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From the economic column I wrote in the past

株を持つ人、持たない人

2025年10月28日

僕は長い時間仕事をするのが苦手で、だいたい5時くらいには家に帰ります。家に帰るとすぐテレビをつけるのですが、ここ数年ほど「インフレで庶民は困っている」的な内容が増えたような気がします。そんな番組ではたいがい都内のスーパーで買い物をする人が登場し、「私たちはものの値段が上がって大変困っている」とインタビューに答えます。

僕自身も、日々の買い物の値段が上がっていると実感していますし、先日も自宅補修の費用が値上がりしていて驚いたりもしました。

統計のデータもこれを裏付けています。足元の物価上昇は3年目に入り、この間、年率3%ほどでインフレは進みました、以下グラフでご確認ください。

(全国消費者物価指数2000年以降グラフ:Nikkei 225 fut.jpサイトより転載)

いっぽうで私たちがもらうお給料のほうはどうでしょう。

下のグラフは2021年から現在までのお給料の「前年比」です。緑の線が名目値で、これは純粋に私たちがもらったお給料を、前年同月の給料で割ったものです。この緑のほうは2021年以降プラス圏で、特に2023年以降を見れば、前の年に比べて2-3%ほども増えていることがわかります。

(国内賃金の推移2021年から現在:厚労省サイトより転載)

でも問題はもらったお給料を、インフレを加味して計算するとどうなるか、つまり「実質賃金」のほうです。

実質賃金は減っている

たとえば今年のお給料が去年に比べ3%増えたとしても、この間、物価が5%値上がりしたらどうでしょう。この場合、私たちがもらったお給料の価値は5%目減りしますから、インフレを加味するとマイナス2%になってしまいます。

3%-5%=▲2%

このように物価上昇の効果を除いた値、ここではマイナス2%のことを「実質賃金」と言い、上のグラフでいえば赤線です。

このグラフからわかることは、お給料の上昇がインフレに追いついておらず、私たちの生活はむしろ苦しくなっているという構図です。

以上のような点から考えると、たしかに夕方のワイドショーは私たちの感覚を代弁しており、決して間違っていません。

特に収入や貯えの少ない家庭でこの実質賃金減少の影響は大きく、その意味で新政権が近々打ち出すであろう「給付付き税額控除」は正しい政策だと言えます。

減税をやっても生活は楽にはならない

でもこのような減税や給付は、予算の制約からたびたび行うことはできません。それでももし頻繁に行うならどうでしょう。

国の借金が増え→円に対する信認が低下し→円が売られ→輸入物価が上がり

その結果インフレはもっと進んでしまい、かえって私たちの生活は苦しくなってしまいます。

効果という観点でも減税は一時的なものにとどまり、受け取った側も数か月もすれば使い果たしてしまうに違いありません。

このようなことから給付付き減税は本質的な解決策ではないことがわかります。

では私たちの生活が楽になるための「本質的な解決策」はあるのでしょうか。

二つあると思います。

まず当たり前のことですが、一人一人が頑張ってもっと稼ぐこということです。

「そんなこと言ったって、どうやってもっと稼ぐんだ!」と叱られるかもですが、ローマは一日にして成らず、千里の道も一歩よりです。たとえわずかでも日々努力を積み上げることによってスキルは身に付くはずです、そして身に付いたスキルはいずれ収入の増加をもたらしてくれるでしょう。

二つ目は資産の運用、端的にいえば株の購入です。

物価の上昇によって企業は収益を拡大します、その結果、利益が増えるので株価は必ず上がります。

このような「インフレによって儲かる側に参加する」ことによって、実質賃金の低下という負の効果を相殺することができますし、投下する資金の量によって、さらにプラスを積み上げることができます。

インフレ時代を生きるために

そのためにまず私たちは、ながらく染みついた「デフレ思考」を捨てなくてはなりません

デフレ時代に給料は増えませんでしたが、物価の下落によって私たちは生活費を抑えることができました。その結果、さして努力をしなくても生活に困ることはなかったはずです。

またデフレ下では現金の実質価値は上がりますから、頑張って運用などという、面倒かつ危険なことをやらなくても済みました、むしろ資産の運用などしないほうが有利だったのです。

でも冒頭のグラフのように2022年以降、日本の経済は正常化しました。

言い換えれば適度なインフレ時代に入ったと言っていいでしょう、このようなインフレ下では「デフレ時代に染みついたマインド」を捨てなくてはなりません、つまり根底から発想を変えなくてはならないのです。

繰り返しになりますが、まずは毎日少しずつでもいいので自分のスキルを伸ばすこと、そして二つ目は、できるだけ現預金をもたず運用すること、インフレ時代にはこの2点が重要です。

このレポートをお読みの方は、その点は十分ご承知だと思います。でも世間一般を見渡すと、まだまだデフレマインドにどっぷり浸かった人がたくさんいらっしゃいます。

新NISAの効果もあって、最近は株を持っている人は増えてきましたが、それでも個人の株主総数は1600万人(2024年末時点)にすぎません。日本の成人人口は1億人を超えていますから、株を持っている人はまだ少数派です。家計の金融資産をみても半分程度は現預金に滞留したままです。

夕方のワイドショーで「インフレで困った問題」をとりあげるのはいいと思いますが、振り返るともう3年ほどもこのネタばかりです。

困っているだけではこの問題は解決しませんし、政府に減税を要求することも根本的な解決策ではありません。私たち一人が、やるべきことをやることでしかこの問題は解決しないと僕は思います

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