価値あるコインを求めてLooking for valuable coins
最近のコイン相場を振り返って
2023年1月31日
いろんなところで見聞きしますが、最近コイン投資が人気だそうです。先ほどテレビ東京の「なんでも鑑定団(日曜日にやっている再放送です)」をみていたら、亡くなった弟さんが収集していた金貨のコレクションの鑑定依頼がありました、番組の中で銀座コインの竹内さん(鑑定人です)は、出品者の方にこんな話しをしていらっしゃいました、『最近はコイン収集への認知度が高まっており、相場も上がってきています。弟さんは先見の明がありましたね』。
そういえば最近はテレビや雑誌などでコイン投資の話を見聞きする機会が増えてきたような気がしますし、弊社への問い合わせやオークション代行入札の依頼も増えてきました。
おもえば世のなか随分と変わったものです、僕がこの事務所を始めたころは、コイン投資を勧めても興味を示す人など一人もいませんでした。
それがいまでは様変わりです、僕のように昔からコイン集めをジミにやってきたものにとって、嬉しい半面、少し戸惑いもあります。
昔は「古代インドのディナールなど、ほぼ地金の価格で買えたのに」、などと思うと、なんであの頃もっと買っておかなかったのか・・、などと後悔してしまいます。でも逆に、1800年も前に造られたコインが、地金価格で買える方がヘンだったに違いありません。
僕ももう60歳を超えてしまいました、これからどれだけのコインを集められるかわかりませんが、楽しみながら、また資産分散のためにも自分の好きなコインを集めたいものです。
さて今回は、
最近国内で開かれたオークションに参加して、考えたことなどを思いつくままに書いてみたいと思います。
まず一つ感じたのは、インドコインへの注目度の高まりです、例えば下の写真はインドのハイデラバードという藩国で発行された1モハール金貨です。
(インド1915年、ハイデラバードのモハール金貨)
出品された個体ではありませんが銘柄は同じです。出品コインも状態がよく、NGC社の鑑定でMS67でした。下見したところ、たしかにMS67の鑑定は妥当ではありましたが、事前に僕が想定した最大ビッド88万円をはるかに超える120万円まで札は伸びました。
あともう一枚インドから。
下は1888年にイギリス植民下で発行されたモハール金貨です、状態はNGC-MS62ですが、下見したところ顔の部分に細かいキズが多数あり、NGC社の鑑定はオーバーグレード(高すぎ)だと思いました、このロットのセリには参加しませんでしたが、せいぜい落札価格は100万円どまりだと思っていました。それが実際には140万円(落札者の総支払額ベースでは155万円ほど)まで伸びました。ちなみに昨年10月の同じオークションに同銘柄、同年号のNGC-MS63が出品されましたが、当時の落札価格は94万円でした。相場を知らない人が二人いるだけで、こんなことになってしまう良い事例です、まあそれもインドコインへの関心の高まりを表しているのでしょう。
(イギリス領インド、1888年モハール金貨:オークションワールドのサイトより転載)
一方でインドでもイスラム王朝時代のコインは意外と札が伸びませんでした、日本人にとってペルシア文字はなじみが浅く、むしろ海外に比べ安く落札されていた印象です。海外では徐々に人気が出てきていますので、遠からず日本でも値が上がると思います。
次に印象深かったのは古代コインの人気です、アレキサンダーのスターテルや、プトレマイオス朝のオクタドラクマ金貨など、金貨は値上がりが目立ちしました、僕も何枚かチャレンジしたのですが、ほとんど失敗しました。特にマケドニアのアレキサンダーのスターテルはここのところ伸長著しく、NGC-Ch MSが340万円まで伸びたのには驚きです。なんと総支払額ベースでは370万円以上です。
これは本当にご参考までですが、3年前「ときいろ」で同銘柄、同程度状態の個体を販売しましたが、当時の売価は135万円でした。
(古代マネドニア、アレキサンダー大王のステーテル金貨、紀元前4世紀:「ときいろ」のサイトより転載)
逆に安く落札されたコインもあります、例えば以下のコインです。
(ブラジル1821年960レイス:オークションワールドのサイトより転載)
ブラジルの大型銀貨で素晴らしい状態でした、NGC-MS65と極めて高状態の大型銀貨でした。NGC社この銘柄を146枚鑑定していますが、MS65は最高鑑定7枚のうち1枚です。この超稀少状態のコインが18万円で落札できたのには僕自身も驚きました、ご依頼者にとっては素晴らし結果でした、日本ではまだブラジルのコインは安値に放置されていますし、特に銀貨はほとんど注目されていません、こんな穴場コインを入手するのもまた、コイン投資の楽しみの一つです。
最後に中国コインを見ておきましょう。
今回はスターコインが出てこず少し残念でした、中国コインは昨年なかばがピークで、年末にかけ随分と下げました、習近平さんの共同富裕や不動産への規制などが効いたのだと思いますが、ゼロコロナ政策も影響していたのかもしれません。そういう意味で今回はゼロコロナ解除後はじめて開かれるオークションとして、僕は注目していました。
出品数は少なかったし、スターコインも出ていませんでしたが、前回10月に開かれたオークション並の落札価格だった印象です。中国政府はいまゼロコロナ解除を含め、さまざまな景気下支え策を打ち出しています、不動産業界に対しては昨年の規制姿勢から転じ、すでに保護政策をとっていますし、大手テック企業に対しても規制の姿勢を緩めつつあります、このような政策転換が中国経済にどのように影響し、その結果、中国コインの相場はどう動くのか、単なる投資としてだけではなく、純粋に経済学的な視点でも僕は興味があります。そのような観点で今後の中国コインに注目してゆきたいと思います。
以上先週のオークションの結果から、おもいつくままに書かせていただきました。
これからも引き続き相場を深堀してみてゆきたいと思います。
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