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Looking for valuable coins

一円玉はなぜ値上がりするか?

2021年7月

ここ数ケ月で一円玉が随分値上がりしました。

一円玉といっても、今の貧弱なアルミ片ではなく、
私たちの先達が明治維新直後に発行した一円銀貨です。

日本がこのような素晴らしいデザインの、
なおかつ大型で立派な銀貨をかつて発行したことを、
ほとんどの日本人は知らないのではないでしょうか。

重さは約27グラム、
直径は38ミリ以上もあり、
銀の純度も90%です。

オモテ面は躍動する龍が、ドラゴンボールを鷲掴みしている
素晴らしいデザインです、ほぼ同時代に発行された清朝の銀幣
(銀貨)も素晴らしいですが、日本の一円玉くんも決して
負けていません。

  • (明治37年明治一円銀貨 オモテ

  • 同ウラ)

この一円玉は当時の庶民が普段使いしていたものではなく、
海外との貿易決済用に発行されたものです、なので発行当初から
このコインは世界性を持っていたといえるでしょう。

今回はこの一円玉について少し掘り下げて考えてみたいと思います。

上記のような理由で、このコインは発行当初からアジア広域で使われていたのですが、
そのような過去の栄光はすっかり忘れ去られ、近年では日本の趣味収集家によって、
ほそぼそと引き継がれてきたにすぎません。

最近でこそコイン収集(というかコイン投資)が日本でも
一般化しつつありますが、それでも日本人の収集家の興味は
ヨーロッパに注がれており、あいかわらずこの一円玉は一部のマニアの
収集品でした。

コインの相場にもそれがよく表れています。

たとえばイギリスの5ギニーやモダンコイン、
オーストリアの「雲上の女神」などは近年驚くほどの高値が
付くようになりましたが、この一円玉に関しては、あたかも
十年一日のごとく・・・ほんの一部の希少年号を除き、
ほとんど相場らしい相場はありませんでした。

そんな単調な毎日に変化が生じたのは、
今年に入ってからです。

僕自身も、今年4月に開かれた国内オークションの結果には
驚きました。

細かくここでふれることは致しませんが、
状態の良いもの、レアな年号中心に、
相場は昨年末の少なくとも2倍ほどにはなっている印象です。

さてここからが今回の本題です。

なぜこれほど急に一円玉は値上がりしたのでしょう、
結論から申し上げますと中国人のカイだと僕は思います。

このメルマガをお読みの方はご存じかもしれませんが、
ここ20年ほどで中国コインはずいぶんと値を上げてきました。

この間の中国経済の拡大や、
世界的に進む紙幣の大量印刷を考えますと、
昨今の中国コイン相場の上昇は驚くに値しません。

ただし足元の中国コインの相場水準を考えた場合、
中国人の中にも高所恐怖的な心理が生まれているように思います。

一方で彼らの現物投資意欲は止まるところを知りません。

私たち日本人も自国通貨に対して万全の信頼を持っているとは
言い難いですが、おそらく彼らの人民元に対する信頼感の低下は、
それを上回るスピードで進んでいるのではないでしょうか。

特に富裕層ほどその懸念は大きく、
コインはそんなマネーの有力な避難先になっているようです。

中国コインは欲しいけれど、
既に相場は割高圏にあるんじゃあないだろうか・・・、
そんな期待と不安をもちながらコインの相場をよくみると、
近隣アジアのコインは随分と割安感があることに気づいた・・・。

おそらくこんなところでしょう。

アジアのコイン全般に投資したいが、
なかでも市場規模が大きく銘柄も豊富な日本のコインは、
その有力な対象になるはずです。

今年に入って起きた一円玉相場の急騰は、
このようにして起きているのではないでしょうか。

一年玉だけではありません、
日本には立派な明治金貨もありますし、
目を他のアジアに転じれば、
ベトナム、カンボジア、ミャンマー、インドネシア、モンゴルなど、
銘柄数や市場規模は小さいものの中国マネーの受け皿はあります。

(1925年発行、モンゴル1トゥグリル銀貨)

(チベット1948年、5SHO銅貨)

日本人は「イギリスのモダンコイン」や「雲の上の女神さま」が
お好きなようですが、灯台下暗し。

アジアには日本をはじめ割安に放置されたコインが
沢山あるのですよ。