価値あるコインを求めてLooking for valuable coins
昔のオークションカタログを見ておもうこと
2023年8月31日
僕はときどきむかしのオークションカタログを見ることがありますが、そのたび新しい発見があるから不思議です、先日も野球を見ながらパラパラめくっていたのですが、途中から野球どころではなくなりました。
4-5年ほど前に国内で開かれたオークションのカタログなのですが、その後ビックリするほど値上がりしているものもあれば、ほとんど動いていないコイン、なかには逆に値下がりしているものもあるのです、今に始まったことではありませんが、あたためてこうやって昔を振り返しますと、相場のトレンドがよくわかります。
今回はそんなむかしのカタログから、思いつくままに過去の相場を紹介させていただきます。
まずはフランスで1800年代に発行されたナポレオンの100フランです。
たとえば2019年のカタログをみますと、1864年のパリ鋳NGC-MS62+が26.1万円で落札されています(オークション会社の手数料込みで約29万円)、信じられない安さで、今ならこの状態ならオークションでも80万円ほどの値がつくでしょう。
(ナポレオン100フラン、1866年パリ鋳、「ときいろ」のサイトより)
同じオークションで1866年のストラスブール鋳PCGS-MS64、抜群の高状態がでており、たったの110万円(同121万円)で落札されています。今オークションに出てきたら250-300万円ほどの値が付くでしょう、振り返れば当時のナポレオン100フランは安すぎました、さらに10年ほど遡れば地金コインの時代があったのにも驚きます、異様な安さは時を経ず訂正される一つの事例として記憶しておくべきでしょう。
あと都市景観のダカットの安さにも驚きます。
以下はバイエルンで1640年に発行された5ダカット金貨です、状態はNGC-MS63とかなりの高状態ですが、落札価格は驚きの360万円です、実はこのコインは僕自身が代行入札したのですが、あらためて当時の安さに驚いてしまいました。このコインは近年人気化しており、たとえば今年年初に銀座コインさんが発行したカタログで、NGC-MS62が1150万円で販売されソクSoldになっています(すみません、銀座コインさんが高値で売っているのではなく、今の相場が上がっているのです)、Yさん、おめでとうございます!もちろん値上がりする可能性が高いと考え提案したのですが、ここまで急騰するとは思っていませんでした。(弊社コインサイトの代行事例、登録番号043です)
(バイエルン1640年、マキシミリアン1世の5ダカット、弊社代行入札サイトより)
あとイギリスのビクトリアの5ポンドも随分と値上がりしたのがわかります。
以下は1893年発行の、いわゆる「オールドヘッド」です、オールドヘッドは当時から「ジュビリーヘッド」に比べて高値を付けていましたが、下のコイン(現品です)はNGC-MS63と高状態にもかかわらず、落札価格は101万円(総支払額ベースで112万円ほど)にすぎません、このコインも弊社が代行落札したものですが、今ならMS63が250万円ほどになるでしょう。
(イギリス1893年5ポンド金貨「オールドヘッド」)
続いて目についたのはアンナンです。
たとえば2019年1月のカタログに以下のコインが見えます。
- 嗣徳通宝5銭、PCGS-AU58:44万円
これなどビックリの安さです、同じ銘柄の写真がなかったので類品の写真で代用させていただきますが、当時のアンナンの安さに改めて僕は驚きました、アンナンは数字付の個体がめったになく、嗣徳通宝の5銭でAU58なら、いまコイン商で130万円-150万円ほどの値札が付くでしょう。
(アンナン1848年、嗣徳通宝5銭銀貨、ときいろさいとより)
日本の明治銀貨や同金貨の値上がりにも改めて驚かされます。
思い起こせば当時、特に円銀と呼ばれる明治の一円銀貨など、マニアの収集品にすぎませんでした。値も「一山いくら」状態で、MS64程度の高状態でも3万円前後が落札相場でした。たとえば準特年の明治35年のMS65が出品されていますが、落札価格はビックリの8万円ほどです。いまならオークションでも40万円ほどの値が付くでしょう。
(明治3年一円銀貨、ときいろさいとより)
続いてもう一枚アジアから、先月もお話ししたインドです。
下のコインはイギリスがインドに作った国策会社「東インド会社」で発行されたモハールです、ビクトリアの顔がキツネに似ていることから、「フォックスフェイス」と呼ばれる希少品です、状態はNGC-MS62で当時の落札価格は77万円でした。
実は先日、僕はこの銘柄の同状態を代行で落札したのですが、オークション会社の手数料込みの価格は400万円以上になりました。ざっと当時の5倍ほどですが、インド経済の成長性を考えると、本当の相場はこれからです。
(1941年、イギリス東インド会社のモハール、ヘリテージオークション社サイトより)
以上、目についた出世コインをいくつか見てまいりましたが、この間、大きく値上がりしているのは上に挙げたコインだけではありません、
- アジアの1800年代以降のコイン
- アジアの現代コイン
- ヨーロッパで1600年以降に発行された金貨(小型もOK)
- 古代ギリシャ・ローマの金貨
- 古代から英印にかけてのインド金貨
- 中南米で1700年代から1800年代にかけ発行された大型金貨
など、実に幅広い銘柄が値を上げていることがわかります、一方でほとんど値動きのない銘柄群や逆に値を下げた領域もあります。
たとえばイギリスや同国連邦諸国で発行された現代金貨です、ちょうど5年ほど前、日本の新興コイン商が煽り立て驚くほど値を上げましたが、この時代がピークで、いまはすっかりとコイン商の不良在庫となり、半値からものによっては1/3ほどに値を下げています。
コインも株と同じで、大勢の投機家が騒ぐ銘柄は過熱感があり、値下がりのリスクに気を付けなければなりません、逆に当時まったくノーマークだった銘柄、たとえば
- 経済成長著しいアジアやインド
- モダンコインから徐々にアンティークの仲間入りの過程にあるコインのうち、注目度の低い銘柄
- 歴史的な価値があるにも関わらず、ちゃんと評価されていない古代のコインたち
- なぜか誰にも注目されず、不自然な安値に放置されている領域、たとえば中南米や16世紀以降の初期から中期のターレル
こんな銘柄群が値を上げた5年間だったといえるでしょう、値はあげてきましたが、まだ適正な評価にはほど遠い領域もあります。「そんな領域を発見し、こっそりと仕込みたい」、むかしのカタログを見ながら改めて僕は思いました。
単なる入札代行ではなく、このサイトの主催者である田中がコンサルさせて頂きます、
コイン初心者の方でも安心してご利用いただけます。