えを改めるべきだと思います。

カオス

多極化を別な言い方をすればカオス(混沌)で、そこにどんな突発的な混乱が起きるのか・・、その点について予測は困難です。

すでにプーチンの戦争が起きて1年半になりますし、中東で起きつつある紛争は、いつ広域化して戦争に至るか予想不能です、北東アジアでは常に北朝鮮がカオスの震源地ですし、そこに中国とロシアが加わって、新しい東側勢力としてまとまりつつあるもの気になります。台湾問題で中国を封じようと、アメリカは日本や韓国、オーストラリアを加え対抗軸を作ろうとしていますが、こんな緊張状態でいったい何が起きるか不気味です。中国は南シナ海全体を自国の領土だと根拠のない主張を繰り返し、そこにいくつかの人工島と軍事施設を築いています、インドネシア、ベトナム、マレーシア、フィリピン、さらにアメリカとの間で、もめごとが起きないほうが不思議です。

いま、この世界が、すでにカオスの中にあるということを、私たちはもっと意識するべきではないでしょうか。

そしてそれを前提にした資産運用スタイルに、徐々にシフトしてゆくべきだと僕は思います。

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