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Looking for valuable coins

金を買うか、金貨を買うか

2025年10月28日

上で見たように、今月の金と銀は大きく下げました。貴金属市場は株や債券の市場に比べ随分と小さいのですが、その小さい市場に日々大きなおカネが出たり入ったりします。その結果、相場の変動は結構大きく、その点では決して「ミドルリスク」の資産とは呼べません。

多くの人はこの事実をあまり知らず、金(Gold)を安全資産と見ているようですが、価格の上下動という面に注目すれば、金が十分にハイリスクな資産であることを忘れるべきではありません。確かにある意味、たとえば決して紙クズにならず、金融ショックはじめ外部環境の影響を受けにくいという点で、資産の分散効果はあるのですが、価格変動という別のハラハラ感を背負い込むことになるのです。

では金貨はどうでしょう。

金はハイリスク、では金貨は・・・

この問いに対する答えは簡単ではありません。

なぜなら金貨と言ってもさまざまで、金(Gold)そのものの価格に連動する銘柄もあれば、まったく関係なく動く銘柄もあるからです、今回はそのあたりについて少し説明させていただきます。

金の価格にほぼ連動する銘柄

まず金の価格にほぼ連動する銘柄からです。

たとえば下の金貨です。このコインはイギリス造幣局が毎年発行している金貨ブリタニアです。プルーフ貨は毎年限られた枚数のみの発行ですが、通常貨のほうは(おそらく)発行上限は決められていないと思います、金の純度は100%、重量は1オンスですから、まあカナダのメープルリーフ金やオーストリアのウィーン金貨ハーモニーなどと同じ扱いになります。

お店によってはプレミアムを付けて高値で販売していることもありますが、通常このような地金型金貨(じがねがたきんか)は金そのものの価格で売買されます。

もちろん100年、200年持つならば希少価値が乗っかってくる可能性はありますが、少なくとも当面は金とほぼ同じ値で推移すると考えておいてください。

つまりこの銘柄やメープルリーフ金やオーストリアのウィーン金貨ハーモニーなどは、ほぼ金の価格に100%連動する金貨です。

(イギリス2026年5ポンド金貨:英国Royal Mintのサイトより転載)

ではもう一枚金貨をあげます。

金の価格に連動しやすい金貨

下の金貨は1950年から1970年にかけて発行されたペルーの100ソル大型金貨です。発行数は年によって違いますが、すべての年号銘をあわせても9万枚しか発行されていません。重さは46.8グラム、純度は90%ですから一枚当たり42グラムほどの金が含まれています。

(ペルー100ソル1965年・「ときいろ」より)

この金貨は上の現代地金金貨より少し時代は遡り、ちょうどいま希少価値が乗っかりつつある金貨です、つい5年ほど前まで地金価格(地金価格)で買えましたが、最近は状態や年号によって、値が少しずつバラツクようになってきました。このバラツキは金貨が地金からアンティークコインに移行する際の一つの特徴です

ご参考までに直近の売買価格は「並み年」の「並み状態」で110万円ほどです、金の含有量から計算した本銘柄の地金価格は約90万円ですから、いまのところ希少価値は20万円ほどに収まっている計算です。

  • 21,500円×42グラム=903,000円
  • 1,100,000円-903,000円=197,000円

この内訳を整理すると以下のようになります。

  • 金としての価格:903,000円(約82%)
  • 希少価値:197,000円(約18%)

つまりこの金貨はまだ金としての性格を多く持っており、たとえば金の価格が10%下げると、この金貨の理論価格は9万円ほど下げることになります。

  • 903,000円×10%≒90,000円

その意味で、この金貨は価格変動リスクがやや高いと考えておくべきでしょう。

半分程度は金価格に連動する銘柄

続いてもう少し金の価格に連動しにくい銘柄です。この種のコインはたくさんありますが、一つだけフランスの100フランを挙げておきましょう。

下のコインは1859年にフランスで発行された100フランです、近代フランスを代表する大型金貨と言っていいでしょう。発行数は全年号あわせて33万枚ほどですから、比較的たくさん発行された金貨です。重さは32.3グラム、金の品位は90%ですから29グラムほどの金が含まれています。したがって本銘柄の地金価格は62万円ほどです。

  • 21,500円×29グラム≒623,000円

この金貨は先ほどのペルー100ソルより100年ほども前に発行されていますが、それだけ希少性が乗っかった時期も早く、今では地金価格との乖離幅も大きくなっています。振り返ればこの金貨も20年ほど前まで地金価格で買えましたし、フランスでは銀行などで地金価格で販売していたそうです。

(ナポレオン100フラン「無冠」1859年:「ときいろ」より)

価格はペルー100ソルより、状態・年号による価格差はさらに開いており、MS63程度の並み年号なら160万円ほどの値が付きます。一方でAU53程度の並み年号なら今でも地金価格で入手できます。

続いてこの金貨をペルー100ソル同様に要因分解してみましょう。

  • 金としての価格:623,000円(約39%)
  • 希少価値:977,000円(約61%)

ペルー100ソルに比べ希少価値のウエイトが随分と大きくなっていることがわかります。このコインは金の価格の変動をさほど受けず、理論的には上記のように4割ほどにすぎません、その意味でハラハラ感はさほどないコインです。

最後に金価格にほとんど連動しない金貨です。

金価格の影響を受けない金貨

下の写真はドイツのミュンスターで1661年に発行された6ダカット金貨です。残存数は極めて少なく値も張ります、現在の相場はこの状態(NGC-MS63+)なら2500万円ほどの値が付くと思いますが、金の含有量は20グラムほどしかありません、したがって地金価格は40万円そこそこです。

逆に言えばこの銘柄の場合、2500万円の大半は希少価値ということになります。

(ドイツ、ミュンスター1661年、6ダカット:弊社サイトより)

このクラスになれば金の価格など関係なく、たとえ1オンス=2000ドルに戻っても影響はありません。

総括

以上いくつかのコインをカテゴリーに分け、金の価格変動が金貨の相場に与える影響についてみてきました。今回の内容は以下のように総括していいと思います。

  1. 銘柄によって金価格の影響度合いは大きく違う
  2. 一般に発行された年代が現代に近づくほど金価格の影響を受けやすくなる
  3. 特にアンティーク基準(発行後100年経過)が一つの目安になり、そこを境に希少価値は上がり金価格との連動性は薄れる
  4. 希少価値が上がる過程で、年号や状態による価格のバラツキは大きくなる

一人一人コインに対して求めるものは違いますし、ご予算も様々です。でもコインへの投資を検討される際、このような点に注目して銘柄選びをされるといいでしょう。

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