過去に書いた経済コラムよりFrom the economic column I wrote in the past
増殖する仮想通貨と貨幣の近未来
2017年5月
ビットコインが登場し、すでに8年が経つそうですね。日本国内でも使える店舗は30万店になり、公共料金の支払いもビットコインが使える事例も出てきたようです。ビットコインを含む仮想通貨の種類は700種に達し、発行残高の合計は8兆円を超えたと聞きます。
仮想通貨を正式な支払い手段として扱うべきなのか、それともモノとして扱うべきなのか・・日本政府の対応はあいまいなものでしたが、ここへきて海外の事例に動かされたようで、4/1付でプリペイドカードや商品券と同様に支払い手段として正式に位置付けられました。ただしこれをもって仮想通貨が通貨として位置づけられたと考えるのは早計で、現状では例えばスイカやパスモと同じく支払い手段の一つにすぎません。
では仮想通貨の未来はいったいどうなるのでしょうか。
通貨には以下3つの機能があるといわれています、一つ目は価値の交換手段、二つ目は価値の保存手段、三つ目は価値の尺度です。それらの観点でみればどうでしょうか。例えばビットコインはこの3つの機能をすべて満たしているといえるでしょうか。
まず交換手段です。現状はさておき、近い将来仮想通貨で決済できるケースはさらに増えるのは間違いないでしょう。その点で仮想通貨は通貨の要件を満たすことになるでしょう。では二つ目の価値の保存機能と三つ目の価値の尺度という点ではどうでしょう。私はこの観点でいえば少し問題があると思います。かつてのマウントゴックス事件の様な事故は今後起きないとしても、例えばビットコインを見てわかるように、相場の変動はハンパではありません。ここ数日の値動きをみても、例えば5/25に33万円を超え最高値更新したあと、5/27には22万円台まで急落しています。
少なくともこのような仮想通貨市場の現状を見る限り、価値の尺度として用いるにはあまりに変動が激しすぎますし、価値の保存手段としても問題があるといわざるをえません。簡単にいえば仮想通貨は通貨として位置づけるには、あまりに価格変動が激しいということです。発行量の増加に伴い相場が安定するとお考えの方もおいでかもしれませんが、仮に現在の円やドルのような規模まで残高が増えると、今度は通貨を通貨たらしめる「信頼性」が低下するはずです。
このようなことから仮想通貨は例えば株や商品と同じく投資の対象にはなるが、円やドルなど通貨にとって代わることはないというのが僕の予想です。つまり「便利な決済機能が加わった新しい投資対象」が仮想通貨の近未来ではないでしょうか。
では翻って円やドルなど政府発行通貨が、今後も絶対的かつ唯一の通貨として続くのでしょうか、この点に関して僕は少し疑問を持ちます。現在のように通貨の発行量に上限を設けず、各国ごとの中央銀行の政策に依存する体制は、明らかに限界を迎えつつあるように思います。向こう数年から数十年にわたり幾度かの金融危機を重ねつつ、何らかの国際的な統一政策が試され、貨幣政策の統合的な運営が模索されることになるのではないかと僕は思います。いわば世界中央銀行による統合的な貨幣政策です。
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