過去に書いた経済コラムよりFrom the economic column I wrote in the past
日本国債はいつまで買われ続けるのか
2017年3月
たとえばギリシャのように、自国が発行する国債の大半を海外勢にもたれていた場合どうでしょう。この場合は海外の投資家が同国の財政悪化を嫌って国債を売りに出せば、ギリシャ国債の相場は下落し金利は上がります。今まで額面1ユーロの国債に対して支払っていた金利は例えば0.05ユーロから0.2ユーロ増え、その結果ギリシャの財政はさらに悪化することになります。このようなことからギリシャのように国債の大半を海外勢が保有するに国にとって、例えば対GDPでみた国の借金の比率は、財政破綻を予測する重要な指標といわれています。
では日本の場合どうでしょう。わが国の場合未だに90%以上を国内勢が保有しているので、国債の発行残高の増加は問題ないという意見をよく耳にします。なかには財務省の役人が財政悪化をことさら喧伝し、自らの立場を誇示しているといった“財務省陰謀説”も定番になっています。果たしてそうでしょうか。
債券の相場を安定させるためには、買い手と売り手が同時に存在し、しかも買い手の購入量と売り手の売却量がバランスしていなくてはなりません。例えばわが国の財政がさらに悪化し、対GDP比で300%程度まで膨らんだとしましょうか。たとえ300%に膨らんだとしても、上記のように購入量と売却量がバランスしていれば国債の相場は不変です、国債の相場が動かない限りは政府が支払う利払い費も一定(注)で、財政の破たんは起きないでしょう。
注)ただし国債の発行残高が増えていますから、利払い費の絶対額は増えています。
従って問題は『(国債の発行残高が)対GDP比で300%程度まで膨らんだ場合』も、ウリとカイはバランスするか否かという点でしょう。現在(2016年6月時点)の我が国の公債残高は1062兆円ですが、その約40%は日銀が保有しています。この40%部分に関しては実質政府のコントロール下にあるわけですが、逆にいえば残り60%は生保や年金、銀行、海外投資家、個人などが保有しています。特に動きが機敏なのは国内の銀行で、彼らはこの4年間で日本国債の保有額を160兆円から80兆円に減らしています。この期間の売りは、単に収益を得にくくなったという純粋経済的理由によりますが、彼らが日本国債に対して、執着を持っていない点は注目に値するでしょう。同じ理由から(年金は別にして)生保や個人なども日本国債をいつまでも持ち続けるとは思えません。このようなことから国内勢が大半を持っているからという単純な理由で、国債の暴落(金利の急騰)が無いとは言いきれないでしょう。
最近では教育国債などと、無理スジの理論でまた新しい財源を確保しようとする動きが見られますが、いくら仕分け先を変えてもお財布は一緒です。森友学園の話しはほどほどにして、国会はもっと大事なお話しをしてもらいたいものです。
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