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Looking for valuable coins

2022年前半のコイン相場を振り返って-アジアコイン編

2022年6月28日

今月はアジアコイン編です。ここ一年ほどの相場を振り返ると同時に、直近オークションでのトレンドや今後の見通し書かせていただきます。

アジアはいま僕が一番注目しているエリアです。

この領域コインの特徴としてまずあげたいのは、コイン発行の歴史の浅さです。もちろんアジアでも中国やインドのように、紀元前からコインを発行している国もありますが、それらは(インドを除き)いずれもアジア的で、例えば西洋コインによくみられる君主の肖像や建造物、動物や植物などが刻印されたものはありません。銭形平次が投げた寛永通宝やように文字だけが刻印されたものが大半なのです。言いようによってはアジア独自に発展してきたコインではありますが、面白みという意味ではイマイチです。

そんなアジアがヨーロッパ風のコインを造り始めたのは1800年代に入ってからです、たとえば当時アンナンと呼ばれた現在のベチナムでは、フランスによる植民地化がきっかけになり、1800年代前半から西洋基準の丸くて大きなコインが造られ始めました。

(アンナン嗣徳通宝7銭銀貨、1848年-1883年)

上のコインはアンナンで1848年から1883年にかけ発行されたものですが、日本で言えば江戸時代末期から明治時代の初期にあたります、その後、当時のヨーロッパ列強と言われたイギリス・フランス・ドイツなどが続々とアジアに進出し、アジア諸国を植民地化しつつ西洋基準のコインを発行してゆくことになります。

ちなみにアジアコインで最近目立って値上がりしたのはこのアンナンで、先日(2022年5月)香港で開かれたオークションでは「嗣徳通宝5銭銀貨、NGC-MS63」がビックリの60,000ドルで落札されました、消費税込みの総支払額ベースで1000万円超えです。なお手前味噌ながら僕は一昨年の12月(2020年12月)に、「嗣徳通宝5銭銀貨、NGC-MS63」をお客様にお勧めしオークションで代行落札しています、当時そのお客様が支払われた金額は代行手数料込みで約300万円でした、下のサイトの(登録番号081)です。

↓弊社コイン専門サイト、代行落札したコインの事例
https://www.antique-coin.jp/bid_example.html

少し長くなりましたが、上のような歴史的経緯があり、アジアで西洋基準の大型コインが発行され始めたのは、せいぜい1800年代に入ってからです。なかにはモンゴルやネパールのように1900年代に入ってようやく丸くて紋様の入ったコインを造り始めた国もあります。

そんな事情もあって、私たちがアジアのコインに投資する場合、その対象は1800年代の半ば以降に限定されますし、銘柄も決して多くはありません。例えば以下はタイで1863年に発行されたラーマ4世の2バーツ銀貨ですが、このラーマ4世生誕60周年記念コインが、タイで唯一1800年代に発行された金貨&銀貨です。

ちなみにこの2バーツも先日の香港オークションに出てきました、結果はPCGS-MS62がハンマープライス4000ドル、総支払額ベースでは約70万円でした。そういえば5年ほど前、僕はお客さんに代わってこの2バーツのMS64+を60万円ほどで買いましたが、現在はMS62でもこの金額です、いくぶん相場は上がっていますが、僕はタイのコイン相場上昇はまだ初期段階だと考えています。

(タイ1863年2バーツ銀貨、)

タイはアジアの中でも経済発展が早く、一人当たりのGDPも7500ドル近く(2022年IMF予想ベース)もあります、富裕層による実物資産への分散意欲も高く、今後有望な投資対象になるでしょう。

アジアは先述のようにコインの歴史が短いため、たとえば1960年/1970年、場合によっては1980年代に発行されたコインでさえも、投資対象として有望な銘柄があります。代表例を挙げると、インドネシアで独立25周年を記念して発行されたコインで、金貨5枚+銀貨5枚の10枚セットです。

(インドネシア1970年発行、独立25周年記念20,000ルピア金貨)

一番人気は上の20,000ルピア金貨で1280枚ほどしか発行されていません、オモテ面にデザインされたガルーダが素晴らしく、セットの中ではダントツの人気です。このコインも5年ほど前までオークションに出てくれば40-50万円ほどで落札できたものですが、この2年ほどでビックするほど人気化し、最近では単品でも300万円ほどの値を付けます。今年の1月(2022年1月)に国内で開かれたオークションでは、10枚セットの高状態がこれもビックリの820万円(総支払額ベースで910万円)で落札されています、経済成長と貧富の差拡大が同時進行した結果、富裕層がコインに資金を移しているのだと僕は思います。なおこれも手前味噌ながら、僕はこのコインを2020年4月に代行入札しています、当時お客様が支払った金額は弊社手数料込みで290万円でした。

有望なアジアコインをあげだすときりがないのですが、最後にもう一枚だけ紹介させていただきます。

(海峡植民地1904年発行、1ドル銀貨)

このコインはイギリスの海峡植民地(Straits Settlements)で、1903年と1904年に発行された1ドル銀貨です。海峡植民地はほぼ現在のマレーシアとシンガポールをあわせた地域で、19世紀から太平洋戦争まで存続しました。そんな経緯もあってこのコインには、当時のイギリスの王様エドワード7世が描かれています。

先ほど1903/1904年と紹介しましたが、1907年から1909年にかけてもサイズが一回り小さくなって発行されています。今のところ1907年以降の年号はさほど値が張りませんが、1903年/1904年銘は最近見直し買いが入るようになってきました。

現在のオークション相場は1903年銘が未使用クラスで4000-6000ドルほど(総支払額ベースで70-110万円ほど)、1904年銘が未使用クラスで2000ドル-2500ドル(総支払額36万円-45万円)前後で落札されるようになってきました。

この銘柄に限ったことではありませんが、アジアのコインもプルーフライク貨や美しいブルートーンが乗ったコインが値を上げる傾向にあります、先日香港で開かれたオークション(2022年5月)で僕は、同銘柄の1904年(PCGS-MS64/高鑑定)のセリに参加したのですが、落札価格はこれもビックリの22,000ドルでした、総支払額ベースでは何と400万円近くにもなります、競っていてアジアの富裕層のパワーに驚かされました。この銘柄は1903年銘が約1500万枚、1904年銘が2000枚ほどと大量に発行されているのですが、にもかかわらず現在の相場は急上昇中です。

1800年代から1900年代初頭にかけて大量に発行された銀貨が急騰する事例は、この銘柄だけではありません、他にも日本の明治円銀、香港で同時代に発行されたヴィクトリア女王の貿易銀、ブリタニアの貿易銀、フランスがアジア貿易のために発行したピアストル銀なども同様の価格推移をたどっています。これらの銘柄を一つ一つ独立した別個の銘柄と見るのではなく、広い目で「1800年代末-1900年代初頭のアジア貿易銀」として、一体のものとしてとらえると相場の動きは見えてきます、皆さんも今後のこのアジア貿易銀に注目してください。きっと素晴らしい投資になるでしょう!