価値あるコインを求めてLooking for valuable coins
2023年10月のオークションを振り返る
2023年10月31日
10月はコインオークションの繁忙期で、国内外でいくつかのオークションが開かれました、内容的にも新しい傾向がみられるようになってきましたので、僕自身の備忘もかねてこのあたりでまとめさせていただきます。
まず大きな傾向からです。
一つは中国コインの下落ですが、すべての中国コインが値を下げたわけではありません、そのあたりを下でまとめておきます。二つ目は日本国内で開かれたオークションの活況です、多くの新規コレクターや投資目的の参加者を集め、相場も驚くほど上がりました。日本の市場に関しては次回のレポートでまとめさせていただきます。
ではまず中国コインからです。
中国コイン
参考になるのは香港で10月に開かれたオークションです、このオークションは中国コイン最大のオークションで、毎年激レアコインから、ありふれたコインまで何日にもわたってセリが行われます。
ご存じのように中国経済は回復力が鈍く、特に不動産相場は多くの都市で前年を割れています、このことから富裕層マネーの離散が懸念されていましたが、案の定といったところです。僕は一昨年に中国コインが激上がりしたとき、多くのお客さんにオークションへの出品をお勧めしましたが、振り返るとあの時がピークで判断は間違っていませんでした、翌年(2022年)ですら売却の好機で、昨年売られた方もマズマズの成果を手にされたことと思います。
中国コインの下落はその後も続いていますが、たとえば「自動車ダラー」や「袁世凱の小顔」など、希少性の高い銘柄については下げ止まり傾向が見えるようになってきました。
たとえば自動車ダラーです、
(中国、貴州省1円銀貨1928年)
発行数が少なく、いつもオークションの花形ですが、1年前と今回の落札価格は以下の通りです。
2022年10月
- NGC-AU50: USD 39,000
- NGC-AU55: 不落
- NGC-AU50: USD 40,000
- NGC-EF40: USD 32,000
- NGC-EF40: USD 34,000
- NGC-VF35: USD 16,000
- NGC-VF35: USD 12,000
- PCGS-EF40: USD 85,000
2023年10月
- PCGS-EF45: USD 65,000
- PCGS-VF30: USD 17,000
- PCGS-VF30: USD 26,000
- PCGS-EF45: USD 110,000
- NGC-EF40: USD 42,000
数字付鑑定の出品は以上です、これを見る限りむしろ2022年のほうが少し安いような気もします、すくなくとも下げ続けているようには見えません。
続いて袁世凱の小顔タイプ(裏側「飛龍」)です、
(中国1916年、袁世凱1ドル銀貨「飛龍」)
2022年10月
- PCGS-MS64+: USD 110,000
- PCGS-MS64+: USD 75,000
- PCGS-MS63: USD 90,000
- PCGS-MS63: 不落
- NGC-MS62: USD 36,000
2023年10月
- PCGS-MS64: USD 87,500
- NGC-AU55: USD 22,000
今年のサンプルは少ないですが、それでも昨年と比べそん色のない価格です。
もう一つ,「大清銀幣」も見ておきましょう。
(大清銀幣1911年)
2022年10月
- PCGS-MS65+: USD 60,000
- PCGS-MS65: USD 65,000
- PCGS-MS64+: USD 38,000
- NGC-MS64: USD 18,000
- PCGS-MS64: USD 30,000
2023年10月
- PCGS-MS64+: USD 28,000
- PCGS-MS63: USD 15,000
- PCGS-MS63: USD 13,000
- PCGS-MS62: USD 11,000
- PCGS-MS63: USD 16,000
今回はMS65クラスが出てきませんでしたが、64/63あたりを比べると昨年と大差ないように見えます。
これはわずかのサンプルですが、ほかのレアコインに関しても、昨年実績と比べさほど大きな差はなかった印象を受けました、一方で数がたくさんあるコインに関しては、この1年でずいぶんと値崩れした印象です、例えば孫文の民国23年の1円銀貨です、昨年あたりMS64クラスが1000から1400ドルほどで落札されていましたが、今回のオークションでは400から600ドルほどが落札相場になってしまいました。
これは中国コインで以前も見られた現象です、中国人の国民性もあると思いますが、中国コインは以前も急騰し、その後急落したことがありました。急騰したのは2009年から2011年あたりだったと思います、中国はリーマン・ショック対策で2008年に4兆元の経済対策を打ったことがあります。その影響が大きかったと思うのですが、株や不動産、美術品などが急騰しました。もちろんコインにも大きなお金が入り相場も上がりましたが、その反動で2012年あたりから下落に転じたのです。あの時も自動車ダラーはじめレアな銘柄はさほど下げなかったのですが、一緒に買われた「その他大勢組コイン」は反動から大きく値を下げ、ほぼ高騰前の水準に逆戻りしました。今回も同じことが起きたのだと思います。
でもいずれ中国コインの反発は始まると思います、逆張り派の僕はそろそろ出動しようと思いますが「その他大勢組コイン」はやめといたほうがいいでしょう、買うならレアな銘柄、極力状態の良い銘柄を狙うべきだと思います。
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