価値あるコインを求めてLooking for valuable coins
「準地金型金貨」で儲けるために
2025年3月31日
本レポートの商品相場のところでお伝えしましたが、1オンスあたりの金価格が3,100ドルを超えました。今回はまず足元で進む金価格の上昇がコイン相場にどん影響を与えているか、その点からついて少し考えてみたいと思います。
足元で進む金価格の上昇がコイン相場にどん影響を与えているか
金価格の上昇と明らかに連動する変化は、かつてはほぼ地金価格で売買されていた近代大型金貨の急速な値上がりです。これらのコインを表現する言葉は今までなかったので、ここでは便宜上「準地金型金貨」と呼ぶことにします。
一方で世の中には「純粋な地金型金貨」もあります、例えばカナダの「メープルリーフ金貨」やオーストリアの「ウィーン金貨ハーモニー」など、膨大かつ継続的に発行されており、希少性が全くない金貨です。このような「純粋な地金型金貨」は、今でも国内外の貴金属商で売買されています、でも購入の際一点ご注意いただきたいことがあります。
たとえば田中貴金属での「メープルリーフ金貨」の売買価格をみると、2025年3月28日時点で
- 販売価格=541,085円
- 買取価格=493,685円
となっています、ウリとカイの中値を計算すると517,385円ですから、同社の売価は中値に対して約4.58%の手数料が加算されていることがわかります。
- (541,085円+493,685円)÷2=517,385円
- (541,085円÷517,385円)-1≒0.0458
この4.58%は地金に対する希少価値の加算分ではなく、単純な手数料である点にご留意ください。
以上の前提で、ここからが本題です。
準地金型金貨にはどんな銘柄があるか
では初めに、「準地金型金貨にはどんな銘柄があるか」という点からお話ししたいと思います。
前月の当欄でも少し触れましたが、最もなじみ深いのはアメリカで1907年から1933年まで発行された20ドル金貨です、この金貨はデザイナーの名をとって「セントゴーデンス」と呼ばれ親しまれていますので、以後この名前を使いたいと思います。


(アメリカ、セントゴーデンス20ドル金貨)
この銘柄の重さは33.436グラム、金の純度は90%ですから一枚当たり30.09グラム(=0.968オンス)の金が含まれています。1オンスにはホンの少し足りませんが、まあ1オンスサイズと呼んでも差しつかえ無いでしょう。
ではこのコイン、過去どんな値動きをしてきたのでしょう。いま僕の手元に4年前のアメリカコインカタログ(A Guide Book of United States Coins 2021)がありますが、例えば最も多く発行された1928年銘をみると、MS63クラスが1675ドルになっています。振り返れば当時の金価格は1オンス=1800ドルほどでしたので、当時のこの金貨は地金よりむしろ安かった(注)ことになります。
注)カタログの発行は年に一回だけなので、時々このような不思議な現象が起きます、準地金型金貨の場合、実際に市場で売買される価格はカタログ価格を一定の参考にしつつ、金の地金価格の影響も大きく受けます、特にMS63程度の(このコインの)並み状態の個体には、希少価値がほとんど乗っておらずその傾向が強く出ていました。
(金の現物価格10年間の推移、楽天証券サイトより転載)
さすがに最近ではそんな逆転現象は解消しましたが、今でもこの銘柄は地金価格+アルファ程度で入手出来てしまいます、まあ大雑把に行ってしまえば、セントゴーデンスの相場は金の価格にスライドして上がってきたと言っていいでしょう。
現在の金価格は1オンス当たり54万円(注)ほどですから、並み状態(=MS63程度)のセントゴーデンスの売価も54万円+アルファが妥当な水準でしょう。ちなみにアルファというのは幅のある表現ですが、おそらく良心的なお店で3万円ほど、一般的には5-10万円ほどではないかと思います。もちろん10万円以上のお店もあります。
注)冒頭の田中貴金属のメープルリーフ金貨の店頭売価より
ただしいつくつかの注釈が必要です、メープルリーフと違ってセントゴーデンスは発行から100年ほどたったアンティークコインです、上で僕は「セントゴーデンスの相場は金の価格にスライドして上がってきた」と書きましたが、それはMS63程度の並み状態の個体のお話です、近年は金の価格上昇にともなってセントゴーデンスへの注目度が少しずつ上がっているように思います、その結果、状態のよい個体に対する希少価値も高まっており、もっとも発行数が多い1928年銘ですら、MS67ともなれば市場で13,000ドル以上の値が付くようになってきました、日本円で税込み210万円ほどです。
さて問題はここからです。
ここまでを整理しますと、「準地金金貨」の値動きは以下2点で決まるといえます。
- 金の価格
- 1に対する希少価値の上乗せ部分
1に関する僕の見立ては商品相場のところでお話しした通りですので、ここでは2についてお話ししたいと思います。
いつも申しあげているように、コイン収集は「富裕層の遊び」的要素が大きいと思います、したがって私たちがコイン投資で儲けるためには、「今後富裕層が好むであろうコイン」を先回りして入手しておくことが大切です。
では富裕なコレクターはどんなコインを好むのでしょうか、一般に富裕層はどこにでもあるコインを好みません、世の中にあるレアなもの、他人が持っていないコインに執着する傾向が強いように思います。
たとえば先ほどのセントゴーデンスでも、世界恐慌があった1932年銘は圧倒期に残存数が少ないですし、たくさん発行された1924年や1928年でも、上記のようにMS67クラスは数えるほどしか残っていません。
たとえば古代や中世などのコインをみると、そもそもほとんど残っておらず、状態など関係なく「ある」というだけで希少な銘柄があります。が、セントゴーデンスはじめ「準地金型金貨」の時代になります、とおそらく何百万枚という単位で残っていると思います、したがって以下2点が希少性を決めるといっていいでしょう。
- 年号
- 状態
つまりたとえばセントゴーデンスのような「準地金型金貨」の今後の値上がりを追求するならば、年号と状態が大切だということです。
できるだけ希少な年号を手に入れる、並みの年号なら少しでも高い状態のコインを手に入れる。この2点を覚えておけば、いまは準地金型金貨などと呼ばれるコインでも、よい投資になると思います。
単なる入札代行ではなく、このサイトの主催者である田中がコンサルさせて頂きます、
コイン初心者の方でも安心してご利用いただけます。