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Looking for valuable coins

これからの貨幣と金

2025年6月30日

ニクソンショックで変わった貨幣と金の関係

先月の当欄でお話ししましたが、人間がちゃんと打刻された通貨を使い始めたのは紀元前600年前後です。そこから現在まで2600年ほど経っていますが、私たちはその期間のほとんどを金や銀、銅などで作った貨幣、もしくは金との交換が保証された紙幣を使い続けてきたことになります。

この安定状態に大きな変化が起きたのは1971年に起きたニクソンショックです、当時のアメリカ大統領ニクソンはドルと金の交換停止を宣言しました、それまではドルをもっていけばアメリカ政府が金と交換してくれたのですが、この時点から交換が停止されたのです。

ニクションショック以前も銀貨や銅貨、ニッケルや白銅など卑金属、もちろん紙の貨幣も使われていましたが、いずれも(概ね)ドルを介して金との交換が保証されていたわけです。したがってニクソンショック以前とそれ以降では、貨幣の性格が一変したと言っていいでしょう、「貨幣が完全に金と切り離された」という意味で・・・。

この55年で起きたこと

上記のようにニクソンショック以降、貨幣は金と完全に切り離されました、つまり貨幣はニクソンショック以前の2600年と、それ以降の55年で全く性格を変えてしまったといっていいでしょう。

ではこの55年でどんなことが貨幣の世界で起きたのでしょうか、ここで少し整理しておきたいと思います。

まず起きたのは貨幣の大量供給です、ニクションショック以前、各国の政府は貨幣と金の交換を保証するため、貨幣の発行量を一定程度の範囲にとどめる必要がありました。が、1971年にそのタガが外れてしまったといえるでしょう。その結果、各国の中央銀行は大量の貨幣印刷を常態化させ現在に至っています。

(日米欧3中銀の保有資産の残高推移2005年以降、日本経済新聞2024.3.21記事)

上のグラフは日米欧3つの中央銀行の資産残高の推移ですが、大雑把に言ってこれだけの紙幣を市場に供給してきたと言っていいでしょう。

3中銀は危機のたびに貨幣の供給量を増やしてきました、足元では少し回収に向かってはいますが、いずれまた危機はやってきます。そもそも金融危機に対し、政府や中央銀行が採れる手段は利下げと貨幣供給しかありません。過去55年そうだったように、今後も貨幣の供給量は増え、逆に相対的な金や現物資産の価値は高まることになるでしょう。

もう一一点この55年で起きた顕著な出来事は、仮想通貨に代表される「電気信号マネー」の登場とその拡大です、これもまた上のように各国政府、なかでもアメリカによる紙幣バラマキの帰結でしょう。

(ビットコイン価格2016年以降のグラフ、Investing.comサイトより転載)

この55年で起きたことの3つ目は金価格の上昇です。

下のグラフはニクソンショック直前の1969年以降の1オンス当たり金価格です。1971年以前の金価格は1オンス=35ドル(黄色矢印)で固定されていましたが、それ以降は上昇し続け足元では1オンス=3300ドルほどです。

(ドル建て1オンスあたり金価価格1969年以降のグラフ、「かぶれん」サイトより転載)

上の3つのグラフは何を語っているのでしょう。

僕は貨幣の供給過多と、それに伴って起きてしまった貨幣価値の希薄化だと思います。そしてその起点は1971年の金とドルの交換停止にあると思います。

では今後の貨幣と金の関係はどうなるか

ここからは僕の想像です。

上の推測、つまり現在貨幣の世界で起きているのが「ドルと金との交換停止によって起きた貨幣の供給過多と、それに伴って起きた貨幣価値の希薄化」だという推測が正しければ、これから何が起きるのでしょう。

一つの可能性は、各国が共同して「法定の貨幣や電気信号マネーの発行量に制限を加える」という予想です。でもこれは理想にすぎず、おそらく近未来の人間はそんなに賢くないでしょう。

もう一つの可能性は、「このまま貨幣の発行量はどこまでも増え続ける」という予想で、これがメインのシナリオになると思います。そもそも金の価格が上がってもだれも困りません、これは産業用途が少ない金ならではの特徴です。これからもたびたび金融危機が起きるのは間違いありませんし、世界の経済規模も間違いなく拡大し続けるでしょう。これらはいずれも通貨発行量(「法定の通貨」と「電気信号マネー」の合計)を増やす要因です。

結果として起きるのは相対的な金や現物資産価格の上昇で、いまのところこの現象に終着点はみえません。

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