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Looking for valuable coins

あらためてペルー100ソルについて考えてみる

2025年4月26日

僕は以前からペルー100ソルを推奨してきましたし今も変わりありません。

(ペルー100ソル金貨、1961年銘/「ときいろ」のサイトより転載)

ペルー100ソルは1950年から1970年にかけ21年間にわたって発行された大型の金貨です。世界のコイン市場を広く見渡して、ペルー100ソルのようなコインを見つけることはできません。

まずはそのサイズ感です。

直径は3.7センチほどとデカいですが、厚みもあって重さはなんと46.8グラムです、地金型金貨の代表選手メープルリーフ金貨はジャスト1オンス(≒31.1グラム)ですが、ペルー100ソルは1.5オンスほどもあります、金の純度は90%ですから一枚当たり純金にして約1.35オンスです。

(いまでもそうですが)当時のペルーの経済はさして大きくもなく、なぜこんなにデカい金貨を発行する気になったのか不思議です、単年発行の記念金貨ならまだ理解はできますが、上記のようにこの銘柄は20年以上にわたって発行されてきた、いわば「通常貨」です。

あえてこの銘柄に対抗できる同時代のコインを挙げるとすれば、メキシコの50ペソです。この50ペソは、基本的には1921年の単年発行ですが、翌年以降も同じデザイン、同じサイズでリストライク貨が1947年まで発行されました。ただし発行数という点でいえば、明らかにペルー100ソルのほうが希少で、50ソルのほうは800万枚以上発行されています、これに対し100ソルのほうは9万枚ほどにすぎません。

(メキシコ50ペソ1921年/ヘリテージオークションのサイトより転載)

ここで改めて両社の諸元を比較しておきます。

◇ペルー100ソル

  • 1950年から1970年
  • 直径37ミリ、重さ約46.8グラム、金品位90%、純金重量1.35オンスほど
  • 総発行数は約9万枚

◇メキシコ

  • 1921年から1947年(ただしオリジナルは1921年のみ、しかも1948年以降も1947年銘で継続発行されています)
  • 直径37ミリ、重さ約41.8グラム、金品位90%、純金重量1.21オンスほど
  • 総発行数は約800万枚以上

上記のように、ペルー100ソルとメキシコ50ペソは「似て非なる」もので、価値は圧倒的に100ソルが上です。

あえてほかに同時代の希少大型金貨を挙げるなら、トルコで1942年以降に発行された500クルシュ金貨でしょう。

(トルコ500クルシュ金貨、1961年銘/「ときいろ」のサイトより転載)

サイズは4.4センチほど、重さは35グラムほどもある大きな金貨です、金の品位は90%ですから一枚当たりに含まれる純金は1.03オンスほどあります。特に初期の年号は発行数が少なく、それ以降を見ても1960年までは各年1万枚以下というまずまずの希少性です。

最後の通常金貨として歴史に残る

でもよくかんがえてみれば不思議です、たとえば1800年代あたりには、フランスのナポレオン100フランやイタリアの100リレ、イギリスの5ポンドにアメリカの20ドル、日本でも20円金貨など大型の通常貨がアチコチで発行されましたが、第二次世界大戦以降をみると通常貨の金貨は急速に下火になりました。おそらく貨幣の世界でも金本位制が崩れ始め、素材が安価なニッケルや銅など非金属が移っていったからだと思います。

一方でペルー、メキシコ、トルコなど新興諸国は国家の威信を内外に示すため、大型の金貨を発行する動機があったのだと思います、まあそんな理由から当時の新興国の中でも比較的経済力があった国が、このように大型の通常貨を発行したのかもしれません。

以上は僕の推測ですが、いずれにしてもこの時代(第二次世界大戦の終結から1970年あたりにかけ)、大型の通常金貨が定常的に発行された事例をみると、ペルー100ソルにくわえ数例しかありません、そのなかでもデザインの美しさ、発行数の少なさ、金の含有量の多さ、以上3つの点で、100ソルにまさるコインはありません。まさに出色の一銘柄と言っていいでしょう。

初年号は1950年銘ですら、発行されて75年しか経っておらず、その点では「アンテーク」の定義から外れますが、あと25年もすれば100年です。市場はそれを織り込みすでに値を上げつつありますが、僕はまだまだこんなものじゃないと思います。

一昨年に急騰したあとやや下げて、現在、並年号の高状態でオークション相場は100-110万円ほどですが、この間の金価格の上昇により、地金価値だけで70万円を超えています。

ペルーの100ソルは、最後の大型通常貨としてまだまだ相場は始まったばかりだと僕は思います。

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