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2022年前半のコイン相場を振り返って-中国コイン編

2022年5月28日

今月は中国コイン編です。ここ半年ほどの相場を振り返ると同時に、直近オークションでのトレンドを紹介させていただきます。

先月の末に国内で開かれた泰星コインオークションの見どころは中国コインでした、なかでも目を引いたのは1927年に発行された張作霖の1ドル銀貨です。

(中国、1927年、張作霖の試鋳1円銀貨、泰星コインオークションのサイトより転載)

NGC社の鑑定でMS62と状態が良かったこともあり、落札額はなんと2億4000万円でした、主催者の手数料(「バイヤーズプレミアム」)16.5%を加算しますと、落札者の総支払額は約2億8000万円です、おそらく国内外で開かれた中国銀貨の最高落札額ではないでしょうか。実は張作霖の1円銀貨は昨年12月に海外でも出品されました、まったく同じ銘柄ではありませんが、レア度においては甲乙つけ難く、状態もNGC-MS62と同クラスでした。当時のハンマープライスは180万ドルでしたから、バイヤーズプレミアム込み・輸入消費税込みの総支払額は、当時のドル円レートで約2億7000万円なりです。これに対して泰星の個体は上記のように約2.8億円でした、したがってこの銘柄に関しては、この半年ほとんど相場は動いていないことになります。

驚いたのは#262の徐世昌1921年の1円銀貨です。状態はNGC-MS62とこの銘柄にしては良いほうですが、落札額はビックリの1300万円まで伸びました、バイヤーズプレミアム込みの総支払額は1500万円強です。

(中国、1921年、徐世昌1921年の1円銀貨、泰星コインオークションのサイトより転載)

実は2020年12月(1年半前です)に僕はこの銘柄を、あるお客様の依頼で代行落札したのですが、当時のハンマープライスは32,000ドル(弊社手数料を含めて約480万円)に過ぎませんでした、なお状態はNGC-MS62で同等です。この銘柄に関しては、今回の泰星で数字なしNGC-AU Details/Cleanedが同時に出品されましたが、そっちは900万円で落札されています。数字なしですら900万円もすごいと思います。この銘柄の直近事例をみると、昨年4月の香港で、同銘柄の同状態(NGC-MS62)がハンマープライス38,000ドル(総支払額ベースで約580万円)で落札されています。したがってこちらの徐世昌は張作霖と違い、この一年で急伸したことになります。

もう一枚だけ泰星オークションから紹介させていただきます、ご存じの方も多いと思いますが以下「孫文三羽鳥」です。ロット番号は277、状態はNGC-MS62ですからイマイチです。この銘柄は状態の良いものが多く、MS63/64あたりも珍しくはありません。

(中国、民国21年、孫文の1円銀貨「三羽鳥」、泰星コインオークションのサイトより転載)

このコインはウラ面を載せないとお話しになりませんので、両面の写真を掲載させていただきました、ウラのジャンク船の上に三羽の鳥が飛んでいるのが特徴です。さてこのコインの落札額ですが、ハンマープライスはビックリの300万円、総支払額ベースで約350万円までのびました。

以前も当欄でお話ししたと思いますが、僕はこのコインにはイヤな思い出があります。たしか10年ほど前だったと思いますが、僕はこのコインを都内のコイン商さんから30万円ほどで入手しました。裸のコインだったのですがNGC社に鑑定に出すとMS63の高評価で戻ってきました。当時すでに中国コインの相場が随分上がってきましたので、銀座コインオークションに出品すると80万円ほどで落札されたのです、たしか5年ほど前のお話しです。当時の僕は「30万円⇒80万円なら十分だ」と喜んでいたのですが、その後ドンドン中国コインの相場は上がり、今では上記のような状態です。MS63は今回出てきませんでしたが、おそらく泰星にでていたなら400万円-500万円ほどの値が付いたと思います。

悔しいですがまた思い出してしまいました・・・・、教訓にしたいともいます。

この銘柄もまた昨年あたりに比べるともう一段階ステージが上がった印象です。ご参考までに昨年12月の香港で、本銘柄のMS63は17,000ドル、MS62が14,000ドルで落札されています、総支払額は当時の為替レートで、それぞれ約260万円と約210万円です。上記のように泰星のMS62は総支払額350万円でした、この銘柄もこの半年で随分と値を上げたといってよいでしょう。

続いてあと1銘柄だけ紹介させていただきます、今月上旬に香港で開かれたオークションからです、

(民国3年、袁世凱1円銀貨)

この銘柄は中国コインのなかでは最もありふれた銘柄で、民国3年、8年、9年、10年の4年号があります、最も値が張るのは8年銘で、あとは高額な順に3年⇒9年⇒10年と続きます、8年は突出して高額ですが、9年銘あたりが枚数も多く、値もこなれており相場をチェックするには便利です。

さてその民国9年銘です。

今回の香港では、中心的な状態であるMS63の出品は9枚で、ハンマープライスの内訳は
3200/4200/3000/3300/3800/3000/4000/2800/2900(単位はいずれもドルです)でした、9枚の平均値をとると3360ドルです。

一昨年の同時期にもこのオークションが開かれました、当時MS63は20枚出品され、内訳は
2600/2000/3400/2000/2000/3700/3400/3800/2200/3800/3100/3400/2200/2000/2600/3000/3800/2200/3500/3200で平均値は2895ドルでした。

サンプル数は多くはありませんが、概ねこの1年、袁世凱の1円銀貨は値上がり傾向を維持しながらも勢いは随分と弱まった印象です。

今回見てきたように中国コインの相場上昇は今のところ続いていますが、こんな急騰がいつまでも続くとは思えません、実際に袁世凱の1円銀貨のように、ありふれたコインは値動きが緩やかになってきたように思います。少なくとも(張作霖は別格として)徐世昌・孫文三羽鳥などレアな銘柄に比べて値上がりはおとなしく、これも相場の停滞期の初期によくみられる現象です。

一方で世界を見渡せば、中国コインの値上がりによって割安感が著しい領域も出てきました。たとえば先月紹介させていただいたアメリカもそうですし、中南米の大型金貨や近代アジアも割安だと思います、古代はギリシャ・ローマ時代やインドもこれからだと思いますし、神聖ローマのターレルも割安に放置されていると思います。

そのような割安領域をみつけて投資するのも、コイン収集の楽しみの一つです。次回は近代アジアのお話しをしたいと思います。