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ふくろう君のバラエティ
2020年6月3日
コイン界のふくろう君といえば、古代ギリシャで2400年ほど前に造られたテトラドラクマ銀貨ですが、実はこの「ふくろう君」には以下の3つのタイプがあるのですよ。
最初期(紀元前510年~480年)
ペルシャ戦争以前に造られたコインです、まだアテネが東エーゲ海沿岸の覇権を得る前に造られたもので、造りは原始的かつ稚拙です。ただ現存数は極めて少なく、並程度の状態の個体でも100万円ほどの値をつける場合があります。
移行期(紀元前465年~455年)
ペルシャのギリシャへの侵攻は紀元前492年から始まりました。攻め入ってきた強大なペルシャ軍に対して、当時のギリシャにあった都市国家群はアテネを盟主とする「デロス同盟」を結んで戦いました。ペルシャ軍の大規模な侵攻は複数回行われましたが、徐々に「デロス同盟」側が優勢になり、紀元前449年にギリシャとペルシャの間で和解が成立しました。
この移行期タイプはアテネが「デロス同盟」の盟主として徐々に経済力を蓄える過程で造られたコインです。鋳造技術やデザインなどの点で、上記最初期の「ふくろう銀貨」とは格段の飛躍が見られます。
(移行期タイプのふくろう君、表)
(同裏)
出現頻度は最初期のものより高いですが、決してありふれたコインではなく、下記の量産期のものが10枚出てくれば、この移行期のものは1枚出てくるかどうかいったところです。
取引相場も高く、平均的な状態のものでも店頭価格は30万円を超えるでしょう。
このコインの標準的な状態はVF程度で、量産期コインと比べ摩耗が進んだものが多いです。デザインという点からみれば、ふくろう君が少し首をかしげているのが特徴で、そこがこの「移行期型ふくろう君」のチャームポイントです。量産期のものと比べると、決して洗練されているとは言えませんが、その“手作り感”がまたコレクターを引き付けます。
量産期(紀元前440年~404年)
アテネを中心とした「デロス同盟」側が、3度に及ぶペルシャ戦争の結果、最終的な勝利を得たあとに造られたもので、デザインや造りなどの点で洗練が進んでいます。このコインは古代ギリシャを代表する銀貨ですが、それだけに多く残されていて入手は容易です。一般に市場にでてくるものは、この量産期のものです。
(量産期のふくろう君、左が表、右が裏)
移行期の「ふくろう君」は上記のように造りは量産期タイプに比べると稚拙で素朴ですが、それがかえっていい味になっていて僕は好きです。特に表面アテネ神のヘルメットの羽がフルに収まっているもの(「フルクレスト」)、裏面ふくろう面の四隅が切れていないもの、があればきっと良い投資の機会でしょう、ただし場合によっては100万円を超えますが・・・
すでに「量産くん」を持っている方も、「移行期くん」をコレクションに加えてみてはいかがでしょう。
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