価値あるコインを求めてLooking for valuable coins
近未来のコイン投資
2023年5月31日
いまでこそ鑑定会社のケース入りコインは当たり前になりましたが、今から20年ほど前の2000年ごろまでは決して一般的なものではなく、世の中にあるコインの大半はケースに入っていない「裸のコイン」でした。
当時はケース入りコインがほとんどなかったので、僕たちは「裸のコイン」を見てコインの評価をするしかありませんでした、そこに求められるのは眼力で、たとえばコインのフチに付いたキズがどの程度そのコインの価値を下げるのか、あるいは摩耗がどの程度進んでいるのか、またヘアライン(注1)が軽微なもので価値に影響を与えないのか、それとも
深刻な影響を与える程度のものなのか・・・。コインの真贋に加え、このように様々な観点からコインの評価をしなくてはならなかったのです。
注1)コインの表面についた髪の毛状のスレ
なのでコインと向き合うときはいつも真剣でした。
コイン商の店頭では、その値札は妥当なものなのか、それとも割高なのか、割安なのか、高額なコインになるほど目を血走らせて見入ったものです。そしてそのような経験の中で眼力を養ってきました。
その後、徐々に鑑定会社による評価が定着し、僕たちは昔ほどコインの状態に深入りすることはなくなりました。もちろんNGC社にしてもPCGS社にしても、大勢いる鑑定人による評価で、鑑定人ごと好みもあればキャリアも様々です。明らかに評価不足(アンダーグレード)とみられる個体もあれば、その逆もあります。数字ナシのDetail鑑定とされた個体の中にも、数字が付いて当然なコインもありますし、またその逆もあります。なかにはA社がMS63と鑑定したコインをB社に再鑑定(注2)に出すと、MS63 PLと鑑定されるケースなどもあります、コインの世界でこのPLの有無は大事です、PLはPlooflike(注3)のことですが、PLが付くと評価額が3倍程度になることも珍しくはありません。
注2)このように鑑定会社をまたいで行う再鑑定をクロスオーバーといいます、例えばA社でMS63と鑑定されたコインに対し、B社に鑑定を依頼する際、「MS64以上の評価を得られ場合に限りクロスオーバーする」といった依頼ができます。
注3)Plooflikeはまるでプルーフ貨のように輝きが美しい、初期の極印で打った個体に対して与えられるプラスの評価です。
まあこのように現在の鑑定制度はさまざまな問題を抱えながらも、それなりに進歩してきました、おかげで私たちは昔ほどコインの状態に深入りせずとも購入できるようになりました、多くの方にとってコイン投資はより身近なものになったといえるでしょう。
進化するコインオークションとその現状
この鑑定という仕組みとともに発展してきたのがオークションです、上記のように鑑定会社の評価を見ると、ある程度の状態は分かるようになりました、しかも近年のデジタル技術の発展や、ネット経由でやる取りできる情報量の拡大により、オークションの形態も様変わりしました。
すでに2000年時点でもコインのオークションはありましたが、日本に住む私たちが海外のオークションに参加するのはなかなか難しい作業でした、なぜならコインは上記のように一点一点状態が異なり、その良しあしによって何十倍もの値差が出ることも珍しくはありません、このような事情から私たちは海外のオークションに参加する場合、現地に赴いてコインそのものを見るしかなかったのです。
鑑定会社によるケース入りコインの登場は、そのような状況を一変させました、上記のように不完全で欠点はありますが、たとえばA社によってMS63と評価されていれば、それは札(ビッド)を入れる際の目安にはなります。さらに2000年以降はデジタル化の進展と情報量の増加によって、ネットで公開されている写真が鑑定会社の評価を補完する有益な情報になりました。最近のオークションでは高精細な画像がアップされていますから、目が肥えた入札者なら、写真だけでほぼ正確にそのコインの状態を把握できるようになってきたのです。さらに高額なコイン中心に、動画で撮影した画像もアップされることが多くなり、これも遠隔地からのオークション参加を容易なものにしています。
上記のように、
- 鑑定会社のケース入りコインの一般化
- 高精細な画像の公開
により、オークション市場はますます拡大し、今ではコイン商ですらオークションが主な仕入れ先になりつつあります、この20年でコイン市場は大きく変容したといえるでしょう。
今後のコイン市場を予想する
では今後のコイン市場はどうなってゆくのでしょう。
まず考えられるのは鑑定精度の向上です、さきほど僕は鑑定人による評価のバラツキ問題を指摘しましたが、昨今急速に進展するAI技術は、コインの鑑定にも応用可能だと僕は思います。NGC社にせよPCGS社にせよ、すでに膨大なコインの鑑定情報を持っており、過去のデータをAIに学習させるのはさほど難しいことではなさそうです。人間がやるより、むしろAIに鑑定させたほうが精度は高まりますし、鑑定人によるバラツキのような問題も起きないはずです。
もう一つ期待できる技術の進歩は「動画」です、すでに高額なコインいついて、オークション会社は動画で資料をアップしていますが、近い将来、動画が当たり前になるでしょう。
このようにして起きる
- AI鑑定
- 動画の採用
によって、オークションのネット化がますます進むに違いありません、世界中どこにいても、アメリカやヨーロッパなどのオークションに容易に参加することができるでしょう。
その結果、オークションはコイン入手の主要なルートとして定着し、コインは趣味の対象として、投資の対象として、より身近なものになってゆくのではないでしょうか。そしてこのことはコインという限定された市場に対し、新しいマネーの流入を呼ぶことになるでしょう。
単なる入札代行ではなく、このサイトの主催者である田中がコンサルさせて頂きます、
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