過去に書いた経済コラムよりFrom the economic column I wrote in the past
半導体株の降り時を考える2025.6月時点
2025年6月30日
半導体株はトランプ関税ショック(2025年4月/赤矢印)で当面の底を付け、5月から6月にかけ急伸しています。
以下SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)をご参照ください。
(SOX指数5年間の推移、Nikkei225サイトより転載)
ここであらためて直近SOX指数のサイクルを整理しておきます。
前々回の下げ局面(2022年1月のピークから2022年10月の底値まで)
- ピーク/緑矢印(2022年1月3日)⇒4,009
- ボトム/青矢印(2022年10月14日)⇒2,162
この間約9か月で、下げ率は46%ほど。
前回の下げ局面(2024年7月のピークから2025年4月の底値まで)
- ピーク/黄色矢印(2024年7月16日)⇒5,804
- ボトム/赤矢印(2025年4月8日)⇒3,563
この間約9か月、下落率38.6%ほど。
今回の上昇局面(2025年4月の底値から今に至るまで)
- ボトム/赤矢印(2025年4月8日)⇒3,563
- 現在(2025年6月24日)⇒5,441
現在は直近安値(2025年4月8日/赤矢印)に比べ53%ほど高い水準。
このように現在はトランプ関税ショック(2025年4月8日)に比べ、すでに53%ほども高い水準にありますが、前回のピーク(黄色矢印:2024年7月の5,804)に比べるとまだ6%ほど低い水準にあることがわかります。
さて問題はここからです。
一つ目の関心事は、次回のピークの水準です。
上のように現在のSOX指数は5,441で、すでにこれは前回ピークにくらべ▲6%ほどまできています。ここからさらに上がるとしても、上げ余地はさほどないんじゃないかという疑問がわきます。
でも株価は時間の経過とともに上がっていきます、これは経済活動の活発化によって市場が常に拡大しているからです。
半導体市場も同様で、今後さらに拡大してゆくのは間違いありません。この考えに基づけば、今回のSOX指数のピークは前回のピーク(黄色矢印:2024年7月の5,804)を超えてゆくと考えるのが自然です。
では次回のピークはどのあたりを目指すのでしょうか。
この目安を立てるのに、前々回ピーク(緑矢印)と前回ピーク(黄色矢印)を比べるのは正しいアプローチだと思います。
上記のように
- 前々回ピーク/緑矢印(2022年1月3日)⇒4,009
- 前回ピーク/黄色矢印(2024年7月16日)⇒5,804
ですから、ピーク同志を比べると上昇率は45%ほどになります。
- 5,804÷4,009≒145%
まいどまいど同じピッチで株価は上がるわけではありませんが、今回のピーク水準を予想するうえで一つの目安にはなると思います。
でもあえてこの+45%という数字に「補正」を加えるとすれば、
前々回のピーク(緑矢印)は2020年以降のコロナによる半導体バブルによってかさ上げされている点に注目していいでしょう、逆に言えばこの「かさ増し」が無ければ
- 前々回のピーク(緑矢印)はもう少し低い
- であるならば前々回のピーク(緑矢印)から前回のピーク(黄色矢印)の上昇率は、45%にとどまらずもっと高かったはず
ということは言えると思います。
さらに次の山のサイズにも注目しておかなければなりません。
前回も書きましたが、僕は足元の半導体株の上昇要因は以下の2つあると思います。
- 依然として強いAI半導体の需要
- DRAMなど汎用半導体は年の後半に需要が戻ってくる
異次元の拡大とまでは言いませんが、この2つの要因が重なった結果、すくなくとも次の山のサイズは前回を超えてくると思います。これが二つ目の「補正点」です。
以上の2点の「補正」を加えると、次のピークはかなり高くなるのではないかと思います。
ここで具体的な数字を出すのはまだ早いですが、前々回⇒前回のSOX上昇が45%であることから考えて、次のSOXピークは前回のピーク5,804に対して、最低でも45%高い8415を超えてくるはずです。
5,804×145%≒8,415
さらにこれに対して上記のように「2つの補正」を加えるなら、次のSOX指数のピークは「8,415を最低限として、さらにそこから+アルファ」になるはずです。
現在の値が5,441ですから、ここからの上昇余地は最低でも55%ほどと計算でき、これに上記「2つの補正効果」が加わることになるでしょう。
8,415÷5,441≒155%
もう一つの関心事はそのピークがいつやってくるかです。
2024年7月に半導体株はピークをつけ、そこから今年4月まで下げて底に達しています。したがってサイクルという点ではまだまだ若く、今回の山は始まってまだ3月ほどにすぎません。富士山に例えるなら今だ3合目あたりだと思います。仮に裾野から山頂まで2年なら、次回のピークは2027年の半ば頃です。
毎回毎回同じペースでサイクルが繰り返されるわけではありません、それでも2027年半ばは一つの手がかりになると思います。
さらにもうちょっとロジカルに考えてみましょう、上記のように今回の需要拡大は
- 依然として強いAI半導体の需要
- DRAMなど汎用半導体は年の後半に需要が戻ってくる
以上2つの要因があります、うちAIのほうは未知の領域でいったいどこが需要のピークかわかりません、一方で2番目の汎用半導体のほうは過去になんども経験済みです。
2番目について考える上で、先月も当欄で紹介した半導体メモリDRAMも価格動向を見てみましょう。以下は6/12付け日経に載ったDRAM価格のグラフですが、先月に続き5月も続伸し前月比10%高でした。DRAMは汎用の半導体で、これをみても汎用半導体の需給がしまってきたことがわかります。
(DRAM大口需要者向け価格推移、日本経済新聞サイトより転載)
半導体材料や部品メーカーの1-3四半期決算を見ても、汎用半導体の需要はいまだボトムの手前で、ここから年末にかけ徐々に回復するという見立てが多いようです。
つまり汎用半導体の販売額は戻り始めたばかりで、少なくとも来年の半ばあたりまでは回復が続くとみるのが妥当だと思います。
以上を総合しますと、
- AI半導体の販売額⇒未知の領域だけにどこが次のピークか予想しづらい
- 汎用半導体は少なくとも2026年半ばあたりまでは市場拡大が続く
今のところこのように見ています。
上記のような理由から、少なくとも年内いっぱいはSOX指数の上昇は続くとみておりますし、いまだ感覚的な領域にとどまりますが来年の半ばあたりまでは強気を維持しようと思います、変更があれば都度このレポートで紹介いたします。
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