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Looking for valuable coins

コイン投資で成功するために

2022年9月30日

今回は少し貨幣というものについて考えてみたいと思います。

僕が好きなアンティーク・コインの世界では、残されたコインの枚数が時の経過によって少しずつ減ってゆきます。

たとえば今から400年前にオーストリアで発行された大型の銀貨ターレルを例に考えてみましょう。

(オーストリア1706年発行1ターレル銀貨)

この時代のターレルの発行枚数は記録がほとんどなく、正確にどれほどの枚数が発行されたかよくわかないものが多いのですが、それでも当時の経済の規模を考えますと、せいぜい1銘柄あたり50万枚ほどに過ぎないと思います。一方でいまこのコインが何枚ほど残っているかといいますと、せいぜい1銘柄当たり5000枚ほどではないかと思います。

ではなぜ50万枚がたったの5000枚に減ってしまったのでしょう。

古くなったコインを時の政府が回収し、新しい銀貨として仕立て直したこともあったでしょう。日本でも江戸時代には何度かの改鋳があり、市中から回収した純度の高い小判を、低品位の小判に仕立て直したこともありました、ほかに戦火や水没などによって消失したものもあったに違いありません。

このように政府によって強制的に鋳つぶされたり、自然災害や戦争などによって消失してしまったこともあったでしょう。

ただし上記の理由ですべてのコインが50万枚から5000枚に減ってしまったとは思えません。ではなぜコインは時の経過とともに数が減ってゆくのでしょう。

コインというものは、金属としての価値が、コインの額面を超えることはありえません。

この点について、皆さんの財布の中に入っている100円玉を例に考えてみましょう。100円玉は銅75%とニッケル25%の合金ですが、その金属としての価値は8円ほどにすぎません。ではもし将来、銅やニッケルの価値が上がり、金属としての価値が200円になればどうでしょう。現在の法律では貨幣を損傷したり溶かしたりすると罰せられますから(注)できませんが、もしこの法律がなければ、多くの人は100円玉を溶かして、金属として売ってしまうに違いありません。

注)貨幣損傷等取締法

日本でこの法律ができたのは1947年ですが、おそらく欧米でも同種の法律が整備されるのは、20世紀以降ではないかと思います。

もちろん上記のターレルが発行された1600年代は、このような法律はなかったと思いますし、仮にもしあったとしても、国家の権力が民間の細部まで行き届かなければ、コインの鋳つぶしを防ぐことなどできなかったに違いありません。

そんな背景もあり、当時のターレルは鋳つぶし放題だったと思います。

一方でターレルが発行された1600年以降だけを振り返っても、貴金属の相場や通貨の価値はずいぶん激しく変動してきました。

時代が下って直近100年を見ても、第一次世界大戦後のドイツのハイパーインフレや、1930年代の世界恐慌、そして近年に南米諸国で起きたハイパーインフレ、日本で1946年に起きた財政破綻など、通貨の価値が急速に損なわれた時期がありました。さらに新しいところで言いますと、たとえば金価格は、2000年の1オンス=270ドル台から現在の1,600ドル台まで値上がりしています。

(金のスポット価格推移2000年から現在まで:Kitco社サイトより転載)

たったの20年間ですらこの変動ですから、400年前のターレル時代にも、銀の価格が高騰し、金属としての1ターレルの価値が額面を上回ることが何度もあったに違いありません。

そしてそのたび市中のターレルは鋳つぶされ、もとの銀に戻るということが頻繁にあったはずです。その結果もあって、当時50万枚も発行されたコインが、現存僅か5000枚という状態になっているのだと思います。

もう一つ、今度は近代コインの事例を見ておきましょう。例えば日本の明治3年から大正3年にかけ発行された1円銀貨があります。きっとこのレポートをお読みの大半の方は、わずか100年から150年ほど前に、こんな立派なコインを私たちの先人が大量に作っていたなんてご存じないと思います。実はこのコインは僕にとって思い出のコインです、小学生の時、友達がこのコインを学校に持ってきて、「なんだ、このデカイコインは!」とビックリしたことがきっかけで、僕はコインに興味を持つようになったのです、人生なにが幸いするかわかりません・・・。

(明治21年発行、日本の一円銀貨)

このコインは主に貿易決済用に発行されましたが、貿易決済という用途から毎年大量に発行され、全年号合わせると2億枚以上にもなります。2億枚も発行されたのだから、今でも大量に残っていてもよさそうなものですが、実際にこの1円銀貨はさほど多く残っているわけではありません。正確な統計はありませんが、僕の感覚では残っている枚数は意外と少なく、全年号合わせても100万枚ほどしか残っていないと思います。

100万枚と聞けば途方もなく多いとお感じかもしれませんが、残存率を計算すると0.5%、
言い換えると200枚に1枚しか残っていない計算です。しかもその中で未使用状態のコインがどれほどあるかといえば、そもそもの貿易用途という性格から考えて、多くのコインは相当使い込まれているはずです。

仮に未使用率が100枚に1枚なら、残っている未使用品は1万枚に過ぎません。

コインはそもそも富裕層の趣味という要素を持っており、富裕層はどこにでもあるものに興味を示しません。残存数が少ないもの、さらに極めてまれな好状態のもの、そんなレアな逸品に惹かれるものです。

年数の経過とともに徐々に数が減ってゆき、しかも保存状態や摩滅によって状態が徐々に悪くなる・・・、そんななかを生き抜いた好状態のコインに、富裕層は惹かれるのです。

このような富裕層の嗜好を理解したうえで、コインへの投資を進めると、成功する確率は上がると思います。

単なる入札代行ではなく、このサイトの主催者である田中がコンサルさせて頂きます、
コイン初心者の方でも安心してご利用いただけます。