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From the economic column I wrote in the past

中国か陥るスパイラル的な衰退

2024年11月29日

ここのところ中国についてよく考えます。

一つはBYDのことです、
同社はアジアやヨーロッパで急速にEVの販売を伸ばしてきましたが、
日本でも販売網やサービス網を構築し、
最近ではさかんにテレビCMを打っています。

僕はBYD車に乗ったことはありませんが、
ヨーロッパでの勢いを見ていると、
かつてのような「安かろう、悪かろう」ではなく、
一定の技術水準に達しているような気がします。

自動車は、日本に唯一残された有力最終製品ですが、
いずれ家電や半導体のようになってしまわないか僕は心配です。

中国メーカーがなぜ短期的に技術力をあげたのか・・・

この点についてはここでふれませんが、
少なくとも高い関心をもって、中国の自動車メーカーを
見ておく必要があると思います。

一方で、いまの中国をみると、
経済的にすでに最盛期を過ぎ、
衰退が始まっているようにみえます。

よくいわれるように不動産分野ではバブルがはじけ、
それが経済全体に悪影響を及ぼしているのでしょう。

中国の場合、GDPに占める比率は20%に達するといわれていますので、
バブル崩壊の影響が、1990年代以降の日本を上回っても不思議はありません。

そればかりではありません、
高齢化の「速度」は日本を上回っていますし、
若年層の失業者は20%を一時は超えました。

注)中国政府は2023年6月を最後に16-24歳の失業率の発表を
停止しましたが、当時の失業率は21.3%でした。
なお、同国は2023年12月に基準を改定したうえで発表を
再開しており、現在の値は17.1%(2024年10月)です。

本来なら若者の数が減ると若年層の失業率は下がるはずですが、
よほど求人が少ないか、人材のミスマッチが起きてるのでしょう。

政府が民営企業への統制を強化した結果、
十分な雇用機会を提供できなくなっているのかもしれません。

外国企業の撤退もまた、
若者の仕事を奪っているのでしょう。

経済の衰退は社会に悪い影響を与えます。

特に中国の場合、国民は経済的に豊かになる対価として、
政府の統制を受け入れてきた面があると思います。

もし今後の経済に期待が持てなくなれば、
社会の不満が高まってもしかたありません。

さて問題はこれからです。

例えば冒頭のBYDに代表されるように、
個別の企業をみれば、むしろ中国の勢いは強まっているようにさえ
見えます。

半導体でも、国内で7ナノ線幅の準先端半導体を作るように
なりましたし、量子コンピューターやペロブスカイト太陽電池でも、
特許出願の数を増やしています。

個別の企業や産業をみるかぎり、
少なくとも衰退の兆候は見えません。

一方で経済全体をみればどうでしょう。

たとえば「2030年あたりに中国経済はアメリカ経済を抜く」
などと数年前から言われてきましたが、
最近では「米中逆転は起きない(注)」が主流になってきました。

注)日本経済研究センターは2023年12月、
「中国のGDPは2025年、米国に最も近づき、
その後は差が拡大する」という見通しを発表しました。

中国経済をみれば、
停滞期に入ったのは間違いなさそうです。

つまり、

個別の企業や産業の存在感の高まりと、
経済全体で見た中国の停滞感。

これが同時に起きているといっていいでしょう。

はたしてこれは一時的なもので、
いずれどちらかに収れんしてゆくのでしょうか。

それともこの傾向は今後も続くのでしょうか。

僕は前者だと思います。

日本の場合に当てはめるとよくわかりますが、

1980年代終盤に起きたバブル崩壊以降、
日本経済は長い長い停滞期に入りましたが、
個別の会社を見るとずいぶんと様相が違います。

半導体産業はほどなく衰退しましたが、
家電や重電、鉄鋼や自動車などはしばらく好調を維持していました、
自動車のように今でも世界No1の産業も残っています。

でも日本の企業全体を見渡せば、
1980年代終盤の頂点から衰退がはじまり、
現在に至っているとみていいでしょう。

つまり、

「国としての衰退は、
いずれ時間差でその国の産業と企業に伝染する。」

と考えておくべきだと思います。

そして産業の衰退、会社の衰退が、
一定の時間差をおいてこんどは国全体の経済に悪影響をあたえ、
スパイラル的に経済の衰退が続いてゆく。

こんな風に見るのが自然ではないかと思いますし、
中国の近未来にも当てはまると僕は思います。

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