価値あるコインを求めてLooking for valuable coins
2023年11月のオークションを振り返る
2023年11月30日
今月は、最近のオークションの結果から、特に中国コインの相場動向と今後の予想についてお話ししました、今回はお約束通り最近開かれた国内オークションの結果を、少し備忘録的にまとめておきたいと思います。
10月のオークションールドと11月の銀座コインオークションの結果から、いくつか点描させていただきます。
イギリスコインの頭打ち
総じて申し上げますと、イギリスコインの頭打ち感がさらに明確になった印象です。近年、急速に相場を上げてきたイギリスコインですが、例えばビクトリアのプルーフクラウン(いわゆるゴチック・クラウン)はPR64クラスで500万円半ば、PR63なら300万円、PR62が200万円ほどで相場が固まった印象です。近年値を上げてきたビクトリア・オールドの5ポンド・プルーフもPR61が300万円台半ば、PR62なら600円台半ばです、この銘柄もまた相場が固まりました。この2銘柄はイギリスの高額コインの代表格ですが、ほかに5ギニーやクラウンなども目立った相場の変動はありませんでした。
(イギリス1847年クラウン、通称「ゴチック・クラウン」、弊社オークション代行事例より)
そのほかヨーロッパ
イギリス以外に目を向けると、たとえばドイツ1796年にフランクフルトで発行された1ダカットのMS62が2枚出てきましたが、それぞれ120万円/130万円で落札されました。都市景観の人気デザインですが、1ダカットですからごく小さいヤツです、2ダカットや4ダカットならわかりますが、ドイツやオーストリアの金貨ダカットも、ここまでの値段が付くようになってきました。とにかくこの一年は大型のダカットの値上がりが激しく、その影響で少額面のダカットが買われているようです。
ほかのヨーロッパではイタリアの金貨がジワジワ値を上げています、有名なビットリオ・エマニュアル3世の「豊穣の女神」や「在位25周年」が代表例です、残念ながら「豊穣の女神」の高状態は出てきませんでしたが、MS62程度でも130万円(総支払額150万円)で落札されています。
(イタリア1912年100リレ、ビットリオ・エマニュエル3世「豊穣の女神」、「ときいろ」サイトより)
この2回で「ファシスト政権一周年」は出てきませんでしたが、今年この銘柄は出世しました、デザインがイマイチで、この3銘柄の中ではもっとも人気がないコインですが、それでも未使用クラスなら100万円ほどの値が付くようになってきました。
フランスはナポレオン3世の100フランと、それに続く「共和制のエンジェル100フラン」がジワジワ値を上げています、今回もナポレオン1862年BB(3078枚発行)のMS63が出てきて240万円也、1859年AのMS63が130万円で落札されました。
(フランス1866年ナポレオン100フラン、「ときいろ」サイトより)
イギリス以外のヨーロッパは、総じて妥当なレベル内での値上がりという印象です。
アジア
アジアのコインには勢いを感じます、特にインドです、今回は古代のいいのが出てきませんでしたが、イギリス領インドはじめ、同時代の藩王国発行コインは何枚か出ていました、なにより目を引いたのはハイデラバードのアシュラフィです、この銘柄など3年ほど前はMS67でも60万円前後で売買されたものですが、今回はMS66がなんと205万円で落札です、下見したところ欠点がない良いコインではありましたが、それでも205万円(総支払額ベース238万円)はちょっと無いと思います。僕はインドコインの将来性は高いと前々から考えていましたが、238万円は3年や5年かけて到達すべき相場帯だと思います。株と一緒で皆さん先読みしてビッドを入れているのでしょうか?
(インド1915年、ナイデラバードの1アシュラフィ、「ときいろ」サイトより)
イギリス東インド会社も高値を付けており、1840年のビクトリアのモハールが、MS61で360万円、MS60が240万円でした、イギリス東インド会社は年初から随分と値を上げており、いったい足元の相場帯がどのあたりにあるのかつかみにくかったのですが、ようやく相場が見えてきた感じです。
インドはじめアジアは相場が始まったばかりです、これから楽しみな領域だと思います。
中南米
注目のペルー100ソルですが、銀座オークションでビックリの値が付きました。1961年銘(6982枚発行/並年号)のMS64が180万円(総支払額210万円)でした、今年の夏あたりまではおとなしく、この年号でこの状態なら、やっとこさ40万円ほどで落札されていたものですが・・・、いったい何が起きたのでしょう。
(ペルー100ソル「女神座像」1967年、「ときいろ」サイトより)
たしかに爆上げの兆候はありました。10月のオークションワールドで1963年銘(7342枚発行/並年号)のMS65が70万円、1965年銘(2.7万枚/多年号)のMS66が110万円(総支払額122万円)でした。すでにその時点で僕は「来てるな!」と思いましたが、まさか一月後こんなことが起きるとは思いませんでした。確かにこの銘柄は希少性、デザイン、重量の点で出世の要件を満たしていますが、それでも発行されてから60年ほどしかたっていません、さきほどのハイデラバードと同じで、本来なら3-5年かけゆっくりと到達する相場帯に一足飛びに来てしまった格好です。ただしこの銘柄がどこまで行くかという近未来について考えた場合、今回の落札価格が正当可される可能性はあります。イギリスの「ゴシッククラウン」や「ウナとライオン」、5ギニーなどや、チェコの「バンセラセス」10ダカットの値あがり始めの時もそうでした。いずれにしてもペルー100ソルの今後は注意してみておきたいと思います。
以上、今回は10月と11月の国内オークションの結果を紹介しました、ビックリするような値を付けたコイン、ほぼ予想通りのコイン、頭打ちで安定期に入ったコイン、様々ですが、今年一年を振り返るとコイン市場は活況でした。冒頭コラムのように現物志向が高まっているのは肌感覚で感じる一年になりました。「ときいろ」や弊社の「オークション代行サービス」をご利用いただいたコインの中にも、大きく出世したコインがたくさんあります、皆さんにとっても良い一年になったと思います。
単なる入札代行ではなく、このサイトの主催者である田中がコンサルさせて頂きます、
コイン初心者の方でも安心してご利用いただけます。