価値あるコインを求めてLooking for valuable coins
日本の明治金貨について考えてみる
2025年8月28日
ぼくは友達や知り合い、そしてお客さんなどによく日本の金貨や銀貨についてお話しします。でもそんなとき相手から決まって以下のような反応が返ってきます。
「それ何?」「見たことないで」
こんな反応にはもう慣れっこになっていますが、僕はもっと自分の国の歴史に関心を持ってほしいと思います。
たとえば明治3年に発行された旧金貨6種です。
どれもデザインが素晴らしく、当時の世界を見渡してもこれを超える金貨はないと思います、それほどデザイン性が高くなおかつ精巧に作られています。
明治新政府は不平等条約の改正を目指すため、欧米から「日本は文明国」だと認められたかったのでしょう、僕などはこの明治旧金貨をみていると、明治維新を生き抜いた先人の涙ぐましい努力を感じます。
「世界に負けないコイン」といっても潤沢なおカネがあるわけではありません。技術的にはイギリスから造幣局の技術者を雇えば何とかなりますが、何ぶんコインを製造するための機械がありません、イギリスやドイツに発注すれば手に入りますが、大砲や銃のように大量生産されているわけでもありません、おそらく受注生産に近い機械だったはずで、その場合、発注から納品まで数年はかかってしまいます、なによりおカネも十分にありませんでした。
そんな事情があって明治新政府は中古の鋳造機を探しました。ちょうど香港は1869年をもって独自貨幣の鋳造を停止しており、中古の機械を売りに出していたのです。いくらで買ったかは知りませんが、中古マシンに外国の技師・・・、これが明治旧金貨の始まりです。
機械は中古、技師は外国人、こんな厳しい環境で、よくもこんなに素晴らしコインを造ったと思います、明治新政府の機能性の高さに驚きますし、実際にデザインを担当した日本人の審美眼や、コインの刻印を造った日本人技師の技術の高さにも感心します。
明治旧20円金貨
特に見栄えがするのは最高額面の20円です。

(明治旧20円金貨/明治3年)
鋳造枚数は46,000枚ほどですが、その大半が昭和恐慌の際にとられた金の輸出解禁によって、海外に流出して溶かされてしまったといわれてます。なんとかその難関を潜り抜けた明治の金貨たちも、太平洋戦争中に政府によって大量に接収されたうえ、終戦とともにそのままGHQの管理下に移されてしまったのです。
1950年のサンフランシスコ講和条約によってそれらは日本政府に返還されましたが、そのまま大蔵省の金庫に眠り続けました。明治金貨が再び日の目を見たのは平成17年です。当時の政府は、保有するすべての明治金貨をオークションで販売を決めました。一連のオークションで販売された金貨は3万枚あまりにのぼりましたが、この旧20円金貨は全体の0.3%以下(94枚)に過ぎません、このことからもこの旧20円金貨の稀少性がわかります。おそらく現在市場に残っている枚数は300-400枚ほどではないでしょうか。
この大量売り出しにより、明治金貨は大きく値崩れを起こしましたが、それも一時のことでした。現在では逆に売り出し前の相場を超え、さらにもう一段の高値を付けるケースが増えてきました。
この20円金貨の最近のオークション相場は、MS63クラスでも1200万円を越えるようになってきました。MS64なら1400万円を越えるでしょう。そういえば僕は銀座コインの近所で仕事をしていたのですが、開業当初(2005年あたりだったと思います)、銀座コインで未使用クラスが450万円で売られていたのを憶えています。振り返ればあの頃が明治金貨の底値でした。
この旧金貨に続いて発行されたのは新金貨と呼ばれる3銘柄です、額面順に20円、10円、5円と続きます。発行初年は明治30年でした。明治も30年たつと、随分と日本経済のサイズも大きくなっていましたし、日清戦争の戦勝賠償金も国庫に入っていました、そのような理由もあって、この新金貨は大量に発行されています。
明治新金貨
たとえば20年金貨をみますと、旧20円の4.6万枚に対して、新20円金貨は5000万枚ほども発行されています。でも一点ご注意いただきたいのは、旧金貨と新金貨のサイズです。27年間に進んだインフレの影響もあったのでしょう、両者の額面は同じ20円ですが、新金貨は旧金貨の半分のサイズしかありません、まあこれがインフレというやつです。

(明治新20円金貨/大正6年)
上の写真は明治新20円金貨ですが、さきほどの旧20円金貨と比べるとどうでしょう、新しいだけに状態の良いものが多く残っていますが、デザインはノッペリとしていて工夫がありません、明治も30年たつと「不平等条約を改定するため、欧米に劣らない素晴らしいコインを造ろう」という気概はこのコインから見えません、「たくさん発行しなくちゃならないので、デザインは極力簡素にしよう」という、悪い意味での大量生産品に陥ってしまったかのようです。
でもこのコインをバカにしてはいけません、足元の金価格の上昇の影響もあると思いますし、お札のままおいておくと価値が下がるという、インフレ時代に当たり前の考えが日本でも定着しつつあるからでしょう、この金貨はじめ明治新5円、同10年も併せ、明治新金貨の価値はジワジワ上昇中です。
足元の新20円金貨は、並み年の並み状態(MS63程度)ですら30万円を越えるようになってきました、MS65なら50万円越えです。新10円ならMS63が17万円ほど、新5円は意外と発行数が少なくMS63でも17万円ほどはします。明治新金貨は発行期間が長いだけに特年号があり注意が必要です、新20円なら明治40年から42年の3年号はいずれも希少でMS63でも100万円超え、新10年なら明治37年と40年が特年でいずれもMS63で40万円を越えます。
明治金貨の今後の予想
さきほども書きましたが、日本は長いデフレ時代を終え、ようやく正常な経済、つまり緩やかなインフレ時代に入ろうとしています。
足元で金利も急に上がってきており、たとえば1年物定期預金の金利も税引き後で0.8%ほどまで上がってきました。つい2年ほど前まで、1年定期預金の金利はほぼゼロだったので、0.8%でも利子がもらえて悪い気はしません。
でもよく考えるととどうでしょう。直近7月の消費者物価上昇率は3.1%でした、1000万円を銀行に預けて1年後に1008万円もらえても、その間物価は3.1%上がっているのです、つまり今の1000万円の価値は、1年後には970万円ほどでしかありません、8万円の利息とあわせても978万円です。
このようなことは計算すればすぐわかるのですが、いつも人の行動は少し遅れます。理論が体験になるまで少し時間がかかるからでしょう。すでに政府は株式投資へのシフトは進めつつありますがそれだけではありません、広い目でいえばおカネをおカネのまま置いておくことに、これから多くの人たちが不安を持つことになると思います。
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