過去に書いた経済コラムよりFrom the economic column I wrote in the past
1ドル=150円の次を考える
2022年10月30日
あいかわらずウクライナ情勢は商品相場の上昇要因ではありますが、いま世界は「ロシア発のインフレ⇒インフレ退治のため各国中央銀行による利上げ⇒世界的な景気減速⇒商品相場の下落⇒インフレ抑制」というサイクルの中にあるといっていいでしょう、つまりは「商品相場の上昇は利上げによって中和されている」ということです。その点で世界の金融政策はちゃんと機能しているとも言えますが、その副作用として、世界は景気減速(または後退)に追い込まれたともいえるでしょう。今起きているインフレがすべてロシアのせいだとは言いませんが、少なくともその何割かはロシアに原因があるのは間違いありません、その点でもロシアは世界から非難されるべきではないでしょうか。
あと今回はドル円レートについて少し書かせていただきます、以下は直近一年間のドル円レートです、皆さんも為替についてはよくご存じだと思いますが、足元では少し円高に戻し、現在(10/31)で1ドル=148ドル台の前半です。先々週は一時1ドル=151円台後半がありましたので、そこから見れば少し円高方向ではあります。が、それでも歴史的な円安水準にあることに変わりありません。
そもそも僕は短期の相場を読む能力はありませんので、その前提でお聞きください。
僕は目先、円高に振れると思います。利上げの効果には遅効性がありますから、アメリカ経済の減速はこれからが本番だと思います。
「アメリカの景気減速⇒インフレ率の低下⇒FRBによる利上げペースの鈍化⇒日米金利差の拡大傾向に頭打ち感⇒円の買い戻し」、このような流れから短期的にはある程度、円は買い戻されると思います、次の円高がどの程度まで進むのか、たとえば年初の115円なのか、それとも130円ほどなのか、それとも意外に戻しは浅く、せいぜい140円ほどなのか・・・、そこはFRBの利上げの幅とタイミング次第です、たった一人のボードメンバーの意見がFRBの意思決定に影響することだってあります、つまりそのあたりはカオスの世界で、特定の水準や時期を「決め打ち」することは危険です。根拠もなく・・、そもそもムリなものを言い当てようとし、その自分で作り上げたストーリーに乗っかって相場を張るのは危険だと思うのです。せいぜい短期的には円がいったん買い戻されるだろう程度の、おおざっぱな見通しにとどめるべきだと僕は思います。そして場面によって臨機応変に対処する、これが重要ではないでしょうか。以上、少し余談でした。
ただしこれは例えば数ケ月といった短期のお話しです、依然として日本の成長回復への期待は持てず、この構造要因があるかぎり長い目でみて円が売られやすい状況は解消しないと思います。想定通り短期的に円が買い戻される場面が来れば、外貨の買い場として活用したいと思います、あくまで臨機応変に・・・。
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