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From the economic column I wrote in the past

金はどこまで上がるのか

2024年10月23日

足元で金(Gold)の価格が上がりつつあります、
たしか僕は先月このメルマガで『気が付けば2550ドル』
というタイトルでコラムを書きました。

あれから2か月経っていませんが、
今の相場は1オンス=2750ドルです。

しかも世界経済を見渡すと、
金が買われる理由はいくつもあります。

まずは主要国の財政赤字の拡大です、
この点に関しては前回のメルマガで紹介しましたが、
財政の赤字拡大⇒通貨に対する信頼性の低下⇒実物資産のカイ、
という流れで金が買われているのだと思います。

いま金が買われている二つ目の理由は、
いわゆる地政学的リスクの拡大です。

ロシアによるウクライナ侵略から2年が経ちました、
欧米や日本が経済制裁を加えるのは当然だと思いますが、
制裁を受けたロシアからすれば対策をとらざるをえないでしょう。

中央銀行が保有する資産の一部をドルから金へ移すのは、
彼らにとっては自衛のための手段です。

ロシアだけではありません、
中国やインド、トルコ、中央アジア諸国などの中央銀行は、
同じ理由でドルから金へシフトし続けているのでしょう。

金が買われている三つ目の理由は、
これも前回申し上げたように世界的に進む格差拡大です。

世界の富裕層は資産の質的分散の観点から、
株や債券などペーパーアセット以外の資産に、
おカネを移しつつあるようです。

このように今の世界を見ると、
金が買われる理由はいくつも見えてきます。

では金はいったいどこまで上がるのでしょう。

振り返れば2000年当時、
ドル建ての金価格は1ドル=300ドルほどにすぎませんでした、
当時の円はまだ強く1ドル=108円ほどでしたので、
円建てでは1グラム=1000円ほどでした。

それが足元では1オンス=2,750ドル、
円建てでは1グラム=14,500円です。

24年後に金の価格が10倍になるなんて、
いったい誰が予想したでしょう。

今後の金相場を考えるうえで、
貴金属仲間の銀との比較は役に立ちます。

金と違って銀には大きな産業用途があります、
代表例は太陽光パネルの電極や、スマホやPCに組み込まれる銅線の
メッキなどです。

銀は電気抵抗が小さく、
電流を減損すくなく流すことができます。

電子機器はますます小型化・高機能化が進みますので、
電流を高精度で流すニーズはますます高まってゆくでしょう。

でも僕には、
銀の価格が延々と上がっていくとは思えません。

価格が上がれば回収が進み供給が増えます、
その結果、どこかで価格は均衡点を迎えると思いますし、
技術の進展によって銀の使用量が減ってゆくことも考えられます。

一方で金はどうでしょう。

銀の需要のうち50%ほどは産業用途ですが、
金のそれは10%ほどにすぎません。

これはどういうことかといいますと、
銀と違って金が値上がりしても、
困る人はさほどいないということです。

逆に金が値上がりして喜ぶ人は大勢いるはずです。

このような理由からも、
今後の金価格は値上がりしてゆくと僕は思います。

ではいったいいくらまで値を上げるのでしょう。

この答えは簡単ではありません、
なぜならどの程度の時間軸で考えるかに依存するからです。

さきほどのように、2000年以降の24年間で、
ドル建て金の価格は300ドルから2700ドルまで上がりました。

つまり24年で9倍です。

2000年時点で「むこう24年で9倍」という数字を予想した
人はほとんどいないと思います。

過去24年で起きたことがむこう24年で起きても、
それは荒唐無稽な予想だと笑うことはできません。

ではもっと遡ればどうでしょう。

1973年に金は変動相場制に移行しましたが、
その時の価格は1オンス=38ドルでした。

つまり変動相場制移後の金価格の推移を、
あえて2000年までの前半と2000年以降の後半に分けると以下の通りです。

  • 前半:1973年の38ドルから2000年の300ドルまで:27年間で約7.9倍
  • 後半:2000年の300ドルから2024年の2700ドルまで:24年間で約9倍

注)なお2000年で一区切りを入れたのは特に意味はありません、
わかりやすくするためです。

このように過去を振り返りますと、
2000年から2024年までの値上がりは、
決して異常ではないことがわかります。

「向こう24年」はあまりに遠すぎて実感がわからないかもしれませんが、
10年に区切ればどうでしょう。

向こう24年で9倍なら、
10年間では2.5倍ほどになる計算です。

注)1×1.095の25乗≒8.82(約9倍)
1×1.095の10乗≒2.47(約2.5倍)

現在の相場が2,700ドルなら6,700ドルほどです。

  • 2,700ドル×2.5≒6,700ドル

つまり過去24年と同じ速度で値を上げれば、
10年後には1オンス=6,700ドルほどになるということです。

そしてその時点で為替レートが1ドル=200円になっていれば、
円建ての金価格は1グラム≒47,000円(税込み)です。

  • 6,700ドル×200円÷31.1グラム×110%≒47,000円

もちろんあらゆるものは短期の相場変動から逃れることはできません、
金だって買ったとたん半分になってしまうこともあるでしょう。

また過去24年で起きたことが将来再現するかどうかもわかりません、
あくまでこの数字は一つの目安とお考え下さい。

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