過去に書いた経済コラムよりFrom the economic column I wrote in the past
実物資産相場の見通し
2024年10月11日
ここ数か月、金(Gold)や銀(Silver)の価格は上がっています。
金は1オンス=2600ドル台ですし、
銀も30ドル台に乗せています。
金・銀だけではありません、
僕が好きなアンティーク・コインも値を上げていますし、
不動産や美術品、宝石やウィスキー、あとヴィンテージ時計など、
実物資産は幅広く値を上げています。
この実物資産相場の上昇は、
いくつかの理由があると思います。
まず一つの考え方として、
『いま起きている相場の上昇は、
実物資産の価値が上がっているのではなく、
ドルをはじめとした通貨の価値が下がっているにすぎない』
こんな見方は成り立つと思います。
たとえば金1オンス=2600ドルといっても、
それは金とドルの交換レートを示しているにすぎません。
たとえ金の絶対的な価値が不変でも、
ドルの価値が下がればドル建ての金価格は上がります。
でもそれだけではないと思います。
実物資産の相場上昇の理由としてもう一点あげておきたいのは、
世界的にみられる貧富の格差拡大です。
少し前のデータですみませんが、世界の上位10%が保有する資産は、
世界全体の資産価値の75%を占めている(注)そうです。
注)2021年時点データ、フランスの「世界不平等研究所」しらべ
なんとも不公平なお話ですが、
良い悪いは別にこれが現実です。
そして一般に富裕層は金融リテラシーが高いですから、
資産の分散に高い関心を示します。
また富裕層は生活の余裕から、
美術品やし好品を好む傾向にあるようです。
その結果、少数の富裕層に吸い寄せられたおカネは、
彼らを通して実物資産へ流れ込んでいるのだと僕は思います。
このように、
おカネが実物資産へ流れる理由を考えると、
今後の実物資産の値動きを想像することはできます。
アメリカの財政規律は悪化の一途で、
公的な債務残高はすでにGDPの120%を超えています。
この数字は日本の約250%に比べると少ないですが、
それでも第二次世界大戦直後の水準に近づいています。
世界全体をみても同様で、
世界政府債務残高は92兆ドル(約1.3京円/注)まで膨らみました、
2001年時点では20兆ドルほどでしたので、
すごいスピードで増えていることがわかります。
注)IMFが2024年9月25日に発表した数字
今後、このような公的債務の増加が止まるとは思えません、
アメリカや日本だけでなく、世界はますます貨幣の増刷によって、
財政を膨らまそうするでしょう。
これがポピュリズムというやつです。
その結果、政府が発行する貨幣の価値は、
ますます薄まることになるはずです。
貧富の格差も進むと思います。
富裕層は保有資産を賢く活用し、
より多くの収益を得ることができるでしょう。
いわば富が富を生むという現象で、
必然的にその一部は現物資産に流れ込むはずです。
以上の理由から僕は、
目先のどこかで実物資産の相場上昇が止まるとは思いません。
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