過去に書いた経済コラムよりFrom the economic column I wrote in the past
エヌビディア、売り推奨の理由
2024年5月31日
以下はナスダック総合株価指数10年間の推移です。
(ナスダック株価指数10年間の推移、楽天証券サイトより転載)
ナスダック総合指数はエヌビディアやアップル、マイクロソフトなどハイテク銘柄中心に構成されており、多くの半導体関連株も含まれています、その意味では半導体サイクルの影響を受けやすい指数といっていいでしょう。足元の水準(赤矢印)は17,000を超えてきました、一方で前回のピーク(黄色矢印)は半導体株のピークと重なっており、当時の水準は16,000前後でした。
先日のエヌビディアの決算発表以降、同社の株価は再び急騰モードに入りましたが、同社株の上昇はナスダック指数の上昇に大きく寄与しています、以下エヌビディアの株価をご参照ください。
(エヌビディア株10年間の推移、楽天証券サイトより転載)
このグラフを見ると同社株は2022年7月前後を底にして、急騰している様子がよくわかりますが、振り返ると同社株が底をうった2022年の半ば(青色矢印)の半導体市況は最悪でした、当時の市況は以下の日本経済新聞(2022年5月27日)記事がよく表しています。
『世界の半導体大手の業績で先行きの不透明感が強まっている。米エヌビディアは25日、2022年5~7月期の売上高が前年同期比22~27%増の79億3800万ドル~82億6200万ドル(約1兆円)になる見通しだと発表した。市場予想を下回った。他の大手も中国のロックダウンやウクライナ侵攻などの悪影響を警戒する。(中略)ここにきて先行きへの警戒感が高まっている。(中略)TSMCのCEOは4月中旬の決算で「スマホやPC、タブレットなど最終市場は少し軟調に推移している」と話した。各社の株価は昨年(2021年末)比で1~4割安と大きく調整している。半導体のすそ野は広がっており、過去のような大幅な市況悪化は起こりにくいとの見方もある。ただ急速なインフレ進展や金融引き締めによる景気減速への警戒は根強い。市場では「悪材料が出尽くしたようには見なしづらい」との声もある。
上の記事はわずか2年前のものですが、同社を取り巻く環境は今とは随分と違います。ではエヌビディアの業績はその後、どのように推移したのでしょう。
以下グラフは2021年2-4四半期以降の同社の業績で、四半期ごとの売り上げ(緑の棒)と、利益(黒い棒)を示したものです、上のグラフで同社の株価をみると、そのボトムは2022年の後半(青い矢印)で、おおむね同社の株価と業績はリンクしていることがわかります。
その後の同社株の推移をみても同様で、現在(2024年5月)に至るまで、ほぼ業績拡大にリンクして株価が上がっていることがわかります。
(エヌビディア四半期業績推移、日本経済新聞サイトより転載)
さて、問題はここからです。
いまのところ同社の業績に一点の陰りも見えませんし、先行きをみても強力な新製品の投入が予定されており、その点でも期待を集めています。
注)今年3月に発表されたGB200で、推論の速度が現行品の30倍になるそうです。
つまり足元の業績も好調で、今後の見通しも明るいということです。まあ株価が2年で7倍以上になるためには、このように「明るいことずくめ」でなくてはなりません。
でも逆に僕はそこに不安を感じています。今はAIブームでAI半導体の奪い合いですが、ブームはいつか去りますし、もしかしたら品不足に対応するための過剰発注もすでに起きているかもしれません。TSMCに作ってもらっているAI半導体も、いずれ同社の供給体制が整い、エヌビディアはタイムリーに製品を市場に供給できるようになるでしょう。
そんな製品の過剰感が、むこう一年の間に来るとは思えませんが、市場はいつも先を見て動きます、特にこれほど注目されている会社の業績には厳しい目が注がれることになるでしょう。目先の同社の好調な業績から考えて、株価はさらに上昇すると思いますが、上がれば上がるほど、その先の下落の速度も早まります。上のグラフのように、エヌビディア株は2021年末から2022年半ばにかけ1/3ほどまで下がりました。
この懸念に関しては、上の日本経済新聞の記事や、同時期の同社株の動きが参考になると思います。投資助言契約をお結びの契約者様に対し、僕は先日エヌビディア株のウリをお願いしましたが、今回あらためてその理由を説明させていただきました。
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