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From the economic column I wrote in the past

ヘンな理屈に惑わされないように

2022年11月30日

今回は相場について僕がふだんから考えていることを少しお話ししたいと思います。

もしかしたら皆さんは相場というものが「まともで見識のある人たち」よって形成されているとお考えかもしれませんが、僕はそうは思いません。

たとえばここ1年ほどのNasdaq株価指数です、この点についてはメルマガなどでさらっとお話ししたことがありますが、顕著な例なので繰り返させていただきます。

この1年間のハイテク株下落の最大の理由はアメリカの利上げにあるとよく言われてきました、経済番組や経済誌などみていると、日米問わず「金利が上がるからハイテク株は売られる」などともっともらしく解説されたものです。なんでも債券投資からもらえる利息が増えますと、それとの対比でハイテク株のような高成長株のから得られる儲け、言い換えれば「向こう何十年もの間に受け取る配当の合計」の魅力が低下するからだそうです。

果たしてそうでしょうか。

そもそもハイテク株のような高成長株を、私たちは配当目当てに買っているでしょうか、僕はそうは思いません、むしろこのロジックが当てはまるのはハイテク株のようなは高成長株ではなく、コカコーラやP&Gといった高配当株のはずです。もともと成長性の高いハイテク株は配当に重きを置かず、将来の事業拡大に向け設備投資や研究開発、場合によってはM&Aなどにおカネを投じる傾向にあります。

さらに比較対象である債券をみても、米国30年債の利回りは、せいぜい4%ほどに過ぎません、これに対して例えばPER60倍のハイテク株はどうでしょう、私たちがPER60倍の株を買うのは、教科書的に言えば向こう60年分の配当を先取りして投資しているこということですが、通常そこまで気の長い投資家はいません、つまりこの企業が生み出す利益が、短期の間に爆発的に増えるという見立てのもとに投資しているわけで、さきほどの債券の金利とは思考の時間軸が違うのです。

もちろん昨年来のハイレク株の下落要因は利上げだけではありません、半導体サイクルや景気低迷見通しも影響しているでしょう、それでもFRBが利上げ見通しを上げるたび、ハイテク株が大きく下げた経緯をみると、利上げがハイテク株安の大きな要因だったことは間違いありません。

少し話が長くなってしまいましたが、つまり本来は高成長株の株価は金利の影響をさほど受けないということです、にもかかわらずいったん市場でこのようなロジック、つまり「金利が上がると高PER株は売られる」という意味不明なロジックが形成されると、実際そのとおり相場は動いてしまうのです。

これが冒頭の『相場というものが「まともで見識のある人たち」よって形成されているとお考えかもしれませんが、僕はそうは思いません。』の意味です。

まあ一種の群集心理のようなもので、それなりに見識があるとみられている人たちの意見によって相場は動かされるということです、そして市場では、いつもこのような「まともだと考えられている」アナリストの集団によって新説が唱えられ、次のはやりものトレンドが形成されるのです。

(Nasdaq株式指数、過去2年間推移:楽天証券サイトより転載)

このような意味不明の理屈にたいして、私たちは距離をおいて付き合う必要があると僕は思います。

相場は大衆の心理によって動くものです、いつも正しいとは限りません。

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