スマートフォン版に切り替える

Looking for valuable coins

メダルのお話し

2019年2月

今回はコインではなく、メダルのお話をいたしましょう。

まず下の写真を見てください。

(1888年ハンブルグで造られた1/2ポルトガロッサー)

いかがですか?きれいでしょう?実は上の写真はコインではなくメダルで、1888年にドイツ北部の街ハンブルグで造られたものです。

この写真は表面を拡大したものですが、ライオンの凹凸感が素晴らしく、思わず見とれてしまいます。両側のライオンに支えられているのはハンブルグの紋章で、これもきれいな刻印です。

この美しさがメダルの特徴です、メダルはコインと違い流通を目的として作られていませんので、このように凹凸感を際立させた凝った作りができるわけです。通貨ではないので、鋳造枚数が少ないのも特徴の一つです。このメダルの鋳造枚数についての記録を目にしたことはありませんが、本メダルはポルトガロッサー(正確には「1/2ポルトガロッサー」)と呼ばれ、ハンブルグの銀行が、株主や債権者向けに限られた枚数のみ作られたものです、その性格から考えて数百枚といったところではないでしょうか。

ただしメダルはコインに比べ、さほど値は張りません。この銘柄の場合、状態の良い未使用級の個体でも、オークションに出れば100万から150万円ほどで落札可能です。美術品としてみても魅力的で、値ごろ感はあると思います。

続いてポルトガロッサーをもう一枚紹介させていただきます。このメダルは1679年にハンブルグで造られたものです、重さは35グラム、直径は5センチを超えるビッグサイズで、当時の10ダカットと同じです。実際に10ダカットの金貨としても流通していたようで、その意味では通貨としての性格も併せ持っていたといえるでしょう。

表面は当時のハンブルグの都市景観、裏面は二人の女神でハンブルグに富をもたらすと考えられていたそうです、その下に老婆が踏みつけられていますが、おそらくペストや貧困など、災いの象徴として描かれてものではないでしょうか。コインには見られない美しく、精緻なデザインに見とれてしまいます、まさにコインをこえた美術品といってよいでしょう。

この銘柄はめったに市場に出てきませんが、もしオークションに未使用状態の個体が出てきたら1000万円を軽く超えるでしょう。それでも同じサイズの10ダカット金貨なら、未同状態のもので2000万円をくだりません、時代をさかのぼるほどコインとメダルの価格差は縮まる傾向があるように思いますが、それでもコインの半額程度で入手できるわけです。僕はもう少し見直されていいのではないかと思います。

続いてフランスのメダルを見ておきたいと思います。

下の写真は1860年、ナポレオン3世統治下のフランスで造られたメダルです、当時はヨーロッパ列強による富国強兵の時代で、時の権力者ナポレオン三世は盛んに産業の振興を奨励しました。このメダルはモンペリエで開かれた博覧会を記念して作られたものですが、重量は約28グラムで大きさは3.6センチほどあります。

ご覧のようにこのメダルも凹凸感があって大変きれいです、ナポレオン3世時代には、ほぼ同サイズの100フラン金貨がありますが、両者を並べてみるとその造りの違いは明白です。ご参考までに100フラン金貨の写真を下に掲載しておきましたので、見比べてみてください。

(フランス、モンペリエ博覧会の金メダル、ナポレオン三世像)

(ナポレオン3世時代に発行された100フラン金貨)

相場の話をいたしますと、美しいわりにこの時代のメダルはずいぶんと安く手に入れることができます、例えば上記のモンペリエ博覧会のメダルはSP65(ほぼ完全未使用状態)の個体を、僕は昨年アメリカで開かれたオークションで1500ドルで落札いたしました、オークション会社へ支払う手数料20%、さらに輸入消費税を合わせても、日本円で22万円ほどにすぎません。このメダルは金の純度が90%ですので、金の地金としてみた価格は13万円近くにもなります。

今から160年もまえに造られたメダルにしては安すぎると僕は思います。

(同時に落札したナポレオン3世の金メダル、1870年鋳造)

実は同時にもう一枚、上のナポレオンのメダルを落札しました、状態は少し悪くSP63(それでも未使用状態)でしたが、ハンマープライスは850ドルでした、総支払額は13万円ほどにすぎません。いくらメダルとはいえ、これなどどう考えても安すぎです。「安すぎるな」と感じるものは、大概その後値上がりするものです、人間の感覚というのはバカにできません。

あおり系コイン商が最近イギリスのメダルを煽っており、すでに一部のメダルは高騰してしまいましたが、このようにまだ割安に放置された銘柄もあるのです。