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Looking for valuable coins

どっちを選ぶ金貨と金

2020年4月15日

みなさんこんにちは。

コロナ感染拡大の影響で株価はずいぶんと下がりましたが、
この間やはり金(Gold)の価格は上がりました。

景気後退による株価の下落を嫌気し、
安全性が高いと考えられる実物資産が選好された結果だと思います。

でも実物資産は金だけではありません。

たとえば金貨です。

金貨は主に金(Gold)でできています(注)が、
金貨と金の値動きは全く異なります。

注)金貨の素材は様々ですが、一般に90%ほどの金と、
10%ほどの銅や銀で造られる場合が多いです。

たとえば金は2011年のように半年で35%も儲かる年もあれば、
逆に2013年のように一年で30%も下がる年もあります。

つまり金は価格変動という点では、
立派なハイリスク資産といってよいでしょう。

でも金貨は違います。

もちろん金貨といっても「メープルリーフ金貨」のように、
地金の価値しかない現代コインもありますが、
ここでいう金貨は、例えば第二次世界対戦より前に発行された
アンティーク・コインをさします。

アンテーク・コインは市場が小さく、
しかもどれ一つとして同じ個体はありません。

これらを値付けするには専門知識が求められ、
金(Gold)のようにグラムいくらで機械的に計算することはできません。

ですからコイン市場にファンドのマネーは入ってきませんし、
株から流出してきた年金や個人のマネーが入ることもありません。

たとえるならコイン市場は防波堤で囲われた湾の中のようなもので、
金融ショックの影響もほとんど受けませんし、急に価格が変動する
こともありません。

これに対して金(Gold)はどうでしょう。

金は金貨と違って一定の市場規模がありますし、
値付けに関しても専門知識は要りません。

たしかに金も金貨と同様、実物資産として株や現預金など、
ペーパーアセットと違う値動きを示しますが、
それでもファンドや機関投資家などによる投機にさらされて、
大きく値動きすることもあるのです。

すくなくともコインのように「万年ベタなぎ」という
わけにはゆきません。

二つ目の金と金貨の違いは希少性です。

金は確かに希少ですが、それでも土の中から今でも大量に出てきます、
一方で私たちはアンティーク・コインを新たに造ることはできません。

たとえば僕が子供のころ、
人類が有史来採掘してきた金の総量は、
オリンピックプール2杯分などとよく言われたものです。

それが今では3.5杯分になってしまいました。

金はいまでも年間3000トンほど掘り出されているので、
今から8年も経てばプール4杯分になる勘定です。

これだけ大量に掘り出されると、
やはり金の相場に影響を与えるのではないでしょうか。

そこで試しにこんな計算をしてみました。

たとえば皆さんのお祖父さんが明治初年(1868年/注)に、
当時もっていた100円で金貨を買ったとしましょうか。

注)明治初年はまだ明治金貨は発行されていないので、
実際には明治3年に買ったとします、誤算の範囲とお許しください。

当時の最高額面金貨は旧20円金貨でしたので、
100円なら5枚買えたことになります。

お祖父さんはそのまんま金貨をタンスにしまい込み、
皆さんが運よくその5枚の金貨を見つけたとしましょう。

さてその5枚の金貨はいったいどれほどの価値があるでしょう。

答えは4000万円です。

明治3年に発行された旧20年金貨は、
状態の良いもので800万円ほどになりますので、
5枚で4000万円です。

ではお祖父さんが金貨ではなく、
その100円で金(Gold)を買っていたらどうでしょう。

明治初年の金価格はグラム当たり67銭(注)です。

注)田中貴金属サイトより、67銭は0.67円です。

なのでお祖父さんは約149グラムの金を買えたことになります。

  • 100円÷0.67円≒149グラム

先ほどと同じくお祖父さんがそのまんま金をタンスに
しまい込んでお忘れになり、たまたま皆さんが見つけたとしましょう。

果たしてその金にいくらの価値があるでしょう。

答えは約96万円です。

  • 6448円×149グラム=960,752円

つまり金で持っておけば明治初年の100円は約96万円、
20円金貨で持っておけば約4000万円で、
その差は歴然です。

ではなぜこんなに差がついてしまったのでしょう。

その後、明治20円金貨の多くは溶かされてしまい、
残存数(注)が少なくなってしまったということもあると思いますが、
もう一つの理由は金の側にあると僕は思います。

注)旧明治20円金貨の発行枚数は47,000枚と結構多かったのですが、
上記のように溶解されてしまったこともあり、おそらく残っている
枚数は数百枚でしょう。

すなわち金の地上在庫の増加による、
価値の希薄化です。

このように金貨は金と比べ価格変動が小さいという長所以外にも、
希薄化が起きないという特徴もあるといえるでしょう。

逆に上記20円のように溶解されたり加工されたりして、
減ってゆく可能性すらありますし、扱い方によって劣化する
こともあります。

でも金貨には欠点もあります。

たとえば金貨は金と違い換金に時間がかかりますし、
売買の際のコストも割高です。

金と金貨はいずれも実物資産でありますが、
このようにそれぞれ長所と短所があることを
忘れてはなりません。

それらを理解したうえでどちらを保有するかお決めになると
よいでしょう。

最後にご参考までにですが、
先ほどの事例でお祖父さんが明治初年に持っていた100円を銀行に預け、
そのまま放置した場合、現在の価値は約17万円(注)です。

注)現在まで152年間の平均利率を5%とした場合です、
100円×(1.05の152乗)≒166,200円