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1700年代後半から1800年代にかけての大型金貨世界事情と今後の相場予想
2021年3月
さきほど南ペルーの8エスクードの紹介で少しお話ししましたが、
僕は1700年代の後半から1800年代は、ヨーロッパの大型金貨の閑散期だと思います、コインの研究家やコイン商の皆さんから、こんなお話しを僕は聞いたことがありませんが、
以前から気になってはいました。
1600年代のオーストリアやハンガリー、ドイツなどで発行された大型ダカットは綺羅星のようですが、1700年代の後半で大型がダカットの発行は止まります。
フランスはどうでしょう、同国で大型金貨が発行されるのは1800年代の後半、ナポレオン100フランまで待たねばなりません。さすがにイギリスで伝統的ある大型金貨は途絶えませんでしたが、最後に5ギニーが発行されたのは1748年のジョージ2世時代です、その後5ポンド時代に入りますが、ジョージ3世、ジョージ4世時代の5ポンドはプルーフのみの少数発行です、ウイリアム4世時代は5ポンドの発行はなく、イギリスは事実上1749年から1887年まで、大型金貨不在(注)の時代だったといってよいでしょう。
注)上記のように贈呈用に造られたプルーフ金貨を除きます、その中には限定400枚造られた「ウナ&ライオン」も含まれます。
スペインも似たりよったりです、この国は新大陸の植民地から大量の金を持ち出して、大型の金貨を造りましたが、それもせいぜい1800年初頭の320レアルあたりまでです、その後イザベルの時代になると金貨は急に小型化し、イギリスで言うところのソブリンサイズ(重さ8.4グラムほど)になってしまいます。
理由はいくつか考えられますが、一つは金の採掘量にあると思います。1600年代は新大陸の植民地化によって大量の金がヨーロッパに流れ込みましたが、1700年代の終盤あたりからスペイン・ポルトガルの植民地支配は弱まりました、中南米では、上記の南ペルーのようにいくつかの国が独立しましたので、この時期には金の流出は止まったと考えてよいでしょう。
二つ目はヨーロッパが発展し、金の決済能力を超えるほど経済の規模が大きくなったからではないでしょうか。一方で紙幣の登場まではまだ随分と間がありす、その間を埋めたのは銀貨だったと思います、事実この時代の銀貨は質量とも急拡大しているように思います。
もし上記のような見方が当たっていたとしたらどうでしょう。
必然的にこの時代の大型金貨(小型金貨ではないところがミソです)は、今後もその銘柄や数の少なさから選好されることになると思います、イヤもしかしたらそのような選好の結果、現在のヨーロッパ大型金貨の相場上昇となっているのかもしれません。
この状況はヨーロッパ以外の大型金貨の相場に今後影響を与えると思います、ヨーロッパに比べ出遅れ感はありますが、同時代(1700年代後半から1800年代)に大型金貨を発行することができた地域、すなわち中南米の金貨の相場上昇です、いまのところヨーロッパと違って注目度は低いですが、いずれ世界的な大型金貨の枯渇から、この時代の中南米大型金貨は買われることになるのではないでしょうか。
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