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Looking for valuable coins

日本の大判・小判を見直してみる-2

2026年3月30日

割安感が目立つ日本の大判・小判

前回は小判・大判に割安感があるというお話をしました、あらためてその理由を説明すると

  • 日本では「株価の上昇」と「物価の先高観」が同時に進行し、新しく生まれつつある新富裕層が分散の対象としてコイン投資に注目する。その一部は自国のコインに流れ込む
  • 日本の古金銀(大判・小判・一分金・二分金・・・)は長期にわたり放置されてきており、買いのエネルギーが蓄積されている

では具体的にどのような銘柄に割安感があるのか、今回はそんなお話をしましょう。

万延大判

先月は大判の代表選手として「天正菱大判」という2億円越えの大判を紹介しましたが、
今回はもっと手が届きやすい「万延大判」を紹介します。

このコインは万延年間の1860年から1862年にかけ発行されていますので、幕末のしかも最後あたりに発行されたコインです。サイズは142ミリ×85ミリ、重さは112グラムありますので、世界的に見れば超重量級の金貨です。発行数も少なく17,097枚です。

(万延大判、Stack’s Bowers社サイトより転載)

同時代の世界を見渡しても規格外の大きさですし、発行数も決して多くはありません。

たとえば同時代にフランスで100フラン金貨(ナポレオン3世)が発行されていますが、重さは32グラムほど直径も35ミリほどにすぎません、発行数も10万枚ほど作られています。同時代に全盛期のイギリスで発行された金貨をみても大差はなく、たとえばビクトリアの5ポンド金貨は約40グラムで発行数は(2銘柄合わせて)7万枚もあります。

このように海外の大型金貨と比べると万延大判の特異性がよくわかります。サイズの点、発行数の点で特別な存在だといえるでしょう。

ただし材質という点では当時のヨーロッパに見劣りがします。万延大判の金の品位はわずかに34%にすぎません、重さが112グラムですので純金としての重量は38グラムほどです。その点では上記のグランス100フランやイギリス5ポンド、アメリカの20ドルなど主要な金貨と比較的近い性質を持っていると言えるでしょう。

僕はこの近似は偶然ではないと思います。

幕末になり幕府の悩みの一つは金の国外流出でした。当時の日本はヨーロッパに比べ銀の価格が高く金が安い傾向にありました。その結果、ヨーロッパの商人は海外から銀を持ち込み、日本で金と両替して持ち出し多くの利益を得ていました。日本から見ればこれは金の国外流出で、これを止める目的で幕府は大判・小判の改鋳(注)を行いました。

注)すでに流通していたコインを回収し、新しいコインを発行することです。ただし大判は大名はじめ有力者への贈呈用途が中心でしたから、回収して溶解⇒打ち直しではなく、新規の発行が主だったと思います。

大判に関して言えば、前世代の天保大判(1838年から1860年、金品位67%、金含有量111グラム)の発行をやめて1860年に万延大判に切り替えました。その結果、大判の金含有量は38グラムに減りましたが、これで20ドル、100フランや5ポンドなどとのバランスがとれたことになります。実際には大判が貿易で使われる機会はなかったと思いますが、大判(10両)と小判(1両)のバランスをとるために、大判の金含有量を世界標準に合わせる必要があったはずです。

以上、万延大判の金品位について説明してきましたが、この品位の低さは現在の相場に影響を与えています。

万延大判の市場価格は、その直前の天保大判に比べて低く、天保大判が500-1000万円に対し、いまでも200-600万円ほどで入手できます、時代が新しいだけに万延大判の状態は良く、墨書きもはっきりと残っているものがあります。一方で金品位が低いため、金ヤケや変色した個体が多くその点は注意が必要です、それらを含めても状態さえよければ有望なコインだと思います。

PCGS鑑定の大判・小判

なお近年になってPCGS社のケース入り大判・小判が市場に出てくるようになりました。以下はPCGSによって鑑定された天保小判の写真ですが、ごらんのようにケースは少し大きく、かつ薄手です。

(PCGS社鑑定済みの天保小判、個人蔵)

信頼性という点では日本の「貨幣商協同組合」による鑑定書付きコインのほうが上ですが、それでもPCGS鑑定の大判小判は、貨幣商協同組合の鑑定もダブルでとっているケースが多く、その点で信頼性は補完されています。


(日本貨幣商協同組合による鑑定書、「天保5両小判」、個人蔵)

なお同協会は状態の鑑定をしませんが、PCGS社は海外コインと同様に数字付きの鑑定を行います。

大判とくに小判は両替商によって多数刻印された個体が大半ですが、そのような刻印入りコインをPCGS社が鑑定する場合、数字はつかずDetail鑑定になってしまいます。日本のコレクターにとって、両替商による刻印は「あって当たり前」で欠点ではありませんが、今後PCGS鑑定小判・大判が増えてくると状況は変わってくると思います

なお下の写真は元文小判のウラ側ですが、青い〇の部分が両替商による刻印です、一方で黄色の〇は発行者による刻印で、これは必ずあるものです。銘柄によって両替商の刻印の個数に差があります、流通期間が長かった元文小判には多数の刻印が見られますが、逆に万延小判のようにほとんど刻印が打たれていない銘柄もあります。


(元文小判)

さてここからは今後のお話です。

おそらく大判・小判の世界でもPCGS社による鑑定が一般的なものになると思います、その場合、両替商による刻印がないコイン、なおかつ洗浄や磨き、ダメージがないコインは人気化するでしょう。特にPCGS社によって数字付きで鑑定された大判・小判に人気が集まり値を上げると思います。

ご参考までですが、昨年11月に国内で開かれたオークションで、万延大判のPCGS-MS62が総費用466万円、MS63が同630万円で落札されています、足元の本銘柄の相場は徐々に上がっていますが、PCGS社鑑定済みコインは今後さらに値を上げるでしょう。

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