過去に書いた経済コラムよりFrom the economic column I wrote in the past
AI崩壊が金融市場に与える影響
2025年11月28日
ここ数か月のぼくの最大関心事は、「AIバブルは崩壊するか?」です。
「心配しすぎやないか?」と言われそうですが、リーマン・ショックやITバブル崩壊を経験してきた僕にとって、いまの状態は気がかりです。
現在のAI投資の規模
まずグーグル、マイクロソフト、メタなど、いわゆるハイパースケーラーと呼ばれる巨大企業によるAIサーバー投資の規模の大きさです。下のグラフは日経新聞10/30記事からの転載ですが、上記3社の設備投資額は急増中です。
(日本経済新聞2025年10月30日、朝刊記事より転載)
7-9月四半期における設備投資額は3社合わせて783億ドル、ピンとこない数字ですが、日本円で12兆円ほどです、今後の伸びを加味すると2025年通期で18兆円ほどになると思います。
AI資金の調達スキームと金融機関の収益に与える影響
はたしてこのおカネをどう調達するか・・・、おそらく自己資金で賄える部分はごくわずかで、大半は社債の発行や銀行からの融資によって調達することになるでしょう。ここで一つ気になるのは特別目的会社(SPV)や子会社などを活用し、バランスシートから債務を切り離す手法です。
下の関係図はメタの事例ですが、メタはファンドと共同で設立したSPV(赤枠)経由でAIデータセンターを設立する構図です。なにやら複雑なスキームではありますが、このような仕組みを作ることによって、メタは自ら直接債務を負うことなく、市場からAI資金を調達することができます。
(日本経済新聞2025年11月27日、朝刊記事より転載)
つまり債務をバランスシートから隔離することができるのです。これはもちろん合法ですし、以前から使われてきた仕組みではあります。でも、もしAI投資が過剰なものであり、「データセンター事業会社」が想定した収益を得られなければどうでしょう。
メタはSPVに対する出資分を失いますし、SPVに対して出資者が行った金融機関は融資が回収ができなくなります。この融資には日米の大手銀行などが参画しており、この点で一抹の不安があります。
他社の情報を今のところ僕は持っていませんが、現在の設備投資の規模を考えると、同様のスキームで市場から資金を調達していると思います。このような状況でAIへの投資過剰が明確になれば、テック業界だけでなく金融界まで巻き込んだ動揺が起きかねません。
来年あたりのAI投資の金額は、おそらく上の3社計で30兆円前後ですから、まるまるこの金額が回収不能になればやっかいです。たとえばリーマン・ショック時のアメリカの金融機関が負った不良債権の合計は、概算で1兆ドル(当時のレートで100兆円)とみられます。それと比べると軽微ではありますが、最悪の場合、アメリカの金融機関や日本の銀行の収益に一定の悪影響は避けられそうもありません。
それを踏まえ、いまの選択は
でも今の段階で目先AIバブルが崩壊すると僕は思いません。本レポート冒頭のように今月は日米でAI株は10%以上の調整がありました、多くの投資家が僕と同じような懸念を持っており、その意味では健全な調整が行われたと考えておくべきでしょう。
市場のなかにこのような警戒感が漂っている限り、AI株のバブル的な急騰はないと思いますし、その後の崩壊もないと思います。
でも、例えば今年の中ばあたりに比べるとAI株の水準が高いのは間違いありません。
(SOX指数1年間推移、MSNサイトより転載)
さらに申し上げれば、僕自身も含め本レポートをお読みの皆さんの多くは、この1年のAI株の上昇から、すでに十分な利益を得られたはずです。
上記の様にバブル崩壊の可能性は低いものの、むこう1年でさらに関連株が2倍になるかといえば、それは難しいと思います、もし1年先に2倍になるようなことがあれば、それこそバブル崩壊まで秒読みです。
「乗るのも早め、降りるのも早め」を心がけたいと思います。しかも市場を見渡せば、この1年のAI株上昇にかくれ、割安感が目立つセクターがたくさんあります。
いま僕が注目している領域は、建設、ゲーム、造船の3セクターです。できるだけAIから距離が離れたセクターを選びましたし、日本のインフレによって業績が上がりやすい業種、あるいは長期的に見て日本が競争力を維持・拡大できる業種を選びました。
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