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From the economic column I wrote in the past

独創性を発揮できる日本を目指して

2021年7月31日

僕が新卒で会社にはいりたての頃、
日本はガチガチの国でした。

親の世代は入社から定年退職までたった一つの会社で働きましたし、
その親世代に倣い、僕たちも「一生この会社で働くんだ」という気持ちで就職しました。

いい会社に入れるように受験勉強をし、決められた問題を決められた方法で解き、
そしていったん会社に入れば、言われるままに仕事をし、
いわれるままに転勤をし、
そして定年退職をむかえ、退職後は年金で暮らしてゆく。

今振り返るとこんな型にはまった社会だったように思います。

いったいいつからでしょうか、
自分の意志で仕事を選んだり、つくったりせず、
誰かが作った会社のなかで、決めごと通りに仕事をするようになったのは。

僕はそのむかしソニーに勤めていたことがあったのですが、
ソニーには設立趣意書というのがあって、そこには以下のように書かれていました。

「真面目なる技術者の技能を最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設(原文ママ)」を、会社設立の最大の目的にする。

実際に創立者の井深さんと盛田さん(ソニーでは社長もヒラもみな“さん付け”で呼びあいます)には、この趣意書そのものの自由で闊達な雰囲気があり、創業当初の社員もまた、このような意識を共有していたそうです、ぼくがソニーを辞めたのは17年前ですが、まだ創業当初の雰囲気は少しだけ残っていました。

あとこれは自分の体験ではないのですが、ホンダにも同様の社風があったそうで、ルールに縛られず、技術者が現場でワイワイガヤガヤいいながら車を作っていたと聞きます。

でもどうやらソニーやホンダは数少ない例外で、今の日本の会社は型にはまったガチガチの日本人を、大量につくってしまったのではないでしょうか。

そんな社会では自分自身の頭で考え行動する必要はさほどなく、ただただ周りの人間と同じように行動し、親や先生などの指示に従って生きてゆけば、そこそこの収入を得ることができましたし、安定した収入をベースにまずまずの楽しい人生が送れました。

その行き着く先が今の日本です、魅力的な製品を作れなくなりましたし、競争力も下がりました、商品の競争力がないから利益が取れず、もう20年も給料が上がらない・・・、これは経済のスパイラル的な縮小で、いまの日本の病根だといってよいでしょう。
ではなぜ私たち日本人の先達は、ホンダや松下、シャープなど優れた会社を作ることができたのでしょう、僕は戦後のドサクサ何でもアリの社会で、この国のひと一人一人が多様な独創性を発揮できる環境が、当時あったからではないかと思います。
逆に言えば日本の会社がかつてのような輝きを失ったのは、社会がこじんまりと均一化してしまい、僕たちの世代の人間が多様性や独創性を失ってしまったからではないかと思います。
でも最近の日本を観ていますと、多様性を許容する社会に変化しつつあるように思います、
あいかわらず新卒の人気就職先は大企業が多いようですが、すでに上位から官公庁は姿を消しましたし、外資系のコンサルティングファームもいくつか出ています。

転職が普通になりましたし、ベンチャービジネスを立ち上げる若者も増えてきたように思います、例を挙げればメルカリやユーグレナ、燈(あかり)などです。徐々にではありますが型にはまらず自分自身の頭で考え、独創的なサービスや製品で社会の役に立ちたいと考える若者が増えてきたのではないでしょうか。

「決められたレールに乗っていてもロクなところにたどり着かないなら、自分自身で道を切り開こう」、たぶんこんな風に考えているのではないかと思いますし、その考えは健全だと思います。

このような若者が増えてくるよう、僕にできることがあれば応援してゆきたいと思いますし、自分の子供たちにも同様の態度で接してゆきたいと思います。

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