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From the economic column I wrote in the past

隣の芝生はあおい

2021年10月30日

隣の芝生はあおい。
昔の人はうまく言ったものだと思います、僕の日々の生活のなかでも、隣の芝生があおく見えることはよくあります。近所の家をみていて「あんなきれいな家に住めるといいな」と思うこともしょっちゅうですし、街を歩く家族を見て「幸せそうでいいな」と感じることもあります、人間には108つも煩悩があるそうなので、まあそれも心の迷いなのでしょう。でもやっぱり隣の芝生はあおく見えてしまいます。

投資の世界でも、隣の芝生があおくみえることはよくあります。

例えば「僕がアメリカ人だったらもっとうまく稼げたのに」などとよく考えてしまいます、グーグルやアップル、アマゾンなど、アメリカにはここ数年で何倍にも株価が上がった銘柄がたくさんあります。もちろんアメリカ株だって日本にいながらクリック一つで買えるこのご時世です、しっかりと意識を持ってアメリカの会社を研究しておけば、日本人だからといって情報が取れないわけではありません、ネット証券のサイトを見れば、ごく簡単ながらもアメリカ企業の業績推移をチェックできますし、東洋経済が出している『米国会社四季報』だってあります、その気になって頑張れば個別企業のIRサイトで、財務諸表やアニュアルレポート(注)を閲覧することだってできます。

注)アニュアルレポート:アメリカの会社が投資家向け作成する決算報告書、そういえば三洋時代、僕は外国人向けアニュアルレポートを作っていました。

でも僕が欲しいのは、そのようにどこでも、誰でも手に入る財務諸表や報告書のたぐいではありません。アメリカに限らずどの国でもそうですが、株式投資は先を予想するゲームです、株で勝つためには最低でも1年先、できれば3年単位で会社の業績をイメージし、なおかつそれを当てなければなりません。会社が開示する資料は開示の瞬間に過去のものになり、すでに株式投資の材料ではなくなります、もちろん過去の数字から1年後、3年後をイメージするという意味では有用なのですが、それらは必要ではあっても、最低限の材料に過ぎません。

僕はいままで日本株で成果を上げてきたと思っていますが、その成功はどこから得られたのか、自分自身でときどき考えることがあります。もちろん一般の方が閲覧できる開示資料は必須ですが、それだけに依存していたのでは予想ゲームに勝つことはできません、大切なのは「他人より先に動き、予想が現実になったところで降りる」ことだと僕は思っています、そして「他人より先に動く」ためには、できるだけ広い範囲から情報を集める必要があると思います、今ならコロナ終息の時期見通し、コロナ後の正常化社会に求められるインフラや技術、EV化の時間軸、EVに必要な電子部品と有力技術を持つメーカー、などなど・・・、こんなお決まりの材料は言うまでもないのですが、過去を振り返ると、存外と日々の生活の中で得た情報が、まるでカラーストーンの原石のように価値があったことも稀ではありませんでした。

例えばテレビのコマーシャルです、ある会社のコマーシャルが増えてきたなら、その会社のトップが今後の業績拡大に自信を持っている証しです、もちろん一か八かでやってしまったり、空回りに終わったりする場合もありますが、少なくともチェックはしておくべきだと思います、経済番組のトップニンタビューも要注目です、ふとした表情や言い回しのなかに本音は現れます。現場で働く従業員からのナマ情報に、重要なヒントがあることもあります、僕は仕事柄、よくお客さんと経済のお話しをしますが、実はそのような交流を通して、投資対象を見つけることも珍しくはありません、もちろん限られた従業員のみが知り得る情報の違法取得は許されませんが、その会社の社風や方向性などは、そんな非公式な接点から得られることもよくあるのです。

少し話が長くなってしまいましたが、上記のように株で勝つためには、開示された情報より、むしろそれ以外の雑多な情報のほうが有益な場合が多いと僕は思います。

そのような視点でアメリカはじめ海外の会社を見るとどうでしょう、こんな時代なので開示された公式な情報にほとんど不足はないと思います。でもそれ以外の雑多な情報という点ではどうでしょう、やはりアメリカ株ならアメリカ、ヨーロッパの株ならヨーロッパというように、現地で生活していたほうがよほどたくさんの情報が採れるはずです。

先ほど申しましたように株で勝つためには他人より先に動かなくてはなりません、そのような視点で見れば、私たちのアメリカ株やヨーロッパの個別株投資は、スタート時点でかなり不利な状況にあるといえるのではないでしょうか。

一方で昨今、日本の成長性の鈍化がよく話題にのぼります、以前に比べ稼げる日本企業が少なくなったのは間違いないでしょう、でも私たちはインデックス投資しかできないわけではありません、個別銘柄というミクロのレベルでいれば、これからまだまだ成長できる有望な会社は日本にもたくさんあります。

そのような会社の中から選別し、他人より先に動くことによって利益を得ることは、これからも十分可能だと僕は思います。隣の芝生はあおくみえるものです。

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