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Looking for valuable coins

2020年のコイン相場を振り返って

2020年11月30日

今年はコイン相場にとって飛躍の一年になりました、

コロナショック⇒各国中央銀行による紙幣増刷⇒紙幣の価値の希薄化懸念⇒現物資産への分散志向の強まり

このような要因がコイン高につながったといってよいでしょう、ただしコロナショックが起きた3月に即コイン相場が上がったわけではなく、数か月の時間差があったように思います、僕はまいど毎度コインオークションに参加していますが、国内外のオークションでコイン相場の異変を初めて感じたのは7月でした。いつの通り代行入札をやっていたのですが、不思議なことになかなか落札できません、僕は過去数回のオークションの時歴から、最大応札額を決めてセリに参加するのですが、突然成功率が下がったのです。

その時点ではたまたまだと思い、特に深く考えることもなく次のオークションに参加しました、たしか香港のオークションでした・・・、でもやっぱり3割程度しか落札できなかったのです。

明らかにヘンだと思ったのはこのころでした、「もしかして相場の水準が上がってきているんじゃないだろか?」

その感触は当たってしました、9月、10月と月が進むにつれ、相場の上昇はより明確になってゆきました、先月この欄でご紹介したペルーの100ソル並年58万円、あるいは「雲上の女神」で有名なオーストリの100コロナPR63の580万円など記録続出となっていました、とくに印象に残っているのは香港に出てきた英領インド・ウィリアム4世の2モハール金貨でした、170,000ドルで落札されたのにはホント驚きました、状態はPR66で確かに良かったですが、過去の事例ではせいぜい70,000ドルほどが適正相場でした。

なじみ深いところでフランスのナポレオン100フランなども、すっかりと相場訂正された観があります、昨年あたりまで並年のMS63が30万円台で買えたものですが、直近では、MS62ですら50万円を超えるようになってしまいました。

(ナポレオン100フラン)

フランスつながりで申し上げますと、1970年代から1980年代にかけては発行された、限定発行のピエフォー金貨も今年は高騰しました、昨年までPF67くらいなら100万円前後で買えたのですが、現在のオークション相場は170万円ほどです、同銘柄の兄弟コイン、プラチナ・ピエフォーの高騰はさらに激しいです、発行枚数が金貨より少ないので当然といえば当然ではありますが・・・。

(フランス1970年代のヘラクレスのピエフォー金貨)

中国コインも再加速しました、同国では2022年の北京オリンピック前のデジタル人民元の導入を目指し、いよいよ実証実験段階に入りましたが、それまでにタンス人民元をコインに置き換えてしまおうと考える富裕層がいるのでしょう、清朝末期から中華民国初期の大型銀貨の人気は続いています。銘柄別にみますと相変わらず自動車ダラーの高騰は続いており、VF-Detailsクラスの瑕疵ありコインですら100万円を超えてくるようになりました。

(中国自動車ダラー)

もっと驚いたのは下の中華ソヴィエト7銭2分銀貨です、先日の銀座コインオークションでVF30が580万円で落札され、大げさでなく目が飛び出そうになりました。落札者の総支払額ベースでは640万円以上です。ホンの2年ほど前、僕は同銘柄のXF40を130万円ほどで代行落札しています、今ならいったいいくらの値が付くのでしょう。

(中華ソヴィエト7銭2分銀貨)

他のアジアコインも水準訂正の年になりましたが、やはり目立ったのはアンナン(ベトナム)です、同国はアジアでは珍しく1800年代から大型の金貨・銀貨が発行していますが、それだけに注目を集めやすいようで今年も順調に値を上げました。特にビックリしたのは今年9月に香港で開かれたオークションです、大型銀貨の高評価コイン(MS63クラス)が、総支払額ベースで250万円を上回って落札されるようになってきました、その翌月モナコで開かれたオークションに僕は参加しましたが、1両金貨(1両=10銭)のUNC Detailsが110,000ユーロで落札されたのにも驚きました、落札者の総支払額ベースでは1800万円ほどです。確かに1両金貨は激レアですが、それでも瑕疵あり数字なしです。

(アンナン嗣徳通宝7銭銀貨)

イギリスのコインも相変わらず値を飛ばしていますが、今年目立ったのは世界で最も美しいといわれる「ゴシック・クラウン」です、文字がゴシック調で刻印されていることから、この名前で親しまれていますが、「アンデシモ」タイプと呼ばれる最も一般的なタイプですら、PR63あたりになると400万円の声がかかるようになってきました。

(ゴッシッククラウンのアンデシモ型)

最後は古代です、古代は比較的相場が安定してはいますが、それでもアチコチで相場の上昇がみえはじめています、例えば以下のコインです、このコインはアケメネス朝ペルシャで紀元前480年から330年前後まで発行されたダリックと呼ばれる金貨です、王様が走っているデザインなので「走る王」と呼ばれたりします、昨年あたりまでNGC-AUクラスが20万円弱で落札されていましたが、直近のオークション相場は軽く30万円を超えます。

(古代ペルシャのダリック金貨)

あとプトレマイオス朝エジプトのオクタドラクマと呼ばれる大型金貨も値を上げました、このコインはここ数年にわたってジワジワ上昇してきました、3年ほど前はNGC-AUクラスでも200万円以下で買えたものですが、いまでは.350万円ほどが平均的な落札相場です。

(古代エジプトのオクタドラクマ)

以上とりとめもなく今年のコイン相場について書いてまいりましたが、これはほんの一例にすぎません、コインの相場で大きな水準訂正があった一年だったと総括できるでしょう。

先日の日経新聞の記事から

最後に先日(2020年11月28日)の日本経済新聞の記事からです、コインだけでなく様々な現物資産に富裕層マネーが入っているようですね、この記事では最近少し反発が見られ始めたダイヤモンドについて書かれていました、

内容は

  • コロナ後の株価反発で富裕層マネーがダイヤモンドに流れ込んでいる
  • 富裕層が海外旅行などにおカネが使えず、ダイヤなど高額品を中心とした「ハレ消費」におカネを使っている

といったものです、その一例として香港のサザビースで10月開かれたジュエリーオークションの結果を紹介しています、なんでも100カラットの超大粒ダイヤが出品され、今年最高額の1.2億香港ドル(約17億円)で日本人のコレクターが落札したとのことです。同社のジュエリー部門長によると「過去数年間、複数の最高クラスのジュエリーを日本人コレクターが落札した。国際取引が可能で後の世代へと引き継げるダイヤは、資産保有の一形態として関心が高まっている」とのことです、この方はジュエリー部門の責任者なのでこのような表現になったのでしょう。が、もし僕が意見を求められたなら、人工的な生成が可能でデビアスによって価格がコントロールされているダイヤよりも、アンティークコインやカラーストーンを推すでしょう。

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