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From the economic column I wrote in the past

2023年を振り返って

2023年11月30日

早いもので2023年も終わりに近づいています。

なんでも、歳を取ると時間の流れが速く感じるのは、未知の体験が少なくなってゆくからだそうです。確かにそれはあるかもしれません、そういえばコロナの年(2020年)は未体験の出来事が多く、一年たつのが遅かったような気もします。今年などはその逆で、冒頭のように「早いもので」となりました。

この「早いもので」の季節になりますと、やはり今年一年を振り返らないわけにはいきません、今回は思いつくまま今年の出来事を振り返ってみたいと思います。

①株式

今年のトピックは半導体関連株の上昇でした。

でも半導体の需要が好調だったかといえばその逆で、今年一年を通し市場の低迷は続きました。年初あたりでは半導体の実需は3月がボトムなどと言われていたものですが、底入れは逃げ水のようにずれていきましたし、年末になってようやっと底入れが見えてきた程度にすぎません。

一方で半導体関連株はその逃げ水をけなげに織り込み続け、年明けから値上がりしてきました。

このあたりが相場の面白いところで、市場は常に先を見て動きます。半導体株は9月から10月にかけ「逃げ水による中だるみ」はあったものの、まあ一年を通してみればかなりの上昇です。以下SOX指数(注)をご参照ください。

注)SOX指数はアメリカの主要な半導体関連株30社の値動きを指数化したもので、これをみておくと世界の半導体株の値動きがつかめます。

(SOX指数、1年間のマイクロソフト社サイトより転載)

年初当たりSOX指数は2500ほどでしたが、足元では3700を超えています、つまりアメリカの半導体関連株は、平均で5割ほども値上がりしたことになります。特に目立ったのは生成AI向け高性能半導体を作っているエヌビディアです、同社は生成AI向けの半導体(GPU)で世界シェア80%を持っている会社ですが、ご覧のように年初来3.2倍ほどになっています。実績のうら付けもしっかりしており、直近の四半期(8-10月)の最終利益は前年同期に比べ約14倍でした。

(エヌビディア株の推移、1年間、マイクロソフト社サイトより転載)

日本の半導体株も随分と値上がりしました、日本は半導体の最終製品は弱いですが、製造装置や検査装置、半導体の材料や薬品など、ニッチ・トップの会社がたくさんあります。半導体関連株に投資された方にとって素晴らしい一年になったのではないでしょうか。

債券と為替

一方でアメリカの金利は想定外でした。昨年の年初から進めた3倍速利上げの効果が出て、アメリカの消費者物価指数は年初の6.4%→6月の3.0%(黄色矢印)まで下がってきました。が、原油相場の再上昇などもあり、そこから再上昇、8月/9月にかけ3.7%(赤矢印)まで上がりました。この時期FRBは利上げ継続の姿勢を強めましたので、長期金利もそれに反応して上昇した格好になりました。

(アメリカの消費者物価上昇率の推移、1年間、Trading Economics社サイトより転載)

(アメリカの10年債利回りの推移、1年間、楽天証券サイトより転載)

足元でアメリカの消費者物価は再び下げ基調になっており、これは来年の長期金利だけではなく、株価(特に半導体株)や為替相場にも大きな影響を与えるでしょう、来年の相場については本レポート後半でお話ししますが、少しだけエッセンスを書かせていただきます。

アメリカの金利低下

アメリカの金利低下はハイテク株、特に半導体株の上昇要因です。来年の年初には半導体株はサイクルの底入れが明確になり、半導体株はダブルの効果で上昇期に入ると思います。

ドル円レート

すでにアメリカは利上げを打ち止めしたとみられていますが、来年は月を追うごとに逆に利下げ期待が高まると思います。一方で日本はといいますと、アメリカとは逆にゼロ金利解除(=つまり利上げです)が視野に入ってくるはずです、つまりアメリカは利下げ、日本は利上げです。

その結果、両国の金利差は縮小し、円買いの圧力が高まるでしょう。

ただし昔のように1ドル=110円はないと思います、あの時代に比べ日本の経済的な地位はさらに下がっており、いまの円に110円の実力はないと思います。せいぜい1ドル=130円台ではないでしょうか。

アメリカの長期金利

これからアメリカの長期債への投資をお考えの方にとっては、あまり良いお話ではありませんが、上記のような理由で僕は、アメリカの長期金利は先月の5%乗せでピークを付けたと思います。債券価格は徐々に上がってゆくでしょう。

2022年以降の急速利上げの効果が出始め、アメリカのインフレ率は来年もう少し下がるでしょう。市場はFRBの利下げを徐々に織り込み、月を追うごとに長期金利の下げ圧力が強まってくると思います。予想の中央値は3.2%で、そこから±0.5%を見ておきたいと思います。

コインや金(Gold)など実物資産

冒頭コラムのように、今年は世界的に金利の上昇が進むなか、金価格は逆境にめげず上昇してきました。その二つの理由についても冒頭コラムで書きましたが、おカネの退避先になっているのは金だけではありません、宝石やウイスキー、美術品、もちろんアンティーク・コインも今年は値を上げました。

でもコインに関して申し上げますと、今年は中国コインの値下がりが目を引きました、理由は二つあると僕は思います。一つ目はここ3年間にわたる急上昇の反動です、なにしろ中国コインの値上がりは急すぎました、例えば僕がよくお話しする「自動車ダラー」などは、ここ3年だけで5倍ほどに値を上げた印象です。二つ目の理由は中国経済の失速です、特に不動産価格の下落は顕著で、コインへの投資を行ってきた富裕層も、さすがに少し元気がないようです。昨年から僕は中国コインの売却を皆さんにお勧めしてきましたが、手前みそながらその見立ては正しかったと思います。

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