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金価格の上昇とアンティークコイン

2025年9月28日

前段でお話しした通り、足元の金価格は随分と値上がりしています。下のグラフは金の現物価格(ドル建て1オンス当たり)の10年間推移です。

(金の現物価格10年間の推移:楽天証券のサイトより転載)

上のグラフのように、この10年間は階段状に上がっていますが、特に2023年央以降の上昇は顕著です。足元の金価格上昇の要因は前章でふれたとおりですが、どうやらこの問題は一過性ではありません。

足元で急騰する金の価格は、アンティークコインの相場にも大きな影響を与えつつあります。特に影響が大きいのは金貨、しかも地金に近い性格をもった比較的低価格の大型金貨です。一般にこのような金貨は1900年代前後から現在にかけて発行されたコインですが、以下いくつかの代表的な銘柄を紹介いたします。

アメリカの「リバティヘッド」20ドル金貨(1850年-1907年)

このコインはアメリカを代表する大型金貨で、上のように1850年から1907年まで発行され続けています、初期年号のなかには状態によって200万円以上もする年銘もありますが、例えば1904年銘などは2022年あたりまで、MS63程度で30万ほども出せば買えたものです。当時の金価格は1オンスで税込み30万円ほどでしたので、当時は地金価格ほどで買えたのです。つまり希少性ゼロです。

(アメリカ1904年の20ドル金貨:「ときいろ」サイトより

そのあと3年間で金の価格は1オンス62万円ほどになりました。足元のこの銘柄の価格も金価格にスライドして上昇し、MS63でも65万円ほどはいたします。今でもほとんど希少価値は乗っていませんが、1904年銘でもMS65なら100万円ほどするようになってきました。つまり地金コインではあるものの、徐々に希少性が乗っかりつつあるのがこの銘柄の現状です。確かにMS65以上は希少品なので、発行後100年以上経過している点を踏まえると、この現状は当然です。

アメリカの「セントゴーデンス」20ドル金貨(1904年-1931年)

アメリカを代表する大型金貨の例をもう一つ。

下の写真はリバティヘッドについで発行された20ドル金貨です、デザイナーの名前をとって「セントゴーデンス」などと呼ばれますが、この銘柄は先ほどの「リバティヘッド」を引き継いで発行されました。金の含有量は上のコインと同様で約30グラムです。

(アメリカ1928年の20ドル金貨:「ときいろ」サイトより

この金貨もさきほどのリバティヘッド同様、金の価格上昇にスライドするように値を上げてきました、足元の取引価格の下限は62万円ほどで、これはこのコインに含まれる金の価格そのものです。希少価値は「リバティヘッド」のほうが先行した観がありますが、こちらも状態の良いものは地金価格の数倍の値が付きます、年銘にもよりますが並年号のMS67なら200万円近い値で売買されています。

上の2銘柄に関して整理しますと。

  1. 両銘柄とも並み年号の並み状態(MS63以下)は、ここ3年ほどで2倍から3倍に値上がりしているが、これは希少価値が高まったからではなく、金の地金価格の上昇による
  2. 一方で両銘柄とも、希少年号や希少状態は200万円(もちろんそれ以上も)以上するものもある

これが現在の状況と言っていいでしょう。

では今後はどうなるのでしょう。

前章のような理由で金の地金価格が今後さらに上昇するならば、まずはその上昇分だけ平均相場は上がってゆくことになるでしょう、かりに金の価格が1オンス=4500ドルになれば、この銘柄の価格は74万円ほどです。

注)ドル円レートが動かないとします

一方で希少性による上乗せ部分はどうなるでしょう。

ここで参考になるのは同時代にヨーロッパ諸国で発行された大型金貨です。当時のアメリカ経済は巨大で、世界を見渡して大型金貨をあれほど大量に作った例は見当たりません。が、強いてあげるならフランスの100フランが似ているかもしれません。

(フランス100フラン金貨「ときいろ」サイトより)

この銘柄はフランスで1878年から1914年まで発行された大型金貨で、金お含有量は29グラムほどです。その点では先ほどのアメリカコイン2種とほとんど同じですが、発行枚数は格段に違います、たとえばアメリカのセントゴーデンスは毎年十数万枚、多い年には800万枚以上も作られましたが、こちらは全年号合わせても40万枚強にすぎません。

それでも振り返れば5年ほど前まで、この金貨もまた地金価格程度で買えたのが不思議です、たしか30万円ほどで買えた記憶があります。それが今なら並年号のMS63が80万円以上もします、ここ数年の金価格の上昇に加え、希少価値も急速に上がったからでしょう。

ちょっと年代が遡りますが、イギリスで1887年に発行された5ポンド金貨も同様の値動きをしました。こっちははっきり覚えていますが、10年ほど前、オークションでMS63が35万円ほどたくさん落札されていました、MS62なら30万円割れでした。その後、相場はジワジワ上がり、今ならMS63程度で総支払額200万円ほどが落札相場です。

(イギリス1887年、5ポンド金貨「ときいろ」サイトより)

振り返ってみればほかにもたくさんこのような例がありました。ナポレオン100フラン、ジョージ5世の5ポンド、ジョージ6世の5ポンド、ペルー100ソル・・・、いずれも100年ほど前に発行された大型金貨です、このような金貨には以下のような共通の特徴があることがわかります。

  1. 近代に発行された大型金貨で、もともと希少価値はほとんどなく、その価値の大半は金の地金価格で占められていた
  2. 近年進む金価格の上昇によって金貨の地金部分が値上がりした
  3. 2と並行でアンティークコインとして希少価値が乗り始めた結果、売買相場はここ3-10年ほどで3-5倍ほどになっている

ここで強調したいのは、冒頭に挙げたアメリカコイン2種が、このような急騰金貨と同じ性格を持っている点です。

ただし一方で異なる点が一つあります、それは上でも紹介したようにアメリカコインの発行数の多さです。したがってMS63程度までの並み状態コインは地金価格程度にしか値上がりしないでしょう。一方で並年号でもMS64以上の個体、特にMS65以上はさきほどの100フランや5ポンドと同じ道をたどると思いますし、MS63以下でも特年号は注目していいと思います。

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