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From the economic column I wrote in the past

AIバブル考

2025年7月31日

先月のこの欄で僕は以下のようなお話をしました。

□次のSOXピークは前回のピーク5,804に対して、最低でも45%高い8415を超えてくる
□そして半導体株の次のピークは2027年の半ば頃

理由について興味ある方は前回の当欄をご覧ください。

あれからひと月がたちましたが、僕はこの見通しを修正しておりません。

まずは以下SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)から見ておきましょう。

(SOX指数5年間の推移、MSNサイトより転載)

前回僕は「次のSOXピークは前回のピーク5,804(青矢印)に対して、最低でも45%高い8415を超えてくる」と予想しました、このひと月でSOX少し上がりましたが、それでも8415までには随分と距離があります。市況をみても、あいかわらずAI半導体は受注が好調です、なによりここまでAI需要は期待先行型でしたが、各社の決算をみると、ようやく実際の売り上げに貢献し始めた様子がうかがえます。

たとえばアルファベット(≒グーグル)の直近決算をみると、先日発表した4-6月四半期は一株利益が予想を上回りました、インターネット検索へのAIを組み込みが進み、「AIが大きな勢いを生んでいる」と同社CEOはコメントしています。

さらにAIの関連サービスへもAIの実需が広がり始めたように思います、たとえばアメリカのサービスナウ社は、AIを組み込んだ業務効率化ソフトが好調で、4-6月期の決算発表時に、会員が定期的に手数料を支払うサブスク収入の通期見通しを引き上げました。

このように、先行して収益を拡大したエヌビデアなど一部の半導体設計分野から、徐々にAIを組み込んだサービスへと、収益のすそ野が広がり始めているようです(注)

注)以上は2025年7月29日の日本経済新聞を参考にまとめました

つまりAIは徐々に「期待先行型から収益貢献型に」に移行し始めている可能性が高いと思いますし、この流れは時間の経過とともにさらに明確になってゆくと思います。

以上のように今のところ僕はAI半導体の関連銘柄には強気ですが、いくつか注意しておきたいこともあります。

一つ目は本当にAIは期待を裏切らないかという点です。

過去を振り返れば私たちはいくつものバブルを経験してきました、日本で1980年代後半に起きた経済バブル、あとは2000年代初頭にアメリカで起きたITバブルなどです、2008年のリーマン・ショックも証券化商品バブルの帰結と言っていいでしょう。

どれをとっても、バブルの中にいるときは、「いまはバブルだ」なんて僕は思いませんでした。周囲に流されない疑い深さ、いいかえればバブルをバブルと認識できる冷静さを持っておきたいものです。今回のAIも「もしかしたら期待が高すぎて、実需は案外と小粒に終わってしまうんじゃないか」という疑いを持ち続けたいと思います。

二つ目はAIへの熱狂はいつまで続くかという、「賞味期限」です。

上のように現状はバブルの兆候は見えませんが、いずれ必ず「行き過ぎ」や「賞味期限切れ」はやってきます。めでたくAIが予想通り社会に浸透し、関連企業の業績が拡大したとしても、いつか必ず飽和状態がやってくるのです。

そうなる前に相場を降りなければなりません。

それが1年後なのか、それとも2年後なのか、あるいは半年先なのか・・・、降り時を間違わないよう目を凝らしてゆきたいと思います。

いまのところ先月お話ししたような理由から、少なくとも年内いっぱいはSOX指数の上昇は続くとみていますが、この見通しを変更する可能性は常にあります。

変更があれば都度このレポートで紹介いたします。

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