過去に書いた経済コラムよりFrom the economic column I wrote in the past
AI半導体バブルはなぜはじけるか
2026年6月30日
いままで何度もお話ししてきましたが、AIはいっときのブームではなく、社会の仕組みを変える大きな革新をもたらすと僕は思います。
でもこの速度でAI化が進むとは考えておらず、近々AI半導体株バブルも崩壊すると思います。
つまり今は、
AIデータセンター投資が加速しすぎ⇒先端半導体の販売が増えすぎ、価格が高くなりすぎ⇒汎用半導体の供給不足、価格が高くなりすぎ⇒関連株の過熱
という異常現象のさなかにあると思います。
その証左はいくつかあるのですが、一つはハイパースケーラーによるAIデータセンターへの投資額です。下のグラフはアメリカのハイパースケーラー5社(マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタ、オラクル)によるデータセンター投資額の推移です。
(ハイパースケーラー5社によるAIデータセンター投資額:Chat GPTで筆者作成)
ご覧のように今年(2026年)は予想ベースで約80兆円、来年の予想は120兆円を超えで、よく言われるようにこれは日本の国家予算を超えています。
金額の大きさもすごいですが、この金額が各社にとってどの程度の負担になっているかも大切な視点です。それを感覚的に知るには、営業キャッシュフローとの対比が有効です。
下のグラフは同じく5社の設備投資額の合計を、営業キャッシュフロー5社計で割った値です。
(ハイパースケーラー5社によるAIデータセンター投資額を5社の営業キャッシュフロー合計で割った値:Chat GPTで筆者作成)
営業キャッシュフローをおおざっぱに言えば、その年にその会社が本業で稼いだおカネです。上のグラフを見るとわかるように、この値はどんどんと上がってきており、今年(2026年)あたりには100%あたりに達っする見込みです、これはどういうことかといえば、本業で稼いだおカネのすべてデータセンターにつぎ込むということです。
このようにハイパースケーラーによるデータセンター投資はどんどん増えており、すでに従来ビジネスからの収益を食いつぶしつつあることがわかります。その不足分は社債の発行によって外部からの調達で進めているのですが、その金額は5社合計で2025年に約19兆円、2026年には22兆円から28兆円に達する見通しです。
冷静に考えると、この状況はちょっとヘンです。
確かにAIは急速に普及しつつありますが、データセンターへの投資をここまで急速に増やしてしまっていいのでしょうか。
果たして本当にAIはペイするのか・・・、この点に関してハイパースケーラー側は相変わらず超強気ですが、一方でAIを使う側の疑念は少しずつ高まってきているように思います。
実際に利用する法人は投資による効果をシビアに見るようになりましたし、高価なAIモデルの使用量を管理する傾向も見えます。つまり利用者側は「まずAIを導入する」という段階から、「AIが本当に効果を生んでいるか」を重視し始めたと言えるでしょう。
このような利用者側の変容を受け、もしハイパースケーラー側がデータセンター投資を見直すようなことがあれば、いったいどうなるのでしょう。
その場合、
たとえばキオクシアのような半導体メーカーから、アドバンテストのような半導体検査装置メーカー、データセンターむけに光ファイバーケーブルを作るフジクラ、半導体製造装置を作る東京エレクトロン、メックやとりケミカル研究所のような半導体向け薬品メーカーまで、巨大な半導体ピラミッドは一気に崩壊し、関連株から我先におカネが逃げることになるでしょう。
僕はその時がAI半導体株バブル崩壊の起点になると思います。
問題はバブルが崩壊するか否かではなく、その崩壊が突然にして激しくやってくるか、それともゆっくりと訪れるかという点ではないでしょうか。
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