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From the economic column I wrote in the past

私たちはAIと共存できるか

2023年7月31日

昨年の末以来、すっかりAIブームですね。僕も少し使ってみましたが、思いのほか自然な文章を返してくれたのでちょっとビックリしました、少し前の翻訳ソフトなどと比べると格段の進歩です。

こんな新しい技術が出てくると、それをどう消化したらいいのか、私たちはいつも混乱してしまうようですね、思い出すのは1990年あたり使われ始めた電子メールです。仕事でどうやって使ったらいいのか、私たちはイマイチわからず、なかには「メールを送信しただけで相手に伝わったと思うな」「やっぱり対面が大切だ」「いつもメールを見ておかなければならないのか」などと、頭ごなしにメールを否定する(当時の)おじさんたちがいたものです、また取引先に間違って内輪の事情を送信して大変なことが起きたり、マル秘メールを一斉配信してクビになりかけたり・・・、いろんな修羅場も見てきました。

あれから30年以上経ちましたが、すっかり私たちはメールに適応し、仕事でも私生活でもメールは必要不可欠なものになりました、今更メールがない世界へなど戻れません。

振り返れば私たちは何年も前からさんざんAIの有用性は耳にしてきました、AIで生成された囲碁やチェスのプログラムが名人を負かしたり、AIが司法試験に合格するレベルに達したり、さまざまなニュースでAIの進歩は聞いていましたが、どちらかといえば遠い世界の出来事で、私たちの生活に入り込んでくるのはまだまだ先だと思っていました。

それが昨年のChat GPTの登場で、私たちにも使える世界がやってきたわけで、こうなると真剣にAIに向き合わないわけにはゆきません。

私たちはAI化に適応できるのか

ちょっと怖いお話ですが、ここのところ僕はときどき考えます。

例えば日本や韓国などで少子化が進んでいますが、もしかしたらこれは人間がこれからやってくる未来に備えているからではないでしょうか。

やがて肉体を使う仕事の多くはロボットが代替し、多くの頭を使う仕事がAIによって代替されるのは間違いないと思います、そんな近未来・・20年後かもしれませんし、50年後かもしれません。「そんな先まで予見し、私たちが少子化を選択しつつあるというのか?」という反対の意見もあるでしょうが、人間の人生は80年以上もあります、少なくともその半分の40年先を見越し、私たちは無意識のうちにロボット化社会、AI化社会に適応するため、少子化を選択しつつある可能性は無いでしょうか?

もし私たちの代わりにロボットやAIが仕事をすればどうなるでしょう。

例えば新聞配達や道路工事、宅配便やレストランの給仕など、単純な肉体労働の大半はロボットがやるようになるはずです、またよく言われるように経理や特許、法務などの仕事の大半はAIで代替できそうですし、役所の窓口対応やデータ処理なども同様のはずです、もしかしたら僕の仕事だってAIで十分なのかもしれません。

かりにそんな世界がやってくるとどうでしょう。

仕事が残るのは人間ができてAIやロボットにできない仕事だけ、つき詰めていえばそれは独創性が求められる専門的な仕事だけではないでしょうか、会社の部署でいえば営業のように対人の交渉力が要求される仕事、センスや戦略性が求められる広報や商品企画、販売企画など、あと研究開発や試作など大半の技術部門は残るかもしれません。

一方で逆に増えそうなのは、AIやロボットが適切に開発され、機能するように管理する仕事です、すでにAIによって流布される不正な情報や偽情報が問題になっていますが、このようなAIの管理には、多くの人材が必要になるのではないでしょうか

でもここで心配事が一つ出てきます。

AIやロボットに代替されてしまった人たちは、どうやって生きてゆけばいいのでしょう。

有力な選択肢は「ベーシック・インカム」の導入だと思います、ベーシック・インカムは政府がすべての国民に一律で一定のおカネを支給し続けるという考え方で、かつて日本でも野党が提唱したことがありました。

AIやロボットによって排除されてしまった労働者は、個々の能力や努力の不足という次元ではなくいわば時代の犠牲者です。いっぽうでAIやロボットはいったん導入してしまえば、給料を支払う必要がなく、それだけ企業の利益は増え続け政府も税収が増えます。増えた税収を原資にベーシック・インカムを導入してもいいですし、住民税のように政府がAIやロボットに直接課税し、そこから得られる税収をベーシック・インカムの原資にしてもいいかもしれません。

このようにして起きるAI化とロボット化による産業構造の変化、
そして人間がそんな社会の構造に適応しつつ起きるさらなる少子化、
さらにそんな社会構造の変化に対応して起きる税制の修正と富の再分配機能の強化、

こんな変化が向こう20年、50年といった時間軸で起き、
案外と私たちはAI化・ロボ化に適応した社会を、うまく築いてゆくことになるのではないでしょうか。

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