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Looking for valuable coins

4月の香港オークションを終えて

2021年4月30日

今月は先月に続きアメリカのコインについてお話しするつもりでしたが、急遽話題を変更させていただきます、というのも僕は先日香港で開かれたオークションで大きなショックを受けたからです。

今までも香港のコインオークションで中国コインは値を上げてきました、中国のおひざ元だけに、香港のオークションは常に中国コインの新しい相場トレンドを作ってきたといえるでしょう。

一方で中国コイン以外に対して、香港や中国の収集家は興味をしめさず、同じアジアのコインでも、チベット、モンゴル、カンボジアなど(中国人から見れば)周辺国のマイナーコインに対しては積極的に札を入れてきませんでした。

それが今回は随分と様相が変わりです、上記のようなアジアのマイナーコインに対し、彼らは次々と札を入れていたように見えます、コロナ下で現地へ出向くことはできませんので、実際に値を上げていたのが中国人の札なのか、それとも自国勢の札なのか、その点はわかりません。それでも札の入り具合からみると、僕にはどう考えてもモンゴル人やネパール人、カンボジア人の札だとは思えません。おそらく今回のオークションでこれらマイナーコインが値を上げたのは、中国勢による札だと考えて間違いないでしょう。

なぜ中国人は中国以外のコインを買い始めたのか

今まで僕は、中国人は積極的に中国以外のコインを買わないと考えてきました、それは日本国内のオークションを見ると明らかです、今でこそコロナで中国人は日本のオークションのフロア(会場)に来ませんが、コロナ前は大勢の中国人がはるばる来日し参加していたものです、彼らは中国コインのパートになると急に活動的になり、盛んに札を上げますが、中国コインが終わればそれでおしまいです、彼らは即フロアを出ていきますので急に元の静かなフロアに戻るのが常でした。なかにはヨーロッパのコインに参戦する変わり者の中国人もいましたが、それは例外で、やはり中国人の主な関心は中国コインに向けられてきたといえるでしょう。

それが今回は様変わりです、上記のようにアジア諸国のコインまで彼らは対象を広げてきたように見えます、ではなぜ彼らはアジアコインに進出してきたのでしょうか。

僕は二つあると思います。

一つ目は中国コインが随分と値を上げ、彼らも割高感が出てきたと感じているのではないでしょうか、といっても中国コインの値上がりに歯止めがかかったわけではありません、相変わらず自動車ダラーは値をあげており、例えば#53325のAU50のハンマープライスは42,000ドル(落札者の総支払額ベースでは約610万円)まで伸びましたし、#53328のVF35は同26,000ドル(同380万円)を付けました。弊社のコイン専門サイト「アンティークコインで資産を防衛する」に代行入札事例として掲載させていただいていますが、僕は2017年6月に「自動車ダラー」のAU50を代行入札しましたが、その際の依頼者の総支払額はたったの120万円でした。

弊社のコイン専門サイト「アンティークコインで資産を防衛する」の代行事例、自動車ダラーは上から70コ目ほどです、思えば随分たくさんアップしてきたものです・・
   ↓
https://www.antique-coin.jp/bid_example.html

(中国「自動車ダラー」)

あるいは袁世凱が描かれた下記「中華帝国洪憲紀元銀幣」です、今回の#52322は状態がMS65と飛び切り良いコインでしたが、それでもハンマープライスは150,000ドルまで伸びました、総支払額ベースは日本円で約2200万円です、ちなみに僕は全く同じ銘柄の半ランク落ち状態(MS64+)を32,000ドル(依頼者の総支払額ベースで520万円)ほどで代行落札しました、あれからまだ1年と3か月しかたっていません。

(中国「中華帝国洪憲紀元銀幣」)

上記はほんの一例で、今回の香港オークションでも希少銘柄、ありふれた銘柄にかかわらず随分と落札値が上がりました、さすがにこのあたりまで上がってきますと、中国人も他国のコインに目を向けざるをえないのだと思います、なにしろアジア周辺国に目を向ければ、信じられないような安値で希少なコインを手に入れることができるのですから。

今回のオークションで彼らがアジアのマイナーコインに目を向け始めた二つ目の理由は、中国人や香港人が抱く自国通貨への不信感だと思います、彼らは現政権に対して抱く感情は、おそらく「差し引きでちょいプラス」といったところだと思います、彼らは私権の制限や強権的な政策に対して不満や不安をもちつつも、経済が成長し目に見えてリッチになってゆく限り目をつむろうというスタンスではないでしょうか。でもだからといって彼らは自国の政策、自国の通貨に対して信頼感を持っているとは思えません、このあたりが日本人と違いクールで現実的なところです。

ここ数年というか、2000年以降の中国コインの上昇を見ると、中国人の富裕化による購買力の上昇という要因のほかに、貨幣から実物資産へ置き換えたいというニーズが強く働いているとしか思えません。

そしてその一部が自国のコインにとどまらず、周辺国のコインに流れ込みつつあると考えるのが自然ではないかと僕は思います。

中国人がアジアのマイナーコインを買えばどうなるか

この傾向が早々に終わってしまうのか、それとも一定期間続き新しいトレンドになるのか・・・どっちでしょう。僕は後者だと思います、理由は以下の通りです。

  • この傾向は2000年以降始まる「中国人による中国コイン投資」の流れの先に起きた、いわば自然のなりゆきである点
  • 中国の富裕化と貧富の格差拡大は今後しばらく続くと思われる点
  • 中国人富裕層の人民元への信認欠如は今後も続くと思われる点

中国人による中国コイン投資は続く一方で、その周辺国の(今でいうところの)マイナーコインの価値もまた、これから急速に中国コインにキャッチアップする形で値上がりすると思います。

では具体的にはどのような銘柄が有望なのでしょう、以下いくつか挙げさせていただきます。

  • アンナンの金貨に銀貨
    この領域については過去本レポートやメルマガ、ウエブサイトなどで紹介してきましたので、ここでは割愛させていただきます。
  • ネパール、モンゴル、タイ、カンボジア、ミャンマー、チベット、インドなどで1800年代後半から1900年代初頭にかけ発行されてきた小型の金貨・銀貨、以下数例のみピックアップさせていただきます、3枚とも金貨ですが銀貨バージョンもあります。

(ネパール1930年1トラ金貨)

(インド藩王国カッチで1866年に発行された100コリ金貨)

(イギリス領インドで1862年に発行された1モハール金貨)

  • 日本の明治旧金貨、新金貨および明治1円銀貨
    意外と日本人は自国の明治金貨に興味を示しませんが、先日の香港オークションでは日本国内では考えられないような高値で落札されていました、この流れはいずれ日本に上陸すると僕は見ております。

(明治旧5円金貨、明治5年)

  • アジア諸国で1960年以降に発行された金貨銀貨のうち発行枚数が少ないもの
    この地域はコインの歴史が浅く、1960年代以降に造られたコインでも、発行枚数さえ少なければ中国人の投資対象になりえると思います、安値に放置されているうちに仕込まれると、数年後に良い結果を生むでしょう。

(ブータンで1966年に発行された5セルタム・プラチナ貨、発行枚数72枚)

以上、先日香港で開かれたコインオークションで僕が感じたことです、きっと皆さんのお役に立てると思い紹介させていただきました。