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Looking for valuable coins

直近の中国コインとアジアコインの動向

2022年7月30日

5月度の本欄で僕は以下のように申し上げました。

『今回見てきたように中国コインの相場上昇は今のところ続いていますが、こんな急騰がいつまでも続くとは思えません、実際に袁世凱の1円銀貨のように、ありふれたコインは値動きが緩やかになってきたように思います。少なくとも(張作霖は別格として)徐世昌・孫文三羽鳥などレアな銘柄に比べ値上がりはおとなしく、これも相場の停滞期の初期によくみられる現象です。』

あれから二月たちましたが、足元でこの傾向はより明確になりつつあるように思います、今月(2022年7月)に香港でアジアコインのオークションが開かれましたが、今回はいくつか結果を抜粋し、中国コインやアジアコインの今後を考えてみたいと思います。

7月オークションの落札結果から-中国コイン

まずは高額コインの代表選手「孫文三羽鳥」です、以下5月のStack’s Bowers と7月のHeritageの比較です。

(孫文、三羽鳥)

Stack’s Bowers(5月)

  1. PCGS-MS64:USD44,000
  2. PCGS-MS64:USD57,500

Heritage(7月)

  1. PCGS-MS64:USD40,000

サンプルは少ないですが、実際にセリに参加していてHeritage(7月)は札の入りが少し鈍かった印象でした、落札価格も5月のStack’s Bowersに比べて少し低かったです。おなじグレードでも個体差があるので、この程度のサンプルで判断できませんが、孫文三羽鳥に関しては上記のような印象を持ちました。

次は1917年、「袁世凱の有帽+飛龍」です。

(袁世凱「飛龍」)

Stack’s Bowers(5月)

  1. PCGS-MS64:USD200,000
  2. PCGS-MS61:USD65,000

Heritage(7月)

  1. NGC-MS64:USD80,000
  2. NGC-MS63:USD55,000
  3. PCGS-MS63:USD115,000
  4. NGC-MS62:USD55,000

Stack’s Bowers(5月)では4のようにPCGS-MS64が20万ドル(日本円ベースで総支払額3700万円)まで伸びましたが、7月のHeritageでは6の80,000ドル止まりでした、一方でご覧のように7月で、1グレード下の8/PCGS-M63が115,000ドルで落札されています、このあたりは個体差と相場トレンド、PCGSとNGCの人気度など複数の要因が混在しており、結論づけるのは早計ではありますが、実際にセリに参加した肌感覚としては、少なくともここ5年ほど続いた中国コインの躍進に陰りが見られた観があります。

最後は「大清銀幣」です。

(大清銀幣)

Stack’s Bowers(5月)

  1. PCGS-MS64:USD40,000
  2. PCGS-MS63:USD23,000

Heritage(7月)

  1. PCGS-MS64:USD28,000
  2. PCGS-MS64:USD34,000
  3. NGC-MS62:USD13,500
  4. NGC-MS62:USD12,000

10と12/13の比較は好例だと思います、すべてPCGS社の鑑定ですし、状態もMS64は妥当だと思いますが、上記のように明らかに10に比べ12/13は値を下げています。

文字数の都合で多くは紹介できませんでしたが、他の値がさコインをみても、概ね上記と同様の傾向が見られました、繰り返しになりますが、たった一回のオークションで相場のトレンドが転換したと決めつけるのは早計ではありますが、可能性として以下の点を注意していたほうがいいと思います

① 5月のオークションですでに「あるふれたコイン」の価格停滞が見え始めていたが、これは相場停滞期の初期によくみられる傾向である

② さらに7月のオークションでは、「あるふれたコイン」の価格停滞が明確になると同時に、値がさコインも停滞から下落の兆候が見えた

もしこの見方が正しければ、いったいその要因は何でしょう。冒頭のコラムでも触れましたが、僕は以下の可能性があると思います。

1)中国政府による共同富裕とゼロコロナ政策によって、中国からの出金ルートのいくつかが細くなっている可能性

2)中国経済の低成長化により、中国人による投資意欲が薄れている可能性

以上はあくまで可能性ですし、そもそも5月以降見られる兆し的なものが、トレンドに変わるかどうかもよくわかりません、ただ今後の実物資産投資、特にコイン投資の対象を決める際、一応頭に入れておきたいと思います。

続いてアジアコインです

7月オークションの落札結果から-アジアコイン

中国コインとは対照的に、アジアのコインは相変わらず値上がり中です。先月の当欄で紹介したアンナンでは、紹治通宝の5銭銀貨(PCGS-MS62)がハンマープライス32,000ドル、総支払額ベースで600万円弱まで伸びましたし、同じく紹治通宝の7銭銀貨(洗浄されていて数字つかずUNC-Details)ですら4,600ドル(総支払額85万円ほど)で落札されました。さらに同じくアンナンの穴があいた紹治通宝の4銭金貨(NGC-AU Details/Holed)は6000ドル(総支払額110万円ほど)で落札されましたが、実はこの個体は僕が趣味でやっているネットショップ「ときいろ」で一昨年65万円(会員様価格)でお売りしたものです、出品をもうちょっと待てばよかったと思いますし、弊社の「オークション代行出品サービス」をご利用いただければ、オークション会社への手数料をゼロにできますから、もっといい結果になったでしょう。

他にもカボジアのティカルやフランス領インドシナの貿易銀、同じくイギリスの貿易銀ブリタニアなど、強いビッドが入り高値落札となりました。日本の円銀や貿易銀、明治の金貨なども出品数は少ないながら値を上げている印象です、例をあげると明治28年のPCGS-MS66がハンマープライス10,000ドル(総支払額185万円ほど)で落札されましたが、これなどは今年の春先まで100万円ほどで買えていました。また貿易銀の明治8年NGC-MS62が12,000ドル(総支払額220万円ほど)で落札されたのもビックリでした、この銘柄の明治9年NGC-MS62を、僕は今年6月の国内オークションで代行落札しましたが、その時の依頼者の総支払額は133万円でした。

(明治、貿易銀、明治9年)

日本人がこんなビッドを入れるとは思えませんし、仮に上記のように中国人による爆買いの勢いも止まっているとしたなら、買い手はアジア人しか考えられません。日本の不動産への投資と同じロジックが働いている可能性はあります。

総括

なんどもすみませんが、1回や2回のオークションで判断するのは早計ですが、たしかに

  • 中国コインの爆上がりは止まっている可能性
  • アジア人富裕層によるアジアコイン(日本を含む)への買いが始まっている可能性

はあると思います、世界を見渡すと1700年代から1800、1900年代にかけての中南米の大型金貨。古代インド、古代ギリシャ、帝政ローマなど古代コイン。16世紀以降のヨーロッパ(ダカット、ターレル)など有望な領域がありますが、アジアのコインは注目しておいて損はないと思います。